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2019年3月14日木曜日

「多様な近代化過程、その資本主義・近代国家の様相とその構造」文書群の構成企画

「多様な近代化過程、その資本主義・近代国家の様相とその構造」の目次



-非西洋型資本主義・民主主義社会形成過程の理論のために- 



近代化過程から世界を観ることによって、アジア、アフリカ、ラテンアメリカ等の非欧米諸国の国家の多様な形態が理解できる。この作業は国家を政治的イデオロギーで分類し、国際的な対立を煽ることを止めさせ、政治、経済、文化の多様性を相互に認める外交の視点を与え、世界の多様な国々が共存できる相互間の要素を見出すために行った。そして、この課題は、ポスト近代化過程、つまり、高度科学技術文明社会になっている欧米や日本が成熟した資本主義経済、民主主義政治、人権文化をさらに発展させるための課題について述べる。


これらの文書群を整理するために、文書構成を試みてみた。


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『多様な近代化過程、その資本主義・近代国家の様相とその構造 』


-非西洋型資本主義・民主主義社会形成過程の理論のために-

1、多様な近代過程の国家群の様相

1-1、アジア型近代国家の理解とは
1-1-1、多様な資本主義国家の形態 -アジア型資本主義経済の理解-
1-1-2、多様な近代国家の形態の理解の意味
1-1-3、装置としての多様な近代化過程の国家論、理論の意味と目的

1-2、日本の歴史的事象の理解から
1-2-1.日本の古代、中世、近世の歴史
1-2-2.明治維新と呼ばれる特殊な革命
1-2-3.近代国家形成のための国家指導型資本主義経済政策
1-2-4.後発資本主義国家として国家指導型資本主義経済政策の必然性
1-2-5.多様な近代化過程、ポスト近代化過程の中での世界の理解

1-3、多様な国家の近代化過程の様相
1-3-1.21世紀の多様な国家形態を理解するための視点
1-3-2、4つの異なる近代化過程の国家形態モデル
(前近代国家、初期近代型国家、成熟型近代国家、ポスト近代国家)
1-3-3、個々の国家の現状とその近代化過程によって生まれている多様な国家の形態


2、四つの主要な近代化過程要素(経済、政治、教育、文化)

2-1、多様な経済近代化過程
2-1-1.三つの工業社会化過程からの分類
2-1-2.多様な経済制度の近代化過程の分類
   資本主義経済過程(自由主義経済)
   社会主義経済過程(平等主義経済)
2-1-3、経済のポスト近代化過程の様相
   国際経済成長型(市場原理主義・新自由主義経済)
   生活経済成熟型(自由・平等、人権志向型経済)

2-2.多様な政治体制の近代化過程 民主主義
2-2-1、四つの形態(前近代型、初期近代型。成熟期近代型、ポスト近代型)
2-2-2、前近代型国家の政治体制
2-2-3、初期近代型国家の政治体制(独裁型、官僚主導型、国家管理型)
2-2-4、近代成熟型国家の政治体制(国民主権型、議会民主主義型)
2-2-5、ポスト近代型国家の政治体制(国民主権型、市民参画型民主主義)

2-3、多様な国民教育、科学技術政策の近代化過程
2-3-1、国民国家形成の基本政策としての国民教育政策
2-3-2、教育近代化国家の分類
2-3-3、ポスト近代化国家、高度科学技術社会

2-4.多様な文化の近代化過程 人権主義文化
2-4-1、文化の近代化、三つの人権課題の概念
2-4-2、一次人権課題、
2-4-3、二次人権課題、
2-4-4、三次人権課題、


3、ポスト近代化過程 高度民主主義国家の形成課題

3-1、ホスト国家指導型政治体制を目指す課題・わが国の課題
3-1-1.終焉する官僚指導型国家・現代日本の政治現象
3-1-2.ホスト官僚指導型政策決定国家を目指す課題
3-1-3.問われる行政・立法機能の改革と無力な利益集団・政党と官僚
3-1-4、現在問われている社会改革の課題

3-2、持続可能型の市民参画型社会形成のため
3-2-1.持続不可能な世界としての21世紀の未来
3-2-2.持続可能な社会を構成している要素
3-2-3、国民の社会改革への参画こそ民主主義文化展開の唯一の方法である

2019年3月3日日曜日

多様な資本主義・近代国家の様相とその構造を理解するために

三石博行

- 多様な近代化過程の理解 -


1、21世紀の多様な国家形態を理解するための視点


資本主義の多様な形態に関する研究は、わが国では進化経済学学会を中心にして「比較資本主義研究」のテーマの下に研究が山田鋭夫、宇仁弘幸、玉野和志、安孫子誠男等の研究者を中心にして精力的に進められてきた。この研究を先駆けたのは、2001年に発表されたP.HallD.Soskiceの論文「資本主義の多様性」や2003年に発表されたB.Amable の論文「資本主義の多様なモデル」で分析された多様な形態を持つ世界の資本主義経済体制の分析やその分類であった。

