震災に強い国を作る(3)A
三石博行
国民運動としての東日本大震災復興活動を展開
民主党管政権は「東日本大震災復興構想会議」を4月14日に立ち上げた。災害から1ヶ月が経過した早い段階、つまり罹災地が「復旧」に専念している中で、敢えて政府が「復興構想」に向けたプロジェクトが発足した。その意味は、災害に強い国を災害の復旧段階から目指すためである。その趣旨は阪神淡路大震災でも議論され、新しい街神戸への復興を前提とした復旧活動の流れによって、現在の関西で最も活発な街・神戸を創り上げたのである。
こうした政府の「東日本大震災復興構想会議」の大きな方向に国民は賛成している。確かに、報道機関がその組織運営に対して、批判を行っているが、それらの批判は「東日本大震災復興構想会議」が目指す大きな方針への批判ではない。寧ろ、「東日本大震災復興構想会議」を国民的な運動にするべく批判的に検討しているように思える。
つまり、今、わが国は国全体の力を結集して、災害復興のための国民運動を作り上げることは大切なことであり、進めなければならないのである。待ったなしの対策、速やかな実現、情報公開による多くの人々からの点検と参画、国を挙げて取り組まなければならない。
特に、政治が問題である。政治の課題は速やかな罹災者の救済と復旧・復興である。特に、生活基盤を失った人々の救済、企業活動の再建は急がれている。従って、すべての政党は、政府への批判を語るなら、まず、党利党略を優先する政局を語る前に、苦しむ日本を救うために、「東日本大震災復興構想会議」を否定するのでなく、その組織運営や活動方針に対して具体的で前向きの批判と参画を行うべきである。
また、民主党管政権も、これまでのように、あらゆる政党、異なる意見の人々、特に罹災地の人々、企業人、大学人、官僚、地方自治体、民間人のすべての人々に、参画を呼びかけ、国民運動としての「東日本大震災復興構想会議」の方向を常に示す努力が必要となるだろう。
国民運動として「東日本大震災復興構想会議」を組織するために
4月24日の第二回会議の後、NHKは会議参加者を集めて、「東日本大震災復興構想会議」(以後、復興構想会議と称す)での課題を国民に紹介した。復興構想会議を国民運動として盛り上げてゆくためには、公共放送の果たす役割は大きい。
その意味で、今後も、NHKを始め他の報道機関でも積極的に、復興構想会議の議論、委員の意見、政府の判断、そして、それらの意見が政治に反映される過程、国会での議論や意見を積極的に報道し、国民の参加、つまり、批判や提案などの意見を求めなければならないだろう。
始まったばかりの復興構想会議の情報を政府はインターネットですべて公開している。(1) 復興構想会議で議論される課題や内容に関する情報をすべて公開している政府の姿勢は、この復興構想会議を国民全体に公開し、評価させ、参画させる姿勢の現れである。この政府と復興構想会議の姿勢は評価すべきである。
更に、この復興構想会議を国民運動に成長させるために、求められることは、政府中心から地域社会へと議論の環を広げることである。そのためには、特に罹災地の現場の意見を反映させる会議の方向が求められる。そのためには、復興構想会議のメンバーが罹災地の人々と共に復興構想に関する話し合いや提案活動を行う必要があるだろう。また、専門家のメンバーは関連学会に呼びかけ、広く多くの研究者の参画を呼びかける運動が必要となるだろう。
つまり、復興構想会議の活動を国民運動とする考え方を会議のメンバーが共有し、会議の情報を公開し、報道機関の協力を得て議論を公開し、さらに色々な意見を収集するために現地罹災者の意見、積極的に復興構想を提案しうる人々の参画を保障する活動が求められている。
政府はその意味で、国民運動に展開する復興構想会議への基本的指針を社会に訴え、そして復興構想会議のメンバーとその考えを共有し、彼らの活動を会議という限定された場から、日常の場へと展開できる支援を行うべきだろう。
参考資料
(1)内閣官房 「東日本大震災復興構想会議」
http://www.cas.go.jp/jp/fukkou/
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ブログ文書集 タイトル「東日本大震災に立ち向かおう」の目次
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/03/blog-post_23.html
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