2010年10月19日火曜日

問われる人権の概念

三石博行


人権とは何か

人権とは人間の権利、つまり人権とは生命と生活を守る権利。要約すると、ありとあらゆる人々の命と生活、行動や精神の自由、苦しみに対する抗議の権利、人間的幸福を追求する権利であるといえる。

だから、市民の権利、労働者の権利、経営者の権利、消費者の権利、被差別部落・カースト・人種の権利、経済格差を受けている人の権利、文化的格差を受けている人の権利、少数民族の権利、公害被害者の権利、医療被害者の権利、不可避的業務上の事故に対する弁護の権利、犯罪にあわない権利、冤罪にされない権利、犯罪被害者の権利、犯罪加害者家族の権利、受刑者の権利、子供の権利、親の権利、先進国の人々の人権、発展途上国の人々の人権、中国国民の二つの人権(経済的生存権と政治的行動権)等々。

すると、ある人権とべつの人権はぶつかることになる。そして、何か、人権という一般的概念を見つけ出そうとするとき、現実の具体的人権概念同士が拮抗し、衝突し、相互の立場を譲ろうとしない現実に出会う。

そこで人権とは何かともう一度問いかける。人権の概念を正確に表現できることばなないか考える。それが実に難しいことに気づくのである。

しかし、実は、この困難さの理解が、今日の人権問題を語る上で問われていることにあらためて気づくのである。

多様化しつつある人権社会の形成過程

現在、人権の概念が問われているのは、民主主義社会の形成過程が多様化しつつあること、西洋民主主義社会化の歴史過程が国際社会の多様な文化形態の中で、相対化しようとしているからではないだろうか。

以下の課題を考えてみよう。

1、グローバリゼーションによって、民主主義社会化の過程が多様化していること、つまり、西洋民主主義社会の歴史モデルでは語れない色々な民主化過程が存在していること。

2、伝統的な人道主義の理想モデルに対して、マキャベリズム的な政治思想のもつ現実主義的方法も、人権問題を解決する方法として評価され始めていること。

3、人権、つまり人間の命と生活、社会的平等、経済的生活権の保障、身体と精神の自由、個人的生活権の尊重等々を守るための社会システム(制度や規則、社会資本形成とその維持運用、個人的行為の範囲と許容に関する取り決め)の優先順位を巡って、民族、国家、社会共同体ごとに、それぞれ判断基準を持っている国際的な政治地理環境の出現。



参考資料
樋口陽一著 『一語の辞典 人権』三省堂 1996年5月 122p B5版

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