昨年、20181218日に東京、専修大学で政治社会学会(関東政治社会学会)と公益資本主義研究会は国際シンポジューム「アジア資本主義と公益資本主義」を開催した。このシンポジュームに参加したHyunChin Limソウル国立大学名誉教授は「多様な資本主義、アジア資本主義」に関する研究では韓国を代表する学者である。また、原丈人氏によって提案された公益資本主義の概念や理念に基づき一般社団法人公益資本主義推進協議会が設立され、多くの学者、企業家、官僚が参加し、持続可能な資本主義経済の在り方をめぐって研究や討論を行っている。

21世紀の世界はどうなるのか、20世紀は多くの実験がなされた。社会的平等を原則として経済制度の確立を試みた社会主義経済は破たんした。また市場を海外の植民地に求め軍事的に拡大して行った資本主義(帝国主義)も二回の世界戦争を引き起こし多くの犠牲者を生み出し、そして破綻した。国際分業論を前提にしながら発展してきたアメリカ型資本主義(経済グローバリゼーションによって発展している国際経済主義)も、今、そのアメリカが「アメリカ第一主義・国際主義の否定」を言い出し、試練に立たされている。

とは言え、経済のグローバル化を抑制することは不可のである。人々の意見、評価、要求は日常的にそして地域や国家を超えて流通している。一つの地方や村で起こる出来事もインターネットを通じて世界に流れ、また一人の名もない市民の意見が世界の人々に伝えられる。あらゆる情報が社会化、経済化される。そして、それらの情報が商品化され、そのニーズに合わせてビジネスが生まれる。これが高度情報化社会によって生じている新しい文化、社会、経済活動である。21世紀は経済、文化、政治活動の国際化が急激に進行する。

多くのアジア、アフリカ、ラテンアメリカの国々の人々、豊かな経済文化を知らなかった人々が、インターネットを通じて、先進国の豊かな社会を日常的に見ることができる。そして、それらの経済後進国で経済発展に向けた巨大なエネルギーが沸き起こる。帝国主義の時代に国家や民族を守るためにその国のエリートが選んだ国家指導型資本主義は、21世紀になって、そのひな形中国人民民主主義共和国の奇跡的な経済発展のモデルを、それぞれの国家の実情、地政的環境、歴史文化的環境に合わせ変化させ、多様な形態に発展するだろう。

21世紀の国際社会を特徴付ける「多様な資本主義国家の形成」に関する理解を進めるために、また、それは「多様な民主主義国家の形態」の理解に繋がる課題を含むため、そして「人権」が「先進国が発展途上国の政治指導者の攻撃の材料となり、「人権擁護」を謳いながら繰り広げられる「侵略戦争」の仕掛けを事前に見抜くために、多様な資本主義経済や多様な民主主義社会形態の基本的課題を「多様な近代化過程」の課題として、理解しようと思った。



2、三つの工業社会化過程からの分類


今、多くの国家が存在している。それぞれの国家を社会主義経済圏と資本主義経済圏とに二分していた冷戦当時の理解は今日通用しない。それらの分類を、北朝鮮や国王支配のサウジアラビア王国やイランのような宗教国家もあるために、多様な資本主義論で纏め上げるのにも少し困難を感じる場合があることは避けられない。

多様な国家形態を分類する切り口として、資本主義経済論(自由市場経済、私的生産手段の所有権、経営的利益追求権)の視点から分析するのではなく、その資本主義経済を構成する三大要素に関しても、それらの程度差が多様に存在することを前提にし、資本主義経済過程の程度を多様な国家の分類の物差しから外し、寧ろその一部として。

最も基本となる評価の基準を「近代化過程」つまり「近代化の第一段階過程」として一次産業から二次産業への産業構造の変化、工業生産力の程度に置いた。イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギーや米国等、欧米列強であれば、産業革命から重工業生産体制が発達しった19世紀、それより遅れて近代化を進めた日本、ロシアであれば19世紀末から20世紀初頭、20世紀中期まで列強の植民地となっていた国々、韓国、中国、インド等であれば、20世紀後半を重工業産業の発展期、つまり近代化の第一段階の事例として示すことができる。

ポスト工業社会は20世紀後半のアメリカを中心とする欧米日本で起こる。これを近代化過程の第二段階、もしくはポスト工業社会と呼ぶことができるだろう。この時代を迎え、国際資本主義経済体制が生まれ形成されてきた。資本主義経済の進行状況を基準にして世界の国々を評価分類しるなら、アフリカやアジアの発展途上国を代表とする前工業経済過程の国家群、タイやブラジル、ポーランド、ロシアなどの経済振興国を代表とする工業経済過程の国家群と、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、日本、韓国、ポスト工業経済過程(情報産業、知識産業、ロボット、AI等の産業形成)の国家群に分けることが出来るだろう。中国は、工業経済過程の国家群からポスト工業経済過程の国家群へと移行していると考えられる。

経済の近代化過程とは、第二次産業である工業生産の進化過程である。つまり工業生産が、手工業生産、機械製工業生産、重化学工業生産と進化する過程を意味する。経済のポスト近代化過程とは、所謂、第三次産業が生産の中核になる時代を意味する。このポスト近代化過程では、まず第三次産業、サービス生産の進化過程が生まれる。流通サービス生産、事務サービス生産、観光サービス産業が発展し、それら生産様式が進化する。その進化を支えたのが情報工学を代表とする先端技術である。情報技術を進歩によってロボット等の情報工学産業、遺伝子技術産業、インターネットを活用した高度情報交換サービス産業、AIを活用した新しい情報処理や知的作業処理産業が形成発展している。これらのポスト工業化・先端技術産業は新しい経済システム、グローバリズムと知識を資源とする第四次産業が生産の中核になる社会を構築しようとしている。
A、前近代化過程 農業、林業、漁業等の一次産業中心、手工業社会
B、近代化過程 重化学工業社会化
C、ポスト近代化過程 情報化社会、


3、多様な経済制度の近代化過程の分類


資本主義経済


多様な国家の形態を資本主義経済の発展の度合い(レベル)で評価、分類するために、まず、資本主義経済を以下の概念で定義する。
1、一つは自由な経済活動、つまり流通の自由や労働や商品市場での自由な交換活動、
2、不動産、動産、及び知的な私的生産手段の所有権、
3、企業活動におる自由な経営的利益追求権
簡単に以上三つの経済行為を原則として資本主義経済活動は成立している。

これらの三つの経済行為がすべて満足されているかどうか、それらの行為の充足状況を基準にすることで多様な資本主義国家の形態を分類することができる。すでに、B.Amable の「資本主義の多様なモデル」で分析・分類された資本主義経済の多様な形態を参考にしながら、以下のように、分類を試みた

A、君主制国家指導型資本主義経済 戦前の日本、サウジアラビア王国、
B、社会主義政党・国家指導型資本主義経済、中国、ベトナム、キューバ
C、軍事政権指導型資本主義経済、エジプト、イラク、
D、国家指導型自由主義経済 軍事政権下の韓国、戦後から高度成長期までの日本 
E,自由主義経済 欧米諸国
F,社会民主主義政権指導型資本主義経済、北欧

社会主義経済


社会主義経済も経済の近代化過程で歴史に登場した経済システムである。社会主義経済は、資本主義経済が原則としている自由な経済活動によって生じる社会矛盾に対する経済的制度的な問題解決方法を提案しながら登場した。つまり、社会主義経済の定義を述べるなら、経済活動の自由よりも経済活動の社会的平等を重視し、その社会平等を原則にした経済制度を構築した。

以下、簡単に社会主義経済の定義を行う
1、生産関係の平等の原則、賃労働関係の否定
2、生産手段等の私的所有権を認めない
3、企業活動は社会全体の利益を求めて行われる
簡単に以上三つの経済行為を原則として資本主義経済活動は成立している。

すでに、旧ソビエト連邦の崩壊によって、社会主義経済の有効性は否定され、また、中国を始め政治的には社会主義国家を名乗る国々も、資本主義を導入し、社会主義経済を修正している。

. 社会主義経済 (国営企業中心)旧ソビエト連邦、北朝鮮
B、修正社会主義経済 資本主義化 中国、ベトナム、キューバ

以上、経済の近代化過程として資本主義経済と社会主義経済について述べた。この分類によって、北朝鮮を現代社会の多様な国家群の一つとして分類し、また、中国を代表する、一党独裁の社会主義資本主義政権化で推し進めている国家、国有企業と民間企業が共存しながら国家指導型で資本主義経済化を進めている社会主義経済国家に関しても分類が出来る。

4、多様な政治体制の近代化過程 民主主義政治


政治の近代化はフランス革命の三つ理念である自由、平等、人権(博愛)の確立と形成発展によって成立する。自由の概念は、個人の思想信条を重んじる自由主義として理解される。また平等の概念は、社会的平等を重んじる民主主義として理解される。さらに博愛は、人の生存権や人権を重視する人権思想として解釈される。

