2013年12月17日火曜日

国民主体の政治改革の基本課題としての「市民の議員活動監視システムと情報公開制度の形成」

問われる政治改革の課題(2) 


三石博行


始まった野党連合形成への動き

自民党に対抗しうる野党勢力を結集し、野党連合を視野に入れた政党再編のために、みんなの党の江田憲司前幹事長をはじめ15名のみんなの党の議員が今月初め(2013年12月)に離党届を提出した。そして、日本維新の会の東国原英夫衆院議員(比例近畿)も離党した。みんなの党と日本維新の会で起こっている事態が同じ政治的目的に因るものでないにしろ、このことは野党勢力の大きな再編が始まったと理解すべきである。

与党国会議員数の力で強制採決された「特定秘密保護法」とそれに対する野党の対応に対して、党内からの批判が生じた。昨年12月の衆議院選挙から1年を経て、みんなの党の江田憲司前幹事長はこの政治の危機的状況を打開するために、みんなの党を離党したのである。

しかし、同時に、離党したみんなの党の13名の議員が比例区で選出されたことは問題となった。つまり、比例区での選出はその議員の個人票ではなく、政党名で投じられた票を基に議席を得ている、つまり政党が獲得した票によって選ばれた議員である。その意味で、彼らは議員を辞職し、みんなの党が比例区で推薦していた他の立候補者に議席を返すべきだという渡辺喜美代表の意見は間違いではない。

一方、近畿比例区で当選した東国原氏は離党と同時に議員辞職を行った。多分、猪瀬氏の辞職後に行われる東京都知事選挙へ立候補するために東国原氏は議員辞職を行いきれいに日本維新の会を辞めたのだろう。

いずれにしろ、与党の数の力による国会運営、比例区で選出された議員の議席保持の離党、東京都知事選挙へ立候補するため離党と議員辞職、マニフェスト違反等々、現在の国会では国民不在の議会政治が横行している。そして、マスコミも国民も国会劇場で繰り広げられる国会議員の一人芝居を観て「演技が良いとか、悪いとか」言っているに過ぎない。

つまり、我国の政治(間接民主主義政治)では、国民の代理人としての議員達が代理人の意味をはき違えてはいないだろうか。勿論、彼らも選挙の時は、国民の代理人であると言ったのであるが、当選後は、議員の資格は個人のものであると思っているのではないだろか。

とは言え、自民党に対抗しうる政治勢力を形成するために江田憲司氏を中心にして立ち上がった15名の前みんなの党の議員達の政治的活動の機会を奪うことは、大きな視点から考えると得策でないことは確かである。その意味で、彼らの議員辞職を迫る論理が自民党やその周辺を旋回する保守衛星諸党を利する政治的意図によって形成されていることは確かである。正論を言いながらその隠された意図を見抜けないことも危険である。


市民の政党監視機能をシステムの必要性

では、この事態に対して私たちはどうすべきなのだろうか。その回答は議会制民主主義が正しく運営されるために、市民とその代理人(議員)が相互に行うべき国や社会を運営するために必要な社会的責任の在り方を明記しなければならない。以下、簡単に、四つの課題を述べる。

1、現在の議会制民主主義社会では、選挙が唯一の国民の政治参加の機会である。その意味で、国民が投票する権利を破棄しないための国民による国民自身の自覚と選挙活動が問われる。そのためには、生活の場、地域社会で投票権(同時に社会的責任)を明確にする市民憲章を創り、お互いに選挙に参加したかを自己点検する社会文化を形成すべきである。選挙活動はどの政党を支持したかだけでなく、投票したか、社会運営に関する責任を果たしたかを点検する活動でもあると相互に市民が自覚し点検する活動を行うべきだはないだろうか。

2、もし、市民(国民)が、地域社会で投票権(同時に社会的責任)を明確にする市民憲章の形成を行うなら、市民の代表者としての政党や立候補者は、市民への選挙時の契約(マニフェスト)が必要となる。何故なら、その契約に即して市民は立候補者を選択(投票)するからである。もし、選挙時の政策提案(マニフェスト)を提案しない立候補者がいるなら、それらの立候補者は立候補権を持たないと社会や市民は判断すべきである。その意味で選挙公約(マニフェスト)は選挙活動に於いて極めて重要な市民との契約条件である。

3、当選した議員は、選挙時の政策提案(マニフェスト)に対して、毎年、市民に対して自己点検を義務としなければならない。どの政策提案が何パーセント実現したかしなかったか。また、その理由は何であるかを、公開しなければならいだろう。全く、その自己点検の公開義務を怠る議員に対して社会は契約違反のクレームを出すべきだろう。

4、国民・市民は議員の政治活動の評価を行い、その情報をインターネット上で公開する活動を行う必要がある。そのために、政党の利害を超えたマニフェスト評価を行う第三者機関(NPO)を形成する必要がある。勿論、その評価を正しく行うために、議員から業績申告を受け、それらも公開する必要がある。議員が市民国民と取り結んだ契約に関して、日常的に評価点検する市民活動が存在することで代理人に対して国民主権の民主主義運営を理解させることができるのである。

市民の政治運営に関する監視機能をシステムを作る以外に、議会制民主主義での国民主権の立場に立った政党運営や議員活動を期待することはできないのである。つまり、すべてのこれまでの政党や議員の身勝手は我々国民の政治参画文化の未熟さによって生じているのであると国民市民が自覚しなければならない。

その自覚と努力によって、小選挙区制度によって生まれた政権は国民の政治的意思を前提にした議会運営(立法活動)を行うことになる。この課題を考え解決することが最も根本的である。その中で、日本の政治文化に対して小選挙区制度が良いのかどうかを検討すべきであり、選挙制度改革や政治改革はおのずと前進することになるだろう。 




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