2013年12月16日月曜日

小選挙区制度は現在の日本社会の政治文化に適しているか

問われる政治改革の課題(1) 


三石博行


投票者の半数の意見が破棄される可能性はないか

昨年12月(2012年12月)の衆議院選挙で自民党は圧勝した。しかし、有権者の30%以下が自民党に投票した。つまり、国民の圧倒的支持があってできた政権ではない。議席数の上で自民党が圧勝できたのは、小選挙区制と分裂した野党勢力の二つの条件が整っていたからである。もし、野党と与党の二大政党政治下での選挙であれば自民党は過半数の議席を取ることはできなかった。このことは2009年の民主党が圧勝した衆議院選挙でも同じことが言えた。つまり、小選挙制度では最悪の場合、半数以下の投票が活かされない結果を生むのである。

2009年と2012年の衆議院選挙で圧勝した民主党政権も自民党政権も現在の小選挙区制度を変更することは「政治改革」の課題に挙がっていない。その理由は二つある。一つは小選挙区制度の狙いである二大政党政治を実現するためにこの制度を続けると言うもの、もう一つはこの制度によって圧勝できたことで、次回の選挙でも同じく圧勝できるという期待があること。いずれにしても、この小選挙区制度の見直しを呼びかける与党はいない。

この選挙区制度を変革しないという前提に立って考えるなら、二大政党政治の実現を課題にする以外に国民主権の政治運営は不可能である。そこで、昨年の選挙の後、野党勢力を纏める努力を野党間で真剣に議論されて来た。今回の「みんなの党」の内部で起こった分裂、江田前幹事長を含め15名の国会議員の離党問題はその結果であると言えるだろう。有権者の半数近い政治的立場が完全に国政に反映されてない主な責任を野党になった議員が真剣に問い掛けることは当然のことである。

つまり、投票した有権者の半数の政治的立場が無視され、また国民の半数が投票しないことに対しする現在の政党政治の責任を受け止めるなら、野党間の連立や二大政党政治を実現するための努力が、少なくとも(小選挙区制度を変えないというなら)、野党の有志ではなく、野党全体で取り組むべき課題であったと言える。



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