2013年7月31日水曜日

旅立ち





三石博行



その時、過去と呼ばれる履歴の先に、約束された未来という新たな予測が消え失せ
目の前は暗黒の世界となる。

もはや、予定された未来はない。
新たに現れた現実は、過去の履歴方程式から一切の未来の解を求めることは出来ない。

私は、過去の時空の切断された暗黒の現実に立たされて
自の決意を後悔する。

もう、元には戻れない。
もう、今までの精神時空の延長線に安堵の世界はない。

私は、目の前の余りにも暗い世界に慄き
今あった確信がことごとく不安の海に沈むのを見る。

もう、元には戻れない。
もう、今まであった生活慣性力の延長線上に私の存在はない。

眼前の暗黒の現実は、私が望んだものではない。
断絶された約束の未来は、私が予測したものではない。

しかし、今、私は暗黒の現実と
過去の履歴からの断絶の道を敢えて選んでしまった。

そして、「僕の前に道はない。 僕の後ろに道は出来る」
と詠うのなら、
日の照らされた希望の路ではないことを覚悟せよ。
夢に溢れた愉快な路ではないことを知れ。


挑戦とは、暗黒の現実の中を、戸惑いながら進むことなのだから。


解説

人には、運命と呼ばれる今まであった過去の世界が突然消えうせる瞬間や、絶望的な現実を受け止めなければならない瞬間がある。また、積極的に今までの生活のしがらみを断ち切り、無謀な旅に出ることもある。それが未来と呼ばれる未知への挑戦なのだ。災害や不幸という運命に立ち向かう人々、進んで過酷な旅に出る人々、そして無謀な旅で命を落した人々。 それらの人々へ、「それでも生きるのだ」、「それでも私は旅にでるのだと」いう叫びの歌を書いた。


2013年7月31日(修正)

--------------------------------------------------------------------------------



0 件のコメント: