2015年7月25日土曜日

「美にとって時間とは何か」

所幸則氏のポスト光描写芸術への挑戦

- 所幸則氏の写真展に行って -


三石博行


高精度の写真芸術は
生きている時性を極限にまで微分し
超写実主義の表現を可能にした。

しかし、それは
光描写の芸術は瞬間を切り抜き
リアルな世界を映し出す芸術。

しかし、彼は
写真芸術の進化に敢えて立ち向かい
機械による極限の時間微分から
生た人間の表象認識の時性
を描く。


さらに、彼は
光から色彩を奪い
視覚は光度に集中され
時性のみが物語る。


白黒の世界は
鑑賞者たちを一つの事実・生きた時間に集中させ

高速で走る新幹線から
視覚的な構造性が維持された遠距離の世界
パターン化される前に時間と共に過ぎ去る近距離の世界

目の前にある形象前の光の世界
構造前の光の表象現実


だから、
時性を微分する
写真芸術は生きた世界を
精巧に静物画化した
と、彼は語る。


だが、
現実の視覚の世界は
光の速さに押しつぶされ、
具象性を与えられないまま
非構造化されている
と、彼は語る。

それは、
写真芸術の進化
超写実主義静物画化への流れ
に抗うかのようにも観える。

そして、
美に取って時間とは何か
を問い掛ける。

あたかも、
分析、精密の概念に含まれた
「生きた時性」を排除し続けた
現代科学文明への
問い掛けのように思えた。


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所 幸則 「アインシュタインロマン」
https://www.facebook.com/events/1572418426342840/

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武蔵野大学教授 荒木義修氏と所幸則氏の写真展に行く。


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