三石博行
高速道路の無料化と地球温暖化対策は可能か
鳩山総理の地球温暖化対策に対する具体的な方針は世界に日本の政治的リーダーシップを示すすばらしいものでした。現在の人々の生活と100年後の世界を考えるのが政治の姿勢であると確信しています。
1、高速道路の無料化の意味は大きいと思います。
現在、週末高速道路が値下がりしたでけでも、ETCの利用者は増え、週末家族で都会から地方へと遊びに行く人々は増えました。その経済効果はあると思います。その意味で、高速道路の無料化の方向は決して間違いではないとおもいます。しかし、この政策が一番民主党のマニフェストの中で不人気ではないでしょうか。なぜか、それは、利益を受ける国民ですら、高速道路が混雑すること、また、それによって二酸化炭素を多量に排出する現在の自動車社会が継続することを懸念しているのではないでしょうか。
2、エコカーに対する高速道路料金の値下げ
そこで、高速道路料金をエコカーに対して、もしくは環境基準を守っている車に対して、下げるということは出来ませんか。例えば、ジーゼルエンジンのトラックですが、発がん性物質である浮遊粉塵の対策をしていない車は、高速料金を無料にしてはいけません。逆に、ハイブリッド車や電気自動車などは優遇すべきだと思います。エコ対策を進めることと、高速道路無料化を一本化すると、おそらく、企業も民間もその対策を取るでしょう。その経済効果も大きいと思います。そして、高速道路周辺で起こる公害問題に対しても、説明がつくと思います。
3、高速道路無料化に対する専門委員会を開いて、幅広い人々の意見を聞きながら、マニフェストを実行してください。
昨夜の諸大臣の所信表明演説を聞きました。すばらしいに一言。これまでになかったことが起こると確信をしました。しかし、明治以来続いてきた、しかも戦後もそのまま引き継がれた官僚主導の国家運営を改革することは大変だと思います。日本の近代化に貢献してきた官僚制度だけに、それが今日、まったく機能せず、また弊害を起こしていても、伝統の強さは恐ろしいものがあると思います。そのことに挑戦できるのは民主党だけです。がんばってください。
問題は、いかに多くの専門家を集め、豊かな知識と多様な意見を取り入れて政策に活かすかということです。過去の貧しい日本社会では民間に多くの専門家が居なかったため、官僚がそれを支えていたのだと思います。科学技術文明社会では、大学、研究機関、企業、NPO,NGOに多くの専門家がいます。それらの人々(国民)を活用することが、多分、官僚主導型の国家運営から国民主導型の国家への変換を生み出すと思えます。
この高速道路無料化でも、多くの専門家を集めて議論してください。これまでは官僚が自分の意見を通すために、言いなりになるような人々を集めて、専門委員会を作りました。それではだめです。民主党は、政策を検討する時に、幅広い専門家を集めてください。高速道路無料化に対しても、交通工学、流通経済、環境問題、地域経済、観光開発、家庭経済等々の専門家の参加が必要でしょう。そして、すべての専門委員会のメンバーの業績を公開してください。その上で、高速道路無料化と意中温暖化防止が両立できる政策、法案、システム改革を提案作成してください。
最後に
何事も成果しか見ない社会になっています。確かに、成果も大切です。しかし、ものごとを成し遂げるまでの、また失敗したとしても、その過程を理解し共有することも大切です。つまり、どのようにして高速道路無料化と地球温暖化防止を両立するための政策が検討されたか、その努力がどのようにして払われてきたのかの過程を大切にすることが必要です。マニフェストは実現しなければなりません。そしてその成果を国民に示めさなければなりません。その上で、その努力の過程、手段、方法も示すことが大切です。何故なら、必ずしも100パーセント成功しないからです。しかも、その不成功に学ぶことが多くあり、それを国民と共有することだと思います。それが国民による国民のための国民の政治であり、そして、それしか官僚主導型国家運営から脱却することが出来ないと思います。その理念、つまり国家の改革に参画することを国民に訴え続けてください。
その民主主義の理念が日本の文化とするときに、鳩山首相のいう「友愛」が日本の伝統文化になると信じます。
哲学に於いて生活とはそのすべての思索の根拠である。言い換えると哲学は、生きる行為、生活の場が前提になって成立する一つの思惟の形態であり、哲学は生きるための方法であり、道具であり、戦略であり、理念であると言える。また、哲学の入り口は生活点検作業である。何故なら、日常生活では無神経さや自己欺瞞は自然発生的に生まれるため、日常性と呼ばれる思惟の惰性形態に対して、反省と呼ばれる遡行作業を哲学は提供する。方法的懐疑や現象学的還元も、日常性へ埋没した惰性的自我を点検する方法である。生活の場から哲学を考え、哲学から生活の改善を求める運動を、ここでは生活運動と思想運動の相互関係と呼ぶ。そして、他者と共感しない哲学は意味を持たない。そこで、私の哲学を点検するためにこのブログを書くことにした。 2011年1月5日 三石博行 (MITSUISHI Hiroyuki)
2009年9月17日木曜日
2009年9月1日火曜日
東アジア諸国でのEU協会運動の交流は可能か
三石博行
