2017年1月9日月曜日

日韓友好関係を政党第一主義の政治家にまかすな。

釜山日本領事館の前に慰安婦像が20161230日に設置され、それを釜山市は、一回はその像を撤去したものの、市民の講義を受けて、再設置を許可したというニュースが駆け巡り、そして、それに対する対抗措置を日本政府が取った。それに対して、韓国政府が抗議した。ここまでの話(日本のニュースが伝えた)では、またもや、国際協定を無視する韓国政府の対応で、日韓関係は悪化するのかと、多くの日本国民は思っただろう。

しかし、この事件の1日前、20161229日に、稲田朋美防衛相が昨年暮れ、1229日に靖国神社に参拝した。そして、安倍首相は「ノーコメント」と記者会見で述べた。そもそも、慰安婦問題とは日本が戦前行っていた朝鮮半島の植民地政策を問題にしたもので、その犠牲者は慰安婦だけでなく、朝鮮半島の全ての人々であった。それらの歴史認識を、韓国や中国は求め続けてきた。それに対して、日本は真摯に謝罪をしなければならなかった。日韓条約、経済支援、そして村山談話、河野談話と、日韓関係では、和解の道が開けてきた。その過程を現在の自民党を中心とする政治家は尊重しなければならない。

韓国や中国では、靖国神社に先の戦争を引き起こしたA級戦犯が合祀されていることへの反発が起こった。アメリカですら、政府高官の靖国参拝を批判的に見ていた。ましては、侵略戦争で莫大な被害を受けた中国や韓国では、これまで、市民の激しい抗議デモが起こっていた。

そうして歴史、経過を無視して、稲田朋美防衛大臣は靖国神社に参拝し、また、安倍首相は「ノーコメント」とそれを容認する姿勢を世界に示したのである。その翌日に、釜山日本領事館の前に慰安婦像が設置された。

昨年暮れは韓国では、朴槿恵大統領への講義デモで、国内は揺れていた。そして、今、韓国は朴大統領が弾劾され、政治は機能しない状態となっている。こんな隣国の大変な状態に対して、配慮もなく、稲田氏は靖国神社を参拝したのである。つまり、その結果がどうなるかという政治的配慮は全くなかった。

これが日本の国防を担うトップの政治家の国際政治感覚であるとすれば、何という日本の国際安全保障政策の失態であるか、国民は理性的に理解しなければならない。

敢えて、政治的混乱に苦しむ現在の韓国政府を、支えるのでなく、窮地に落とし込める外交をやる。その軽薄さ、その国際政治感覚ゼロの政治家たち、恥ずかしい話ではないか。トランプ氏は口だけで、次期アメリカ大統領としては、恥ずかしいことを言い続けているのであるが、日本の政治家は、行動で、国際政治の視点から考えても、恥ずかし行動をとり続けているのである。

もっと言うなら、10億円払ったのだから、もういいだろう。後は、靖国にも行くし、日本がこれ以上謝罪することはない。10億円使っておいて、今更、慰安婦問題なんぞ言っていいのか。という何とも恥ずかしい、傲慢な、そして外交を知らない、隣国韓国への尊厳を失った姿が見える。それで、どうして、東アジアの平和的共存が出来るのか、冷静に自分たちの外交を振り返って欲しいと思う。

更にもう一つ、理解しなければならないことがある。それは、代々の自民党政権が、これまで努力してきた日韓和解協議の過程、努力を、現在の政権内部の一部(多数かもしれないが)、敢えて、水に流し、破棄しようとしていることだ。それは何故か。この疑問から、現在の安倍政権を支える政治家の、あるべき未来の日本の姿や、また隣国との連帯、地域国際関係への考え方が見えてくるように思われる。それこそ、この問題から、再び投影された彼ら、政党第一主義の政治家の本音ではないだろうか。そして、これこそ、最も、私たちが危惧しなければならない、ことなのかもしれない。

つまり、彼らの脳裏にあるのは「政党第一主義」であり、「国民第一主義」でも「平和第一主義」でもない。彼らは、そのためには、未来社会を売り渡すことも、そして日本を戦禍に導くことも、厭わないかもしれない。そんな政治家に未来を任すことは出来ない。思い出そう。東日本大震災の時、どれほど、韓国や中国の人々が支援してくれたか。だから、私たちは、もっと、市民による、市民のための、市民の「地域国際連帯」を創りだす必要があるのだ。


201719 フェイズブックに記載

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