A 高等教育の国際化の三つの段階
教育機能の中で、最も社会経済システムの国際化の影響を受けるのが高等教育である。何故なら、高等教育機能は、専門性の高い社会文化や産業事業に直接的に人的資源を提供し、また知的資源の開発を共同で行う等の社会発展のための機能を担っているため、国際化に必要な人的資源や知的資源を高等教育が提供しなければ、社会経済機能の国際化の振興は不可能だからである。
日本社会の国際化に大学は大きな役割を果たしてきた。国際化する企業活動を担うために専門教育、外国語教育、国際理解等々の、国際化社会のための人材教育を行ってきた。
グローバリゼーションに必要な知識の提供を行ってきた戦後の日本の高等教育を第一期の国際化のための高等教育の時代と考える。大学での外国語学部や経済学部なのでの国際経済専攻分野の設置が行われ、海外で活動する企業に人材を提供してきた。
世界経済の進展、1980年代以降、大企業のみでなく中企業も国際競争を前提にして経営戦略を立てる時代になって、大学での国際化社会に対応するための教育は、これまでの国際社会で活躍するエリート育成から、一般学生に対して国際社会で仕事をするための教育へと変化していく。多くの大学に国際の名のつく学部や学科が新設され、また国際と名のつく新設大学が全国津々浦々に創られる。
この時代を第二期の国際化のための高等教育の時代と呼ぶことができる。
今、国際化のための高等教育の新たな時代が到来しようとしている。それは、日本の国際化が市民生活にまで浸透し、国際化という文化がどの地方都市にも、またどの市町村にも行き通り、国際化の日常化が行われている時代を意味する。
国際化のための社会機能はどの市町村でも必要とされている。国際化のために活動する人々はエリートでなく一般の市民となる。大学では国際教育がどの学部でもおこわなれ、例えば英語での一般教養や専門教養科目の講義が行われるようになる。
この時代を第三期の国際化のための高等教育の時代と呼ぶ。現在の大学教育はこの第三期を迎えているといえる。
B 国際化のための教育課題
国際化社会で働くためには英語などの外国語教育は必要である。第三期の国際化のための高等教育の課題としえ、英語を学ぶのでなく英語で学ぶ教育が取り組まれる。しかし、語学能力は海外で働くための能力の入り口である。それ以上に、異文化理解能力、コミュニケーション能力、問題解決能力を身に付ける必要がある。
こうした能力は、これまでの講義形式の学習では身に付けることが出来ない。ゼミや実習での参加型の授業形式を取り入れて、学生が授業を運営しながら学ぶ方法が必要となる。
問題解決能力を身に付ける学習方法として、すでに欧米で取り入られているPBL(Problem basic learning )などを用いることが出来る。それ以外にも、多くの先進的な教育方法が検討され、また開発される時代を迎えているといえる。
第三期の国際化のための高等教育に関する研究が現代の大学教育法の課題となっているといえる。
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