At the 50th anniversary commemorative lecture for the establishment of the European Coal and Steel Association of Japan and France held in Nara October 12, 2003, Dr. Johannes Preisinger, then Consul general of Federal Republic of Germany, said that the EU looked to Japan as the one country in East Asia that could lead an East Asia alliance endeavor for peace and coexistence similar to the one developed by EU.
However, when viewed against the long history behind the establishment of the EU, the present conditions vis-a-vis Japan's insufficient postwar neighbourhood community building activities and mutual understanding efforts throughout East Asia make it currently seem impossible for Japan to play any such key role in the region involving federation building initiatives among its East Asian neighbours.
We therefore wonder that a trial of association be possible if working alongside the EU to establish such a community committed to these idealistic and lofty goals। One that would similarly promote protection for the myriad indigenous community and country cultures, whilst developing the new federation concept. This could be one step on the path to realizing the suggestion of Dr. J. Preisinge.
プライジンガー博士は、EUと日本との未来の関係について壮大な構想をお話された。つまり、博士はEUが日本に望むことは日本が東アジアでEUと同じような平和と共存のための連合、例えば「東アジア連合」を創ることであると述べたのである。
EUは長い歴史を経て形成された。中世以来の戦争の歴史が前提になっている。例えば、ヨーロッパでの戦争は、13世紀から15世紀に2回、16世紀に3回、17世紀に4回、18世紀に6回、19世紀に12回、20世紀に27回と増加の一途を辿り、20世紀には二つの世界大戦が勃発、7000万人以上の犠牲者を出した。
その反省に立ってヨーロッパ統合(チャーチルの欧州合衆国構想)の考えが生まれ、1946年5月のロンドン条約によって欧州評議会が10ヶ国の加盟で発足した。欧州評議会は、17世紀以来、ヨーロッパから始まる民主主義国家の基本理念(人権、民主主義、法の支配)を普及するために活動し、現在47ヵ国が参加している。欧州評議会の活動をバックに、ヨーロッパ経済共同体(EEC)からヨーロッパ共同体(EC)を経ながら、EUは、ヨーロッパがより国際社会で政治的影響力を持ち豊かな経済圏を維持するために1993年に発足した。現在27ヶ国が加盟しているEUは、欧州憲法、司法、政治、経済、行政、通貨、治安警察、軍隊等々の統一機構の形成に取り組んでいる。
このEU建国の長い歴史を顧みるなら、EUと同質の東アジアの平和と共存を目指す連合の構築はそう簡単でないことが分かる。東アジアの国々では、これまでの長い紛争の歴史は勿論のこと、先の戦争の歴史事実も共有されていない。日本の戦争責任に対する国民的な取り組み 隣国で起こる反日運動、多くの課題が解決されないまま残されている。東アジア諸国がEUのように平和と共存を課題にして国家間の枠に囚われない連合を創り出すまでには非常に長い時間が必要であると思われる。
日本が東アジアの国々との平和と共存のための連合形成に努力することが、EUが日本に望むこと、そして日本がEUに学ぶことであると言うプライジンガー博士の提案を、我々のEU協会は受け止めたい。何故なら、EU協会活動の基調として、EUの建国の理念、つまり一つの国民国家の利益を超えて平和と共存のために広域共通文化圏の平和的共存が述べられているからである。その意味で、EU協会は今までの二国間の国際交流活動と明らかに異なる課題を我々に問いかけている。
また、欧州評議会の目的の一つである「欧州文化アイデンティティ保護と文化多様性の推進」は、そのままEUに引き継がれている。日本のEU協会でも、それぞれの地域社会文化に即した活動を尊重した運動が行われ、国内での交流が起こるだろう。そして、同じ地平で、 東アジアの国々、ロシア極東地域や北朝鮮も含むかもしれないが、韓国、中国や台湾の地域でのEU協会活動との連携や交流も可能になるだろう。我々は、まず地域文化多様性を認め合った国内、東アジアのEU協会相互の交流もEU協会の活動に入れたい。そこから、プライジンガー博士の提案にむけた地道な努力を積み重ねたいと思う。
KNEU-No3 京都・奈良EU協会 会報No3 記載
東アジア諸国でのEU協会運動の交流は可能か
Is the integration of association in an EU styled movement among East Asian countries possible?
