三石博行
岩本拓郎作(2014年12月1日)
岩本拓郎氏のフェイスブック
https://www.facebook.com/takurou.iwamoto.73?pnref=story
岩本拓郎氏の幻想的な絵から
「キノコの合奏」
** 1 **
世界が一瞬、千倍になった。
私が一瞬、一ミリの世界に降りた。
見渡す限り、巨大な芝生の森
見渡す限り、ごつごつの岩の山
出会ったアリに誘われて、
彼らの家に招かれて、
大きなテーブルに座り、
彼らが育てたキノコを食べた。
キノコは口の中でもぐもぐと鳴いた。
キノコは胃袋の中でびぃしゃびぃしゃと歌った。
** 2 **
そして、私はキノコの楽団の前に座っていた。
これからキノコの合奏が始まる。
キノコの楽器から、
また胞子の楽譜が飛び出し
また菌糸の旋律が流れ
私の周りで踊り狂う
美しく、恐ろしい
弦楽曲が響く
強烈で、優しい
吹奏曲が流れる
私はメロディに乗って飛び交う
音符トンボを見た。
私はトンボの恐ろしく素早かな
螺旋状運動に目を回した。
** 3 **
もう、美女のいない朝だ。
もう、欲望の宵闇の狂想曲は終った。
キノコたちは静かに楽譜を閉じた。
私は彼らの演奏会場から去った。
キノコたちは朝の光と共に消えた。
彼らの音楽を聴く人はもうこの光の中では誰もいない。
誰もいない。
誰もいない。
2014年12月3日
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