政治の近代化とは、国民主権を目指す過程を意味する。つまり、封建社会では政治権力は生まれながらにして与えられた権力者によって独占されている。政治の近代化とは政治権力がある特定の家族によって独裁継承されることのない体制を意味する。その体制では国王、皇帝、君主が個人的に権力を持つ。権力と個人が不分離な状態にある。つまり、そのためには、政治権力を持つ機能、その運営が国民によって点検され、選択されることが前提となる。選挙制度を持たない社会は、政治の近代化が行われていないと言える。

サウジアラビア王国を代表とする王族独裁国家は近代国家ではない。しかし、国王を国家元首としている国家、また戦前の日本のように天皇が国家元首であった国家も封建国家と違い、憲法がある。国王も天皇も憲法の規定によってその権力を与えられている。その意味で、封建時代の君主や国王とは異なると言える。法の支配によって国王が権力を与えられている国家は封建国家ではないが、しかしこれらの立憲王政や立憲君主制の国は、前近代的な国家であると言える。

また、中国のように共産党独裁の国家は、政治指導者は王族の家系継承者ではないが、国民全体で政治指導者を選ぶ選挙制度はない。つまり、ある特定の思想信条を前提にして選ばれた人々・共産党員の中で政治指導部が選ばれる。その意味で、前近代国家であると言える。

また、国家の理念を謳う憲法では国民によって政府は選ばれるとされながらも軍事クーデターなどで軍部が事実上独裁を続けている国がある。例えばエジプト、タイ、アフリカの軍事独裁政権等々。それらの国も、制度的には近代国家であるが現実的にはは上記した共産党独裁国家と同じように前近代国家と分類できるだろう。

政治の近代化が進んだ国家、欧米先進国を、私たちは一般に民主主義国家と呼んでいる。これらの国家を条件づけるものは、国民主権を謳う法による支配、国民による選ばれた代理人による立法活動、その立法に即して国家の機能を維持運営する行政機能、法の支配を維持するための司法機能、さらに国民主権の法の支配の下で機能する軍隊、警察機能がある。

最近、イギリスのEU離脱を巡る国民投票で国民主権・民主主義に基づくイギリスの政治を観ることができた。EU離脱交渉を進めている保守党のメイ首相は2016623日の国民投票の時点ではEU離脱派ではなかった。EU離脱を決定した国民に政治的判断に即して今日まで粘り強くEUやイギリス議会でEU離脱の条件に関して話し合いを進めている。メイ首相自身の政治的意見ではなく、国民が選んだ選択を最後の最後まで尊重し、それが仮に合理的な判断でないと首相自身が理解していたとしても、彼女の政治行動はあくまでも国民投票の結果に対して誠実な姿勢を取っている。保守党の党首メイ氏のこのぶれない一貫した姿勢にイギリスの民主主義政治文化の奥深さを感じる。

その点で謂えば、224日に行われた辺野古米軍基地の埋め立て賛否を問う沖縄県民投票の結果に対して、安倍政権が取った姿勢はイギリスの保守政党のそれとはまったく正反対であった。国民主権国家であるなら、選挙結果が法的な強制権を持たないとしても、その結果は沖縄県民(日本国民)の意見である。その結果を無視することは、沖縄県民の願いを無視することと言うだけでなく、国民主権国家の理念を無視する、重大な憲法違反の行為であることは言うまでもないだろう。少なくとも、政府は辺野古米軍基地建設を中止し、その意思を米国に伝え、米国との交渉を行うこと、もしくは、他の解決策を摸索する誠意を示すことが必要であろう。その意味で、日本は政治的な近代化、民主主義の形成に関しては欧米先進国に比べ非常に遅れている国であると言える。

A、前近代的政治体制 立憲王政 サウジアラビア王国
B、前近代的政治体制 一党独裁体制、中国、キューバ、ベトナム、
C,前近代的政治体制 軍事独裁体制 エジプト、アフリカの諸国、タイ
D,近代的政治体制 国民主権 一党長期政権体制 日本、ロシア
E,近代的政治体制 国民主権 政権交代政治体制 欧米、オーストラリア、ニュージーランド、韓国


5、多様な文化の近代化過程 人権主義文化


人権主義を最も侵害する行為は暴力である。最も巨大な暴力とは戦争である。戦争は無条件に人命、生活環境、財産を奪う。平和時に殺人や強盗は刑罰の対象となるが、戦争では敵を殺し敵の社会を破壊すことが当然にように行われ、その殺人や破壊は名誉な行為として評価される。人権を語る時、その国家が行う殺戮や破壊行為に対して批判が起こることは当然のことでる。

戦争、民族浄化(ジェノサイド)、テロ、殺人、暴力、差別、ハラスメント等々、命を奪い、財産を破壊し、身体を傷つけ、社会的立場を奪い、生活環境を破壊し、生活の糧を奪い、働く場を取り上げ、人間としての誇りを傷つけ、ことばによる暴力、偏見や差別等々、それらのすべてが人権を守る行為に反するものである。戦争からいじめやハラスメントまで、人々は非常時や日常時に常に人権を脅かす出来事に出会いながら生きている。