At the 50th anniversary commemorative lecture for the establishment of the European Coal and Steel Association of Japan and France held in Nara October 12, 2003, Dr. Johannes Preisinger, then Consul general of Federal Republic of Germany, said that the EU looked to Japan as the one country in East Asia that could lead an East Asia alliance endeavor for peace and coexistence similar to the one developed by EU.
However, when viewed against the long history behind the establishment of the EU, the present conditions vis-a-vis Japan's insufficient postwar neighbourhood community building activities and mutual understanding efforts throughout East Asia make it currently seem impossible for Japan to play any such key role in the region involving federation building initiatives among its East Asian neighbours.
We therefore wonder that a trial of association be possible if working alongside the EU to establish such a community committed to these idealistic and lofty goals। One that would similarly promote protection for the myriad indigenous community and country cultures, whilst developing the new federation concept. This could be one step on the path to realizing the suggestion of Dr. J. Preisinge.
EUに学ぶとは日本が「東アジアの平和と共存のための連合」を目指すこと
プライジンガー博士は、EUと日本との未来の関係について壮大な構想をお話された。つまり、博士はEUが日本に望むことは日本が東アジアでEUと同じような平和と共存のための連合、例えば「東アジア連合」を創ることであると述べたのである。
困難な東アジアの平和と共存のための連合国家形成の現実
EUは長い歴史を経て形成された。中世以来の戦争の歴史が前提になっている。例えば、ヨーロッパでの戦争は、13世紀から15世紀に2回、16世紀に3回、17世紀に4回、18世紀に6回、19世紀に12回、20世紀に27回と増加の一途を辿り、20世紀には二つの世界大戦が勃発、7000万人以上の犠牲者を出した。
その反省に立ってヨーロッパ統合(チャーチルの欧州合衆国構想)の考えが生まれ、1946年5月のロンドン条約によって欧州評議会が10ヶ国の加盟で発足した。欧州評議会は、17世紀以来、ヨーロッパから始まる民主主義国家の基本理念(人権、民主主義、法の支配)を普及するために活動し、現在47ヵ国が参加している。欧州評議会の活動をバックに、ヨーロッパ経済共同体(EEC)からヨーロッパ共同体(EC)を経ながら、EUは、ヨーロッパがより国際社会で政治的影響力を持ち豊かな経済圏を維持するために1993年に発足した。現在27ヶ国が加盟しているEUは、欧州憲法、司法、政治、経済、行政、通貨、治安警察、軍隊等々の統一機構の形成に取り組んでいる。
このEU建国の長い歴史を顧みるなら、EUと同質の東アジアの平和と共存を目指す連合の構築はそう簡単でないことが分かる。東アジアの国々では、これまでの長い紛争の歴史は勿論のこと、先の戦争の歴史事実も共有されていない。日本の戦争責任に対する国民的な取り組み 隣国で起こる反日運動、多くの課題が解決されないまま残されている。東アジア諸国がEUのように平和と共存を課題にして国家間の枠に囚われない連合を創り出すまでには非常に長い時間が必要であると思われる。
EU協会でなければ出来ない21世紀の国際交流
