- 古典的記述法としての三段論法 -
三石博行
ここでは、簡単に古代ギリシャアリス哲学、アリストテレスの三段論法を説明する。この三段論法は、前提となる命題からの必然的な論理展開することで結論を導き出す推論(演繹的推論)である。最も簡単は例は、「A=Bであり、B=Cである場合には、A=Cである」。この、A=Bを大前提という。この大前提(A=B)が成立し、その上で、小前提(B=C)が成立するのであれば、A=Cという結論が導けるという演繹的推論が成り立つ。これを間接推理とも呼ぶ。上記した例のように二つの前提から(演繹的に)段階的に結論を導く間接推論を三段論法と呼ぶ古代ギリシャの論理学で定義された三段論法は、大前提(A=B)と小前提(B=C)という二つの異なる前提(媒概念と呼ばれる)によって(A=C)という結論を導きくのであるが、それは同時に(A=B=C)という三つの異なる要素が一つの共通概念によって結びつけられることによって結論を導き出す推論の形式となっている。
アリストテレス『分析論前書』で述べられた三段論法は、大前提・小前提・結論の三つの命題によって構成された演繹的推論によって成り立つ。この三段論法によって、神の存在証明と呼ばれるような形而上学的な論証、「神は全知全能の完全性と絶対性を持つ(A=B)であり、全知全能の完全性と絶対性を持つものはこの世界の創造主である(B=C)であるなら、神はこの世界の創造主である(A=C)というである」という論証の上に成立する中世のスコラ哲学が成立する。スコラ(学校)哲学とは中世の学問を意味する。そのスコラ哲学は神学、自然哲学、自然学(物理神学)によって形成され、中世の神学者はこれらの学問を探求する人々であった。物理神学者の仕事である天体観測は神の存在証明を行おうための宗教的な探求行為であった。この物理神学(スコラ哲学)の中から、スコラ自然学の基本命題(天動説)がコペルニクス(1473年 - 1543年)によって否定されるのである。
司祭コペルニクスの天体観測は修道士ジョルダーノ・ブルーノ(1548年 - 1600年2月17日)に引き継がれ、ガリレオ・ガリレイ(1564年-1642年)の天文学として展開された。ガリレオの地動説を支持したデカルト(1596年- 1650年)はフランスを追われ。当時の先進国であったオランダのユトレヒトに逃げ、有名な方法序説を書いた。方法序説は自然哲学の序説としえ書かれたものである。デカルトの思想は近代合理主義と呼ばれ、イギリス経験論を含め、近代科学の哲学的な基盤となる。イギリス経験論や近代合理主義の誕生によってスコラ学的三段論法が崩壊した。数学的論理(演繹的方法)、経験論考察(帰納法的方法)を土段とする新しい学問・ニュートン力学が形成される。もはや宗教的絶対者(神)ではなく、宇宙の法則がすべての世界を支配しているという近代合理主義思想(世界観)が確立し、その世界観をすべての学問、社会文化に普及させるための啓蒙主義運動が起こる。
2021年6月11日 フェイスブック記載
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