2012年11月22日木曜日

脱原発、地方分権と東アジア平和外交を選挙の争点としよう

国民的政策提案運動の形成(1)

三石博行


緑の党の選挙協力に関する協定案

「緑の党」および「緑の党と連携するみどり関西ネットワーク」の友人たちが、今、脱原発を訴える政党や議員に対して選挙協力のための「協定案」を作ろうとしている。結成したばかりの緑の党は今回の選挙で「第三極」と呼ばれる勢力には成長していない。しかし、脱原発を国民的政治イベントである選挙で訴えなければならない。

そこで全国組織である緑の党では、脱原発を掲げた政党、例えば共産党や社民党、緑の風、生活が第一等々と、政策協定を結ぶことを前提に選挙支援を行うことが話し合われている。この動きは「政策を無視して大同団結」を訴えている「日本維新の会」とまったく逆の政治行動である。

「緑の党」および「緑の党と連携するみどり関西ネットワーク」では最重要政策として脱原発と自然再生可能エネルギー政策を挙げた。つまり、脱原発を掲げた政党や立候補者に対して、緑の党の最重要政策・「いのちと子どもの未来を奪う原発は今すぐゼロへ向かう政策を実施すること-フクシマの悲劇を繰り返さず! 自然エネルギーへシフトする」に賛同する場合にのみ、選挙協力をする。

また、個別政策として、消費増税廃止、TPP交渉に不参加と非暴力・平和>憲法9条の堅持の三つの政策同意が得られる条件が、緑の党が他の政党や議員と選挙協力の協定を結ぶ副次条件となっている。

市民運動の中から、社会を変えるためには多くの限界にぶつかる。そのため、市民運動は政治運動と関係を持つことになる。市民運動は生活に根ざした運度であり、草の根の民主主義を求める活動である。そのため社会土着型の運動スタイルを取る。その意味で市民運動はある地域に限定され、その地域独特の運動スタイルを持つことになる。

福島原発事故は日本と世界を震撼させる大惨事であった。そのため、原発批判の運動は全国規模で起こり、各地の脱原発を訴える市民運動がその地域性を越えて全国的なネットワークを作った。市民運動のネットワーク化は社会や国家を変革する運動となり、脱原発市民運動が政治的な力を必要とした。こうした状況の中で「緑の党」は形成された。

しかし、生まれたばかりの緑の党が、衆議院選挙を迎えている。各地域の緑の党の組織では、立候補者を立てて、選挙戦に挑む力量はない。だからと言って、選挙に取り組まない訳にはいかない。何故なら、選挙は国民的な政治イベントである。選挙で「脱原発」を国民に訴える機会がある。そのため、緑の党では、脱原発と再生可能エネルギー社会という選挙スローガンを緑の党の最重要政策と位置づけ、それに賛同する政党や立候補者と選挙協力に関する協定を結ぼうとしているのである。



政党選挙公約不信から選挙公約確認へ

民主党政権は国民に選挙公約が意味を持たないことを教えた。つまり、これから国民は政党の選挙公約を信じることはできない。このことは、議会制民主主義の存立条件を危うくしているのであるが、だからと言って、今、議会制民主主義を否定することも、また直接民主主義制度を性急に要求することも、現実的には不可能である。今、置かれている現実から考えると、選挙という手段、それは間接民主主義社会で位置づけられている弱い国民の政治的権利ではあるが、この手段を最大限に活用しながら、日本の社会を変革する以外に道は残されていないのである。

また、国民が政党に政治改革を求める限り、この国の政治は変革しないことも、次第に明らかになっている。21世紀社会の日本を作るために、まず、私たち国民が、政治改革の主体であることを理解しなければならない。その政治改革を行う力を持つ国民が、その代表者として議会で仕事をする国民の代理人(議員)になってこそ、行政改革は可能になるのである。国を変えるために、私たちが、まず変わらなければならない。そして、私たちに与えられている唯一の政治的意見の表現手段である選挙に前向きに取り組むべきだと思う。

前向きに取り組まなかった今までの私たちの姿勢、つまり選挙に行かないこと、誰を選んでも同じだとあきらめること、それを変えなければならない。選挙によって選ばれた議員たちが国の法律を決める役割を担っている、これが現実の私たちの民主主義社会のルールである。そのルールに則り、まず、選挙に対する積極的な私たちの意見や活動を行う必要がある。



提案1、脱原発と再生可能エネルギー社会構築

まず、今回の選挙では、殆どの国民は政党が示す莫大な項目の選挙公約に対して見向きもしないだろう。そこで、政党の様々な選挙公約の羅列を無視し、この国の今後10年間の政治的課題で最も重要だと思われる項目を取り上げなければならない。

その一つが、エネルギー政策と脱原発である。この課題で、これまで政府が推進してきた原子力エネルギーを維持しようとしている政党とそうでない政党を峻別しなければならない。つまり、脱原発の政策を明示しているかどうか。これが政治公約の確認となる。もし、明示していないなら、脱原発を約束していないと理解すべきである。それらの政党に投票することは、福島原発事故を再び繰り返す社会に戻ることを意味する。