日本が東アジアの国々との平和と共存のための連合形成に努力することが、EUが日本に望むこと、そして日本がEUに学ぶことであると言うプライジンガー博士の提案を、我々のEU協会は受け止めたい。何故なら、EU協会活動の基調として、EUの建国の理念、つまり一つの国民国家の利益を超えて平和と共存のために広域共通文化圏の平和的共存が述べられているからである。その意味で、EU協会は今までの二国間の国際交流活動と明らかに異なる課題を我々に問いかけている。
また、欧州評議会の目的の一つである「欧州文化アイデンティティ保護と文化多様性の推進」は、そのままEUに引き継がれている。日本のEU協会でも、それぞれの地域社会文化に即した活動を尊重した運動が行われ、国内での交流が起こるだろう。そして、同じ地平で、 東アジアの国々、ロシア極東地域や北朝鮮も含むかもしれないが、韓国、中国や台湾の地域でのEU協会活動との連携や交流も可能になるだろう。我々は、まず地域文化多様性を認め合った国内、東アジアのEU協会相互の交流もEU協会の活動に入れたい。そこから、プライジンガー博士の提案にむけた地道な努力を積み重ねたいと思う。
KNEU-No3 京都・奈良EU協会 会報No3 記載
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6. EU関係及びEU協会運動
6-1、生活運動としての国際交流運動
http://mitsuishi.blogspot.com/2007/12/blog-post_14.html
6-2、日欧学術教育文化交流委員会ニュース配信
http://mitsuishi.blogspot.com/2007/12/blog-post_8507.html
6-3、文化経済学的視点に立った国際交流活動
http://mitsuishi.blogspot.com/2007/12/blog-post_26.html
6-4、新しい国際交流活動のあり方を模索して
http://mitsuishi.blogspot.com/2009/06/blog-post.html
6-5、我々はEUに何を学ぶのか
http://mitsuishi.blogspot.com/2009/07/eu.html
6-6、東アジア諸国でのEU協会運動の交流は可能か
http://mitsuishi.blogspot.com/2009/09/eu.html
6-7、東アジア共同体構想と日本のEU協会運動の役割
http://mitsuishi.blogspot.com/2009/10/eu.html
6-8、欧州連合国の成功が21世紀の国際化社会の方向を決める
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/01/21.html
6-9、Eddy Van Drom 氏のインターネット講座 ヨーロッパ評議会の形成史
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/10/eddy-vandrom.html
6-1、生活運動としての国際交流運動
http://mitsuishi.blogspot.com/2007/12/blog-post_14.html
6-2、日欧学術教育文化交流委員会ニュース配信
http://mitsuishi.blogspot.com/2007/12/blog-post_8507.html
6-3、文化経済学的視点に立った国際交流活動
http://mitsuishi.blogspot.com/2007/12/blog-post_26.html
6-4、新しい国際交流活動のあり方を模索して
http://mitsuishi.blogspot.com/2009/06/blog-post.html
6-5、我々はEUに何を学ぶのか
http://mitsuishi.blogspot.com/2009/07/eu.html
6-6、東アジア諸国でのEU協会運動の交流は可能か
http://mitsuishi.blogspot.com/2009/09/eu.html
6-7、東アジア共同体構想と日本のEU協会運動の役割
http://mitsuishi.blogspot.com/2009/10/eu.html
6-8、欧州連合国の成功が21世紀の国際化社会の方向を決める
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/01/21.html
6-9、Eddy Van Drom 氏のインターネット講座 ヨーロッパ評議会の形成史
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/10/eddy-vandrom.html
ブログ文書集「国際社会の中の日本 -国際化する日本の社会文化-」 から
欧州石炭鉄鋼共同体設立50周年を記念するために、2003年10月12日、欧州アルザス日本学研究所のアンドレ・クライン所長を講師に招き、奈良日仏協会、奈良日独協会、奈良日仏文化交流会の共催により「フランスとドイツの午後」が行われた。来賓として招待されたドイツ連邦共和国総領事ヨハネス・プライジンガー博士が挨拶のスピーチを行った。