民主主義文化の究極の課題は人権主義文化の構築である。その意味で、軍事力によって国際的な紛争の解決を行うことが現実の紛争解決の最も一般的な政治手段となっているこれまでの歴史や現在の世界では人権主義とは絵に描いた餅のように言われるだろう。最も現実的な紛争を解決する政治的手段として軍事力の保持が言われ、そのために、より強い軍隊、より進んだ軍備が求められる。

現実の政治の現場では、理想的な平和主義は、実際の問題解決力を持たない考え方であると一言にして否定される。確かに、現在、日本が最も安価にしかも有効な防衛力を持つという課題を解決するとすれば、「ミサイルと核装備」が最も安上がりで有効な方法であることは言うまでもない。そしえt、その論理はすべての国にそのまま応用される。すべての国が、強大な核兵器の破壊力を防衛のための手段とするなら、簡単に核兵器が使われることになるだろう。

文化の近代化として人権文化は、その進化は、すでに上記した経済制度の近代化過程や政治体制の近代化過程に付随して、進化している考えられる。経済的豊かさいこそが、人権文化を醸成する土壌となり、また、政治制度の近代化が進まない限り、人権文化は現実の社会に根を下ろすことはない。その意味で、経済や政治の近代化過程の分類をそのまま、人権文化の進化、つまり文化の近代化過程に援用することが出来る。

A、前近代的人権主義文化 立憲王政 サウジアラビア王国 
B、前近代的人権主義文化 一党独裁体制、中国、キューバ、ベトナム、
C、前近代的人権主義文化 軍事独裁体制 エジプト、アフリカの諸国、タイ
D、近代的人権主義文化 国民主権 一党長期政権体制 日本、ロシア
E,近代的人権主義文化 国民主権 政権交代政治体制


参考
公益資本主義  https://ja.wikipedia.org/wiki/公益資本主義



2018年3月20日火曜日

第二期を迎えた政治社会学会の研究課題とは何か


三石博行 (政治社会学会理事長 NPO太陽光発電所ネットワーク副代表)



1、第一期の学会活動とその課題(2010年から2017年まで)


1-121世紀社会・科学技術文明社会と地域国際化社会での学会活動を目指す

「政治社会学会は、政治学、経済学、法律学、社会学などの個別科学を超え、自然科学的知見を取り上げ、現状分析に基づくプログラム設計を中心とした問題解決型の新学会を目指し201011月に発足」した。(政治社会学会HPより)

そして、学会は「現社会が抱える様々な問題解決のためには、異分野、異業種の有識者との活発な対話」、共同研究会等々を行ってきました。そのため、この学会では多様な視点から「問題意識を共有した研究者、産業界、行政等の関係者が多数参加」している。

また、この学会では学会員の各地域や各職場での日常的な研究活動を土台とし学会運営を展開するために、学会全体の研究大会のほか、「関東支部(関東政治社会学会)、関西支部(関西政治社会学会)、九州支部(九州政治社会学会)が独自に研究会を企画し年間を通じて活発な研究活動を行っている。

更に、2010年から韓国政治学会やソウル国立大学アジアセンターとの「日韓ジョイントコンファレンス」を日韓相互で研究会場を設けながら行い続けている。現在、日本の人文社会系の学術団体の中で、日韓相互の研究会を続けている学会は23しかなく、政治社会学会のその中で、極めて活発な交流活動を行って来た。

1-2、第一期学会活動の実績

21世紀社会・科学技術文明社会と地域国際化社会での学術活動を目指すことが政治社会学会の第一期活動を特徴付けている。この第一期の活動の主な3課題、政策基礎理論の構築、実践的な政策学研究を通じた実証研究、研究会様式の変革に関する課題について具体的に述べる。

A、総合的政策学基礎理論の構築

21世紀の社会(高度科学技術文明社会)での政策企画や実践の場では、文系と理系の知識の隔たりはなくすべての状況合理性を持つ知識が総合的に、その社会や時代の現実により適用する形で性で発揮される。その社会状況は時代的背景を前提にし、そこで生じている問題を絶対的ではなく、より状況合理的に解決するのが政策的な問題解決力である。

政策的な対応(問題解決)には多様な方法選択、政策集団の構成、政策企画、検討、手段、それらの過程選択がある。それらの選択で問われるのは、その選択の状況合理性のみである。それだけに、政策学の課題は知識や理論の合理性だけでなく、その総合的現実性とそれを総合的に点検評価する政策集団の力量と能力である。その力量とは、それを構成している政策集団の人材のみでなく、それらの多様な専門的知識と技能を持つ人材とそれらの機能を総合的に協働化し、かつ相互点検化できるシステムである。そのシステム形成こそ、総合的政策学の課題でもあると言える。