脱原発を進めるために、これまでの化石燃料に依存する政策を出す政党は、地球温暖化や日本のエネルギー自給率の向上に関する政策を持っていないと理解すべきである。エネルギーと食料の自給率を同時に上げるための政策を持たなければならないだろう。

例えば、国土の7割を占める森林を活用した木材の自給率の向上とバイオマスや自然災害防止、農産物食料や資源生産、観光開発、つまり新しい雇用創出がひとつの政策として展開できる。それ以外に、わが国は豊富な温泉地帯、豊かな海洋エネルギーや太陽熱や太陽光エネルギーがある。これらの自然エネルギー活用を総合的な視点で理解し、政策化する政党でなければならない。



提案2、地方分権化と選挙制度改革

現在の日本は人口の10分の1が東京都に住み、半分近くが政令指定都市と言われる大都市に集中している。その反面、地方の人口は年々減り、過疎化が急速に進んでいる。地方はますます経済的に疲弊している。この現状を何とかしなければならないだろう。そのためには、地方分権化を進めることである。その方法に関しては色々と具体的な意見の違いがあるが、しかし、少なくとも地方分権化の一歩として、道州制の導入が取り上げられる。

地方分権化社会の成立によって、大きな変化が生まれる。例えば、国会の役割が変る。衆議院の役割と参議院の役割が変化する。少なくとも参議院に関しては地方分権化された州を構成する自治体の首長が参議院議員を兼任できるようにすれば、議員定数を削減しながら、地方分権政府と中央政府の政策上の交流が可能になる。中央政府の役人は地方政府の首長の意見を聞く義務が生じるし、中央政府の内閣と地方政府の共同の政策が検討されることになる。



提案3、東北・東南アジア諸国との平和的共存関係の強化と北太平洋の安全と平和を形成する日米関係のあり方を検討する

今回、中国の海洋資源確保をめぐる政治的意図を消し去ることはできないにしても、石原前東京都知事の挑発的な行為(尖閣諸島を東京都が購入する)とそれに対する野田民主党政権の尖閣諸島をあの時期に国有化するという誤った外交によって日中関係は悪化した。その経済的打撃は、大きい。そして、今後も、さらに経済的に負の要因が展開することが予測される。

今、世界は大きく変化しようとしている。その代表例がEUである。欧州連合の成立は、20世紀の二つの世界戦争の激戦地ヨーロッパの国々や人々の念願であった。EUの形成によって地域国際的な平和的共存が可能になった。現在、その平和的共存のための政治経済制度の課題をめぐり、EUはさらに実験を進めようとしている。

このEUを代表する国際地域的な平和的共存関係の形成は、同じ形式ではないにしろ、今、東南アジアでも起ころうとしている。例えば、ASEANは、東南アジア経済共同体の形成に向けて動き出している。単に、経済的関係だけでなく、教育や技術開発も相互の資源を活用しながら発展させようとしている。文化的に共通する他民族国家が国際地域的な連合を形成し国家という枠に限定されている生態文化、社会産業資源を共有しながら、国際地域的な経済文化共同体を構築しようとしている。この国際地域連携が21世紀社会で起ころうとしているグローバリゼーションの流れであるといえる。

その意味で、日本の国際政治政策は前世紀、東西冷戦時代の古い考え方を踏襲しているといえる。今大切なことは、北太平洋地域の諸国の平和的関係の形成と経済的関係の強化であり、取り分け、アジア諸国との日本の平和的共存関係の形成である。これが、今後の日本の繁栄を導くのである。

そのためには、これまでのように、日米関係のみを重視する外交路線を変更し、日韓関係や東アジア諸国との関係は当然だが、日中関係をはじめ、日露関係の改善を行う必要がある。そして、インドをはじめ、中東諸国や豪州との外交関係を強化し、アジア外交をさらに盛り上げる必要がある。日本独自のアジア外交を前提として、日米関係の新しいあり方を提起すべきである。

アメリカは、これから中国やロシアを仮想敵国にしながらアジア外交を続けることは不可能である。寧ろ、中国やロシアとの友好な関係を構築し、北太平洋の安全を維持すべきである。そのためには、日本のアジア外交力が大きく貢献することは言うまでもないだろう。国際平和共存を憲法の基本としたわが国のこれまでの国際政治の実績を活かし、さらに積極的にアジア・北太平洋地帯の平和的共存のための外交を展開するべきではないだろうか。



参考資料

1、ブログ文書集「国民運動としての政治改革」目次
http://mitsuishi.blogspot.jp/2012/11/blog-post_20.html

2、「緑」の京都・準備会
http://greens-kyoto.jimdo.com/

3、脱原発選挙
http://miraisenkyo.wordpress.com/

脱原発議員総覧
August 23, 2012 • by kaerunja
http://miraisenkyo.wordpress.com/2012/08/23/%E8%AA%B0%E3%81%AB%E6%8A%95%E7%A5%A8%E3%81%99%E3%82%8B%EF%BC%9F/


環境エネルギー政策研究所(ISEP:Institute for Sustainable Energy Policies)
「国会エネルギー調査会」設置に向けた 「国会エネルギー調査会準備会」(第14回)の開催について
http://www.isep.or.jp/news/3595/

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