三石博行
第1回吉田ゼミナールの開催
2010年7月31日から8月3日の間、長岡科学技術大学工学部 経営情報系社会経済システム講座 綿引研究室で開催。
テーマは吉田民人著『情報と自己組織性の理論』 東京大学出版会 の第1章から第2章まで、「吉田民人社会学理論の第一期前半部分に関する検討」
吉田民人社会学理論の第一期とは
30代前半の吉田民人の研究資料
1、「生活空間の構造-機能分析 -人間的生の行動学的理論- 」
2、「動機の社会学的理論」
3、「社会関係の構造-機能分析 -伝統的テーマの再検討 」
4、「A・G・I・L修正理論(その1)」
5、「集団系のモデル構成 -機能的系理論の骨子 」
6、「行動科学における〈機能)関連のモデル」
7、「力関係とモラール -組織動因の問題-」
8、「機能集団の一般理論 -その基本的骨子-」
吉田民人論文リスト
http://sites.google.com/site/mitsuishihiroyukihomupeji/yoshida-min-jin-ronbun-risuto
以上
吉田民人の社会学理論第一期とは、30代前半の吉田民人が、これまでの(1960年代前期までの)社会学理論、特に行動主義から展開されてきた行為論を土台にしたパーソンズによって集約されるアメリカ社会学の潮流とドイツ(ヨーロッパ)社会学の流れ、関係論による機能-構造主義的展開を統一的に解釈し直し、吉田民人独自のミクロ社会学理論、つまり動態的機能-構造分析モデルを提案し、行為、関係、集団の伝統的な社か学の課題を一貫した理論的地平で解釈展開した時期であるといえる。
この理論的作業は、その後の吉田民人社会学、つまり自己組織系の情報科学としての社会学理論の黎明期をなし、また、その理論の前哨段階を構築したといえるだろう。
今回、第1回吉田ゼミナールでは、資料2と3に関して、会読を行い、それらの内容を理解、検討解釈した。つまり、「行為論」と「関係論」に関する学習会となった。
第1回学習会での議論内容
学習の方法
1、困難な文脈の理解の方法として、具体的な事例をもって説明する。特に、自分たちの研究活動のフィールドでの課題に当てはめ、吉田民人の述べている記述の内容を点検し、検証した。
2、吉田民人独自の用語、「吉田民人用語」の定義を明確にし、その定義に即して、吉田民人が展開する論理を検証した。まるで物理学のテキストを読むように作業を進めた。
3、理解不可能な文章に関しては、検討課題として置いた。つまり限られた研究時間の都合上、その解明に全力を注ぐことをやめた。
吉田民人社会学理論の第一期前半についての簡単な要約
1、吉田民人の社会学理論第一期は、その後の吉田民人社会学の理論である。つまり、この理論作業は、その後の吉田社会学の自己組織系の情報科学の前哨段階に当たるものである。
2、30代前半の若き吉田民人は、パーソンズの系(システム)理論の非ダイナミズムを乗り越えるために、独自の方法で、動態的構造-機能モデルを模索していた。その思考過程が、吉田理論第一期の理論作業の目的である。
3、これらの自己組織系情報科学(これまでの資源論的偏向性を乗り越え、情報概念をもつ社会学の構築を試みた吉田理論第二期の吉田民人独自の社会学の地平の構築をこの吉田理論第一期の分析から理解することが出来るだろう。
以上、簡単に、第1回吉田ゼミナールの私の感想を述べておく。
お疲れさまでした。
返信削除吉田先生に教わった時は、これが社会学一般かと思っていましたが、実は世間と社会学と大きな乖離があるということが分かった研究会でした。