高度に専門化し分業化した科学技術文明社会での政策学は、政策立案と実践に必要な専門知識を幅広く集め、より合理的(経済的・効率的)にそれらの知識の協働関係、相互依存関係、相互点検関係を創り出すことである。このことを、ここでは状況合理性と呼んでいる。状況合理性とは、完全で絶対的な解を求めるのでなく、その政策対象と政策主体を構成している経済、政治体制、社会、文化、伝統、風土、人々、生活、時代性等々の総合的な視点を入れた解である。従って、その解は多様な政策対象と多様な政策主体によって無数に存在しているとも言えるのである。

そこで、本来無数に存在している状況合理的な政策企画や政策実践には、これまでの科学的合理性は通用しないと言えるし、これまでの経済学理論や社会学理論はそのまま通用しないとも言われることになる。総合的政策学が求めている科学性(科学合理性)はこれまで経済学理論を背景にしていた経済政策学、社会経済学理論を背景にしていた社会政策学等々の伝統的政策学とは異なる政策理論が必要となることは言うまでもない。

21世紀社会・科学技術文明社会での政治社会学の確立の課題にした本学会は、上記した総合政策学が抱える科学合理性の課題をいち早く取り組み、故吉田民人東京大学名誉教授が展開した総合情報学及び人文社会学系のための科学哲学・プログラム科学論と設計科学論を文理融合型・総合的政策学の科学的方法論として、荒木義修(武蔵野大学客員教授、本学会前会長、初代理事長)は提案した。

この提案、総合的政策学の科学理論としてのプログラム科学論と設計科学論は、当然、故吉田民人東京大学名誉教授が確立した理論ではない。故吉田民人のプログラム科学論と設計科学論は、その理論の学問的背景、「自己組織系の情報科学」によって先行研究され、導き出された科学的命題を基にして、これまで人間社会科学の概念として語られた、構造や機能の概念(マクロ概念)をプログラムというミクロ概念に置き換えることによって、人間の観念性(内的世界)と社会機能・構造性(外的世界)を統一的に表現する手段を見つけ出そうとしたのである。

しかし、この吉田プログラム概念とその学問的展開であるプログラム科学論の有効性は実証されてはいない。それを実証するための理論がプログラムによって構築されている世界、人間社会・文化生態界の構築の解明とその再構築・改革可能性の解明、つまり政策学の課題であった。言い換えると、総合的政策学は必然的に多様なプログラムを駆使した設計図の提案とその検証作業を意味する。その意味で、総合的政策学は社会文化のプログラム構造の理解とそのプログラム機能性や合理性の改革や変容による総合的人文社会プログラムの設計学であると言い換えることが出来るのである。

吉田民人はプログラム設計科学の科学性を「新プラグマティズムの構築」と考えた。このプラグマティズムこそ、ここで言う状況合理性なのであり、学総合的政策学の科学性を意味する。しかし、吉田民人の提案したプログラム科学論や設計科学論を土台とする総合政策学は成立しているとは言えない。この理論は問題解決を主題に置いた実践的な人間社会科学の基礎論(科学哲学)として提案されたものである。この吉田理論は構造主義や機能主義が述べた人間社会文化を構成している構造要素や機能要素をプログラム言い換えたに過ぎないと評価されている。つまり、総合的政策学の基礎理論として根拠としているプログラム科学論や設計科学論の現実であると言える。

とは言え、私達は高度科学技術文明社会の制度、建設、制御の課題として明らかに総合的政策学研究の一課題として、状況合理性・プラグマティズム科学哲学を基礎とする状況現実的で実践的な政策学の形成発展のため理論的な研究を進めなければならないのである。つまり、これまで本学会が伝統的政策学の変革を目指し、文理融合総合的視点に立つ設計科学としての政策学やその基礎理論(プログラム科学論)の研究を具体的な政策実践の中で、同時に研究する必要があることを意味するのである。

B、政策学研究を通じての実証研究

文理融合総合的視点に立つ政策学(設計科学としての政策学)や基礎理論(プログラム科学論)の研究を従来の科学哲学上の議論とするのでなく、具体的な政策問題の実践的解決をそれらの理論の実証点検作業と位置付けながら行う立場が本学会の課題であった。その視点から、以下、政治社会学会活動第一期を特徴付ける実践的な政策学研究を通じた実証研究課題を以下に列挙する。

☆ 文理融合型総合的政策学の諸課題、例えば食と農業、環境と自然エネルギー、地域活性化を目指す総合的政策とその政策主体の形成、地域貢献を目指す大学教育体制・PBL教育や総合政策学教育、選挙行為に関する社会調査と若者の選挙動向の研究、を挙げることができる。

