三石博行
最も近くて最も遠い国・韓国との関係から始まる東アジア共同体構想
韓日の親密な関係が、まず東アジア共同体の構想を展開していくための土台となる。東アジアの平和と繁栄のために、さらに日韓関係を発展する必要がある。つまり、政治的システムが共通する日韓両国の関係をより緊密にしていくことが、東アジア共同体構想を進めるための現実的一歩となる。
韓国の経済成長や先進国の仲間入りは、日韓両国の関係を更に発展させている。韓国が経済力や技術力において、日本と同格になることによって、東アジアの国際的重要性は益々大きくなる。そして、アメリカを向く中国外交や中国経済に東アジアを向くことの重要性を示すことができるのである。
そのためには、日韓経済共同体の形成が必要なことは言うまでもないが、更に、両国の文化的交流の促進、過去の戦争責任に対する日本側の真摯な対応、朝鮮半島と日本の長い交易と文化交流の関係や東アジアの視点からの両国の国内史の再解釈・再認識するための両国間の歴史認識の交流が必要となる。すでに、以上の課題は、近年精力的に、取り組まれている。
例えば、2003年4月から9月にNHKBS2で上映され反響を呼んだ「冬のソナタ」の以来、韓流ブームが起こり次々に韓国の映画やドラマが上映された。そして、ハングル語学習熱が起こり、大学でのハングル語受講学生数は英語についで2番目となっている。また、2009年にNHKが全10回にわたり放映したシリーズ「朝鮮半島と日本」は、多くの反響を呼び、相互の歴史認識の違いを再確認させました。
この韓流ブームがもたらした日本人へのカルチャーショックは、「韓国(朝鮮半島)は地理的にはもっとも近く、国民感情的には最も遠い国であった」ことではなかったろうか。多くの韓国朝鮮人が住む日本、絶対的な影響を受けた国でありながら、韓国朝鮮は非常に遠い国であったと理解したのではないだろうか。
一般に、異文化理解は、異文化誤解の現実を受け止めることから出発することを考えれば、近年の韓国朝鮮半島文化に対する理解・カルチャーショックと韓流ブームは、仲たがいした兄弟がよりをもどそうとしているようにも思える。異文化である(別々の個人である)緊密な二つの文化(東アジアの家族の一員)が、相互にそれぞれの存在を認め合い、そして共同体としての親密な関係を作ろうとしているのである。
東アジア共同体を目指す日韓の同盟関係を強化すること、経済、文化、大学(教育)、市民間の交流を活発にすることが、東アジア共同体の土台骨を着実に形成することになる。日韓の強固な関係が、米中関係を重視し軍事的に巨大化する中国に対する抑止力となり、中国に対して
東アジア国際地域の繁栄が持つ政治経済的意味を理解させる方法となるだろう。
この課題を展開させるには、米国との関係が鍵となる。何故なら、現実は日本も韓国もアメリカとの外交関係を最優先させて、日米関係重視路線の日本と韓米関係重視路線の関係において成立している、日韓関係重視政策であるからだ。
つまり、東アジア共同体構想を展開するためには、現実の米国との重要な関係を理解しながらも、独自の日韓関係を模索する外交が求められている。
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ブログ文書集「国際社会の中の日本 -国際化する日本の社会文化-」
5. 日韓関係
5-1、NHK ETV特集「日本と朝鮮半島」 イムジンウェラン 文禄・慶長の役のテキスト批評
http://mitsuishi.blogspot.com/2010/07/blog-post_6656.html
5-2、NHK 朝鮮半島と日本 「倭寇(わこう)の実像を探る 東シナ海の光と影」のテキスト批評
http://mitsuishi.blogspot.com/2010/07/blog-post_2310.html
5-3、NHK EV特集 「元寇蒙古襲来 三別抄と鎌倉幕府」の映像資料のテキスト批評
http://mitsuishi.blogspot.com/2010/07/blog-post_6943.html
5-4、姜尚中(カン・サンジュン)著『在日』プロローグのテキスト批評
http://mitsuishi.blogspot.com/2010/11/blog-post_29.html
5-5、東アジア共同体構想の展開を進める日韓関係の強化
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/01/blog-post_12.html
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