2014年12月18日木曜日

詩 「キノコの合奏」

三石博行

岩本拓郎作(2014年12月1日)














岩本拓郎氏のフェイスブック
https://www.facebook.com/takurou.iwamoto.73?pnref=story


岩本拓郎氏の幻想的な絵から

「キノコの合奏」

** 1 **

世界が一瞬、千倍になった。
私が一瞬、一ミリの世界に降りた。

見渡す限り、巨大な芝生の森
見渡す限り、ごつごつの岩の山

出会ったアリに誘われて、
彼らの家に招かれて、
大きなテーブルに座り、
彼らが育てたキノコを食べた。

キノコは口の中でもぐもぐと鳴いた。
キノコは胃袋の中でびぃしゃびぃしゃと歌った。

** 2 **

そして、私はキノコの楽団の前に座っていた。

これからキノコの合奏が始まる。

キノコの楽器から、
また胞子の楽譜が飛び出し
また菌糸の旋律が流れ
私の周りで踊り狂う

美しく、恐ろしい
弦楽曲が響く

強烈で、優しい
吹奏曲が流れる

私はメロディに乗って飛び交う
音符トンボを見た。

私はトンボの恐ろしく素早かな
螺旋状運動に目を回した。

** 3 **

もう、美女のいない朝だ。
もう、欲望の宵闇の狂想曲は終った。

キノコたちは静かに楽譜を閉じた。
私は彼らの演奏会場から去った。

キノコたちは朝の光と共に消えた。
彼らの音楽を聴く人はもうこの光の中では誰もいない。

誰もいない。
誰もいない。

2014年12月3日

0 件のコメント:

コメントを投稿