☆ 政治社会学会を精力的に行った日韓ジョイントコンファレンスは、東アジアの平和的共存のための地域国際化社会の構築のための学術文化的土壌形成の一粒になると信じる。本学会では、地域国際化社会の形成とは、ローカリゼーションとグローバリゼーションが車の両輪として機能し、多様な地域経済社会の発展とそれらの交流によってこそ地域国際化社会化は進展すると考えて来た。その先端的社会実験を行っているEUの課題を取り上げて来た。取り分け、地域産業に直接影響するFPPに関する他の学会との合同研究会、イギリスのEU離脱問題に関して他の学会から専門家を呼んで研究会を開催した。

☆ 政治社会学会が設立した201011月から4か月後に起こった東日本大震災に対し、本学会は人文社会学系の学術団体が連携し、未曽有の大災害に立ち向かう日本社会を支援する「学会連携・震災対応プロジェクト」を呼びかけた。このプロジェクトによって多くの共同研究会や学術協働作業が試みられた。また、その延長上に、その後の自然災害への対応、原発事故に対する社会経済学の視点からの研究活動も試みられ、熊本地震での住宅用太陽光パネルの被害調査を行ったNPOとの共同作業も行われた。

☆ また、会員から限界集落問題、地域活性化政策、少子高齢化対策、地球温暖化問題、地球規模の環境破壊問題、旧ソビエト連邦カザフスタンでの核実験による健康被害調査、市民発電所建設運動、太陽光発電所の震災被害調査、科学技術政策、考える人材育成を目指す大学教育と地域社会連携等々の幅広い課題に関する研究報告もあった。これらの課題は、すべて科学技術文明社会の一面から生じたものであり、その解決も総合的(文理融合的、地域国際的、行政市民協働的)な政策形成が求められていた。

C、研究会様式の変革(参加型研究会様式の確立)

本学会はでは、これまでの学術団体の学会活動のスタイルの改革を試みて来た。まず、政治社会学会では研究会を講演会形式から参加型形式に変革してきた。その代表的な方法が荒木義修武蔵野大学客員教授(本学会前会長、初代理事長)が第4回研究大会から導入した「グループデスカッション方式」による分科会であった。この方式の導入の目的は、参加したメンバーを研究発表を聴く人から研究発表を評価し自分の考えを述べる人への変革と参加した若手研究者に出来るだけ多くの発言の場を与え、本学会を担う主体になって貰うことであった。

1-3、第一期研究会活動の課題

上記した第一期と分類された学会活動の中から以下4点にわたる課題を述べる。

A、基礎理論と実践的研究活動の相互点検関する課題

文理融合総合的視点に立つ政策学の基礎理論として故吉田民人氏のプログラム科学論や設計科学論を具体的な政策学に援用する目的は、最も現実的かつ有効な政策企画や政策実践が可能になることである。政治社会学研究者にとってプログラム科学論等の基礎理論に関する哲学議論には興味がないのである。基礎的な研究と実践的研究が相互に成立するための研究スタイル(共同研究方法)や議論の仕方についてこの後さらに検討する必要がある。

B、他の分野の専門家との協働研究の在り方に関する課題

多岐にわたる分野に関して政治社会学会はそれらの政治社会学的課題の抽出とその問題解決、政策学的展開の可能性を議論している。そこでは、政治社会学会のその問題に対する立ち位置をそれぞれの問題に関して専門的に研究する学術団体や研究会の専門家とよく共有しておかなければならない。その意味で、政治社会学会の会員にとって本研究会活動がその後の政策研究に繋がるように研究会活動の在り方を検討する必要がある。

C、研究活動の情報公開や情報発信力に関する課題

研究大会や支部研究会での素晴らしい研究発表が行われているが研究会への参加人数が非常に少ない場合がある。学会として参加者を増やす努力のみでなく、研究発表を公開する情報発信力を付ける必要がある。

D、研究会様式の改善

政治社会学会は、その発足から新しい学会活動を目指していた。その一つが上記した参加型研究会様式の確立であった。すべての本学会研究会活動が参加型研究会様式に改善されてはいない。この様式を色々な状況で行われる研究大会、支部研究会や講演会等々の学会活動の中に確りと定着させ、政治社会学会活動の基本、学会文化としなければならないだろう。


2、第二期の学会活動の様相と課題(2017年から現在)


2-1、第二期とは何か

政治社会学会の第一期の学会活動は、これまでの学術団体の型を破り新たな21世紀型の学会活動の在り方を模索し、そしてそれらなりに学会活動の在り方やそのスタイルを変化させ、本学会を進化展開させてきた。その意味で、この学会活動自体が一つの社会実験であるとも言えるだろう。

