2011年3月28日月曜日

政府は、原発大災害に向けて緊急体制を採るべきである

東電福島第一原発大災害に立ち向かう(1)


三石博行


人災としての原発事故 それに対する緊急対策

東日本大震災は日本社会に大きな打撃を与えた。今、一刻も早い復旧が急がれている。その復旧活動に大きな妨げになり、また東日本大震災の被害をさらに増大させようとしている要因としてこの大震災の二次災害として発生した東電福島第一原発事故がある。

この災害は戦後日本が経験したことのない大災害に発展する可能性が強くなっている。この災害をもたらした要因は、地震と津波の自然災害であることは言うまでもないが、同時に、我々日本社会での安全管理や危機管理の甘さによるものでもあると言える。

東洋経済の記事によると、東電の危機管理に関しては2006年3月1日の衆議院予算委員会で吉井英勝議員(共産党)が今回のような地震や津波での被害を想定した質問をしている。吉井議員はその後数回質問をしている。そして自家発電の電源が使えない状態になった場合の対応についても質問している。それに対して、経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭院長は原子炉が停止後も冷却して行くことが大切だとか、冷却機が持続的に動くことが大切だと答えた。(1)

しかし、経済産業省は、国会での指摘を受けて、そして自らの答弁の責任として、東電福島第一原発の危機管理を点検し、そして改善を指示指導したのであるなら、今回の事故は防げただろう。

東洋経済の記事には、そのほかにも東電福島第一原発での不祥事を国会で近藤正道議員(社民党)が指摘した事実が記されている。しかし、経済産業省はその指摘や批判に何も対応していなかったし、寧ろ東電擁護の答弁を行ったことが書かれている。(1)

つまり、今回の東電福島第一原発事故は地震と津波だけによって生じた事故ではない。東電の危機管理の無さ、産業通産省の官僚的仕事と企業との癒着等によって、生じたものであると解釈できる。そして、事故が進行しつつある段階でも、東電の危機管理の甘さ、産業通産省の官僚的姿勢は変わらなかった。

したがって、これまでの経過を見る限り、さらに重大な危機がどのように迫ったとしても、東電の体質も経済産業省原子力安全・保安院の官僚的体質も変わらないだろう。政府は、この二つの元凶を理解し、現状の危機管理として、至急、民間人を入れた対策会議を形成し、経済産業省原子力安全・保安院に依存した政策を出すことを止めなければならない。(3)


最悪の事態を想定した対策を立てる

現在も原発での災害は進行しつつあり、何一つ予断を許さない段階である。最悪の場合、福島第一原発のすべての原子炉が崩壊し、炉内や使用済み核燃料の放射能物質による環境汚染が起こるだろう。その最悪のシナリオを考えて被害を最小限に食い止めるための準備をしておく必要がある。

国民に不安を与えないという政治的立場から政府が発言することは当然のことである。もし、最悪の事態が生じるとしても、無用な恐怖や不安を掻き立てることはない。しかし、それだけに、その最悪の事態への万全の準備が必要となる。

取るべき手段のすべてを採ることしかない。そのために、多くの犠牲者が出る。特に、事故防止のために現場で働く人々の被曝は避けられない。それを恐れて、重大な災害を引き起こすことになれば、さらに多くの人々が被曝することになるだろう。


あらゆる支援と協力体制が必要

もはや、緊急事態が起こることを想定しなければならない。そして現在はその一段階を越えてたと判断すべきである。つまり、国家としては非常事態に突入したのである。

今後、国を揺るがし、そして国家の経済的な基盤や国際的信頼を崩壊させる大事態であることは確かである。この事態に立ち向かうための政府としての、そして東電としての決意が必要である。

政府は、最大の危機を想定した国際的支援体制と国家の協力体制を緊急に作る必要がある。そのためには、現状の事故の情報を公開し、そして今後生じる課題に関して合理的で現実的な対策を検討し続けるために、国内のあらゆる部門の専門家を集め、その力を借りて、対策を検討すべきである。(2)

また、国際的には、海外、アメリカやEUに対して協力を求めるべきである。取り分け米軍の援助をさらに要請し、またヨーロッパなどの専門家の協力を得るべきだろう。



参考資料

(1)東洋経済 「国政の場で指摘されていた 福島第一原発への「不安」(1)(2)
http://www.toyokeizai.net/business/society/detail/AC/fe2850f53fedccdefb3d90f747346430/
http://www.toyokeizai.net/business/society/detail/AC/fe2850f53fedccdefb3d90f747346430/page/2/

(2)earth garden 「WebMagazin ヨミモノ」「再び13日17時:原子力資料情報室による記者会見」
http://www.earth-garden.jp/magazine/7521/


(3)毎日jp 「福島第一原発:前知事が批判「破局招いた無分別」 仏紙に」2011年3月29日 11時(このブログ記載の後に出た記事です)
http://mainichi.jp/select/science/news/20110329k0000e040028000c.html
引用 
「佐藤氏は福島県知事時代の98年、全国で初めてプルサーマル計画を了承。プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料が福島第1原発に搬入されたが、02年に東電の原発トラブル隠しが発覚、了承を撤回した経緯がある。
 佐藤氏は「(今回の事故で)恐れていたことが現実になってしまった」と指摘。日本の原発行政を推進する経済産業省と監視機関の原子力安全・保安院を分離すべきだとの声があったのに実現していないことを挙げて「日本は民主国家だが、浸透していない分野がある。正体不明の利益に応じて、数々の決定がなされている」と原子力行政の不透明性を暴露した。
 また「今回の破局は(原発に関する)政治決定プロセスの堕落に起因している」と指弾した。」



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ブログ文書集 タイトル「東日本大震災に立ち向かおう」の目次
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/03/blog-post_23.html


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修正(誤字) 2011年3月29日






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