2019年3月20日水曜日

公益資本主義研究会

2019年ワールド・アライアンス・フォーラム in あわじ

公益資本主義2050年の国家目標 -天寿を全うする直前まで健康でいられる社会の実現


昨日 2019年3月19日、淡路夢舞台国際会議場で開催された「2019年ワールド・アライアンス・フォーラム in あわじ」に参加した。今回のテーマは「公益資本主義2050年の国家目標 -天寿を全うする直前まで健康でいられる社会の実現」であった。

公益資本主義の考え方は原丈人氏が長年提案してきたもので、すべての人々の企業活動を経済社会の土台とする考え方(理念)である。株主重視型、短期的利益中心型、金融中心型等々の現在の資本主義経済の在り方を点検し、経営者や顧客や取引企業を重視するだけでなく、職場で働く人、地域社会の利益を考えた企業文化を創り、持続可能な経済(エコシステム)を確立する考え方である。そのために、企業や社会は制度と技術のイノベーションを続けることを主張している。エコシステム、技術革新(イノベーション)、制度改革(イノベーション)の三つの具体的な行動が公益資本主義社会を形成するための課題であると述べている。

私が参加している政治社会学会では荒木義修博士が中心となって「公益資本主義部会」を一昨年来かた立ち上げた。今まで、この部会と公益資本主義研究会でとの共同研究会が行われた。今年、ソウル国立大学名誉教授、韓国学術会議、人文科学部門委員長を務めるHyun-Chin LIm 氏と公益資本主義研究会の丹治幹雄氏(アライアンス・フォーラム財団理事)しの講演会を開催した。また、東アジア社会学会の「アジア資本主義」に関連する分科会にも、政治社会学会と公益資本主義研究会のメンバーが発表を行った。

公益資本主義の理念は壮大である。生態系を含む地域社会文化への配慮、働く人々の労働と生活環境改善、地域市民社会への貢献、企業が未来社会構築のプランに積極的に参画する(制度イノベーション)を企業文化として形成し、その企業文化によって社会全体の経済活動を展開すること(公益資本主義)を目指す、構築することが公益資本主義研究会の課題となっている。

政治社会学会は公共経済学、社会福祉政策研究、参画型市民社会政策、地域社会活性化のための行政学研究、分散型再生可能エネルギー社会に関する研究、食・農業文化研究等々、これまで多くの「社会公益制度に関する研究」に従事してきた学会員の研究発表を行って来た。公益資本主義研究会の課題はその意味で政治社会学会のこれまでの活動に即しているのである。

実践的に企業文化や行政システムの変革を課題にしながら研究会を展開する公益資本主義研究会の活動は多くの成果(データ)を導ている。具体的な実践こそ社会変革の力である。これらの貴重なデータは人間社会科学の研究に役立つ。そこで問われた課題は、研究の貴重な問題提起となる。公益資本主義社会の形成という理念を研究者が共有し、企業や自治体、社会で経営改革、行政改革、社会変革を推進する人々と共に「何のために」と言う問題意識と「どのようにすれば最も有効な手段(技術や制度)を形成できるのか」という課題意識を共有化して、初めて未来社会へ投企する学会活動や研究活動が可能になると思う。

この活動はまた新しい社会文化・社会活動、経営活動、生活活動のスタイルを目指している。多様な社会活動のアクターたちが「理念」を共有し、そのためにそれらのアクターの持つ専門性を活かし、それらの知識や技術の共有化を目指す対話(コミュニケーション)を繰り返し、問題解決に挑む。これらの社会行為の蓄積こそ、そしてそれらの経験こそ、新しい社会の在り方、生活の在り方を形成する土壌(文化環境)を生み出すのだと思われる。

この未来への一歩に私は期待したい。


参考資料


2019 ワールド・アライアンス・フォーラムフォーラム in あわじ

公益資本主義研究会

「アジア資本主義と公益資本主義」研究会(CAPIC

国際シンポジウム「アジア資本主義と公益資本主義」


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