この学会の視点やその在り方もある荒木義修武蔵野大学客員教授(本学会前会長、初代理事長)を中心とする本学会の創設者たちの素晴らしい未来への直感と実行力によるものである。そして、その直感と感性をさらに載り越えながら、私達は21世紀型の政治社会学会を構築するための闘いを続けなければならないのである。それが第二期をむかえる本学会の課題であると言えるだろう。

第二期の課題はこの後の課題である。つまり、未来の課題である以上、ここで何が第二期の課題であると断言することは出来ない。第二期の課題とは第一期から引き継がれて来た課題とその課題から展開されたものである。そのため、現時点ではこれから展開する第二期の課題を俯瞰的に述べることは出来ない。

2-2、参画型研究活動の展開

政治社会学会は上記した第一期から、地域社会の活性化、持続可能な循環型社会構築、地域国際社会との平和的共存のための総合政策課題をテーマにした第二期に入ろうとしている。その第2期の基本的課題は上記した第一期の課題の延長線上にある。それらの課題の中から、今回は社会システムや社会文化資源の在り方の一つに参画型社会文化を構築するための政策課題について述べる。

上記した第一期研究会活動の課題の中の「他の分野の専門家との協働研究の在り方に関する課題」と「研究会様式の改善」に共通するキーワードは「主体性」、「参画型」、「協働型」である。本学会会員がより積極的に参加できる学会活動の在り方を模索することである。言い換えると、会員のための会員による学会活動の構築である。この課題を前提にしながら第二期の本学会の研究活動は学会員の具体的な研究課題として展開することになるだろう。

まず、そのためには学会活動を担う執行部・理事会のメンバーチェンジを大胆に行わなければならない。研究職の身分に拘らす若手の研究者が理事会に参加できるようにしなければならないだろう。更に、本学会の伝統である委員会活動、支部活動、専門部会が自主的に活動できる意思決定機能を磨き上げる必要があるだろう。

2-3、これまでの研究会活動の中で問われた課題 

21世紀社会が、20世紀型資源エネルギー・化石燃料時代の終焉への進行によって始まること、そのことによる国民社会、地域国際社会の安全保障の再検討、民主主義社会制度の維持が問われてることになる。そして、それらの具体的課題とは、第一期研究会活動で取り上げられてきた課題の延長上にあることは言うまでもない。また、それらの具体的な課題とは、第一期の課題をより深化させることによって展開することになる。

以下、それらの課題を大きく五つのテーマに分類した。

一つは、地域国際社会との平和的共存のための総合政策課題 は日韓政治社会学会のジョイントカンファレンスを展開している荒木義修武蔵野大学客員教授(本学会前会長、初代理事長)を中心とする国際交流委員会や新しく世界の日本学研究センターとの連携を目指す原田博夫専修大学教授(本学会会長)の研究活動によって展開している。

二つ目は、原田教授(本学会会長)を中心とする関東政治社会学会が連続して取り組んできました「持続可能な自然エネルギー社会の構築のための政治社会学研究」である。昨年も城南信用金庫の吉原氏の講演会、今年もJAICAEU、取り分けデンマークでの取り組みに関する研究報告がなされている。

三つ目のテーマは、今回の 「21世紀社会の中で問われる参画型社会」のテーマである。このテーマを2018年からの関西政治社会学会の基本テーマに位置づけ、政府機関、市民団体、NPO、行政、学生組織、大学、地域大学連携、企業、地域行政連携等々に呼びかけながら幅広いテーマで研究交流・人材交流を行う企画が新川達郎同志社大学教授(本学会前理事長)によって立てられ、展開されてきた。また、荒木先生は政治社会学会とは別にご自分が運営されています研究所でこの課題に類似した研究会を開催している。

これら上記した三つのテーマは、基本的には一つの大きな視点、つまりこの学会設立の基調となった「21世紀社会の政治社会学理論・設計科学としての政策学を目指す」テーマを土台にして成立している。その意味で、上記三つのテーマは第一期のプログラム科学論と設計科学論を土台とする政策基礎理論を具体的な政策実践によって実証する研究として再度位置づけられている。この実証研究を第二期の政治社会学会の研究活動の中で問われる四つ目のテーマとして位置付けることができる。

最後に、政治社会学会の在り方、参加型研究会様式、協働型研究活動様式、教育機能を持つ学会活動、社会貢献を重視した学会活動、地域国際共同研究の推進等が、前期の課題を引き継ぎ、さらに第二期で展開発展する21世紀型学会活動の形成のテーマ、五つ目のテーマとなる。

これらの五つの課題を前提にしながら、今後、政治社会学会は、果敢に21世紀の日本社会文化の形成、さらには東アジアの平和的共存、そして世界レベルでの科学技術文明社会での人文社会学の構築、その最先端科学技術としての総合的政策学の構築に向けて努力し続ける必要である。