深刻化する原発作業員の被曝問題
三石博行
原発作業員の犠牲の上に成り立つ原発事故処理作業
原発は必然的に作業員の被曝問題を伴う。日常的な原発の管理に従事する作業員の被曝は避けられない。ましてや、今回の福島第一原発事故の処理は作業員の被曝を前提にして行われると言ってよい。つまり、作業員の犠牲は事故処理の作業に必然的に付随すると言える。原子力の平和利用の名の下に始まった原子力エネルギーの利用は、原子炉を維持する人々の犠牲の上に成立しているのであると言える。
関西労働者安全センターは1970年代から岩佐嘉寿幸岩氏(原発作業員)の原発作業に伴う労災職業病問題(被曝問題)に取り組んできた。当時、原発作業員の被曝問題を取り上げることは、タブーに近い行為であった。福井県敦賀市のある敦賀労働基準監督署で岩佐さんの労災申請をした。そして、労基署との交渉を行った。その時も、労基署の周りには私服警官が労災認定の申請と話し合いに来た岩佐さん、支援者を取り巻いた。
1970年代から反原発はイデオロギー問題であり、原発に反対する人々は日本みら社会制度を否定する人々であり、原発作業員の労災認定を求める人々も同様に非国民的存在であるとレッテルを張られ続けてきた。その結果、多くの原発作業員の被曝問題は隠蔽されてきたのである。
そして、今回の事故で、多くの原発作業員の被曝を前提にした事故処理が行われている中で、被曝し続ける作業員への健康管理に関する対策(労働安全衛生上の)が明確に保障されないのは、これまでの政府や電力会社の対応の結果であるとしか言えないのである。
いずれにしても、今後、福島第一原発の事故現場に多くの作業員が駆り出されることは確かである。多くの作業員の力なくして事故処理が進まないことは自明である。つまり、それらの人々の放射線被曝を前提にして事故処理が進むことになる。しかし、どれだけの人々がどれだけの被曝を受け続けるのか、その放射線被曝の全貌はつかめない。
メルトダウンした炉心を取り出す作業までに、どれだけの作業が必要か。その作業環境の放射線を下げるための対策や作業工程は具体化できるのか、それすらも明確にされていない。そして、この果てしない被曝地獄の中で黙々と働く人々を必要としている事実だけが残る。つまり、福島第一原発を廃炉にするまでに、途方もない事故処理作業と多くの作業員の犠牲があることだけは確かである。
西野方庸氏の講演YouTube公開
2011年7月16日京都奈良EU協会第三回講演会YouTube公開
西野方庸氏講演「原発被ばく問題のこれから」1/8
西野方庸氏講演「原発被ばく問題のこれから」2/8
西野方庸氏講演「原発被ばく問題のこれから」3/8
西野方庸氏講演「原発被ばく問題のこれから」4/8
西野方庸氏講演「原発被ばく問題のこれから」5/8
西野方庸氏講演「原発被ばく問題のこれから」6/8
西野方庸氏講演「原発被ばく問題のこれから」7/8
西野方庸氏講演「原発被ばく問題のこれから」8/8
引用、参考資料
「原発被ばく問題のこれから」西野方庸氏(関西労働者安全センター事務局長)の講演
http://mitsuishi.blogspot.jp/2011/06/blog-post_23.html
『原発と闘う-岩佐原発被曝裁判の記録-』「岩佐裁判の記録」編集委員会・編/八月書館1988年
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2012年4月3日 誤字修正
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