2016年7月16日(土)開催の第4回関西政治社会学会研究会のプログラムの案合をお送り致します。以前企画しておりました「1部 テーマ 食文化-京料理を語る-」は、2016年7月23日(土)の第5回関西政治社会学会研究会での開催に変更されました。皆さまにご迷惑をお掛けしましたことを深くお詫び申し上げます。
今回の第4回目の研究会では「市民参画型社会の構築に向けて」をテーマにしまして、3名の報告者のお話しを用意しております。
一つの報告では、長年、市民による政策提案活動とそのシンクタンクを構築して来ました「市民がつくる政策調査会(市民政調)」を運営されてきました小林幸治氏から、これまでの活動に関する経験談をお話しして頂けると期待しています。
二つ目はは、地方自治の重要な市民参画促進政策として注目をあびている「協働政策過程」に関する研究報告を小田切康彦氏が行います。その行政部門や市民への影響についてお話しして頂けると期待しています。
三つ目は、自然生態文化社会環境に直接影響されて成立する「農業・産業」は、それらの多種多様な条件によって、それぞれの地域固有の多様な形態があり、日本の農業は、それらの条件によって成立してきた日本的生産様式とその生産手段としての農村コミュティによって成立する。この共同体的構造を社会学的視点から分析し、産業革命以後の生産様式を支えている利益社会的構造との違いに触れながら、日本型農村社会がもつ「参画型社会」の様式について、長年、農業社会経済学を研究されてきた河村能夫氏が、農業大学校の教育を通じて得た経験を基にしながらお話しして頂けると期待しています。
2部の自由セッションでは、
銀行は預金の単なる仲介者であり、かつ貨幣が創造している。この「債務貨幣システム」下での銀行の役割について、銀行の機能をシステムダイナミックスのモデリング手法を用いてを分析する。
そして、一定期間の取引高から需給を捉えるフローアプローチと一時点の資産残高から需給を捉える方法ストックアプローチの二つの理論が表裏一体のものであることを示しながら、日銀の量的緩和(QE、アベノミックスの第1の矢)の失敗に言及する。この問題を解決する手段はあるのか。山口薫氏は、「公共貨幣システム」と呼ばれている貨幣システム、貨幣の不安定性を除去する代替的なデザインを紹介する。このシステムによって、貨幣の安定性、景気変動除去、さらに消費増税なしでも可能な政府債務の可能性について言及する。現在、財政政策で苦しむ現代資本主義社会に必要な貨幣システムについてお話しして頂けると期待しています。
三石博行 関西政治社会学会会長
参加自由、参加費無料
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開催 挨拶 13時00分-13時05分
三石博行 (関西政治社会学会会長、認定NPO太陽光発電所ネットワーク)
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1部 テーマ「市民参画型社会の構築に向けて」13時05分-16時20分 (200分)
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報告者1、小林幸治氏 特定非営利活動法人 市民がつくる政策調査会(市民政調)事務局長
タイトル 「市民による政策提案活動と法制化の取組み事例―市民政調の活動から」 15時30分-16時10分 (40分)
要旨
1997年に設立した市民がつくる政策調査会(市民政調)の約20年間の取組みから、市民政調の目的や活動内容の紹介と、その取組みの過程で市民・市民団体がどのように具体な政策提案に取組み、その実現のためにどのような経過を辿ったかなど、具体的な事例から市民政策提案活動の実践と法制化の取組み事例を紹介する。
質問 (10分)
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報告者2、小田切康彦氏 徳島大学准教授
タイトル 「地方自治体における協働政策のインパクト」(40分)
要旨
近年の地方自治を議論するうえで重要な概念のひとつとして挙げられるのが市民との「協働」である。地方自治体による協働政策が推進され、その制度化や実践が展開されている。同時に、学術的にも大きな関心が寄せられ、学際的に研究等が蓄積されている。しかし、これまで、協働の概念や形成過程に関する研究が盛んに行われる一方で、その出力や成果については十分に議論されてこなかった。自治体の協働政策の推進が何をもたらしているのか、というインパクトの諸相は明らかになっていないといえる。本報告では、こうした問いについて、次の3つの視点からアプローチすることを試みる。第1は、協働が政策過程に及ぼす影響である。協働によって政策の民主性や効率性は変化するのか、あるいは政策の質や水準等に影響があるのか、といった点である。第2に、協働が自治体行政へ及ぼす影響を検討する。行政部門へもたらす影響として、民主化という観点を取り上げる。そして第3に、協働が市民へ及ぼす影響である。権力関係上、弱い立場にある市民側へもたらす功罪について議論する。
質問 (10分)
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報告者3、河村能夫 (京都府立農業大学校校長 龍谷大学名誉教授 REC顧問)
タイトル 「農大から見えてきた日本農村のすがた 」(40分)
- 参画型社会の原型としての農村コミュニティ -
要旨
産業革命以降の社会発展をティンニエスは産業革命以降の社会発展をGemeinschaft(英訳:community)からGesellschaft(英訳:association)への転換として把握した。農村社会から都市社会への展開を社会の発展と把握してきたのである。
しかし、農業は地域の自然環境や社会環境により直接的に影響されるため地域固有性が強く「農業は地域によって異な」り、その農業を地域経済の基盤とする農村コミュニティも、地域固有性が強く、地域によって異なる。重要なのは、それがどう異なるかである。例えば、日本の農業とその上に形成される農村コミュニティは、米国の農業とその上に形成される農村コミュニティとは異なる。その違いを本論では、前者をGemeinschaft的農村コミュニティ、後者をGesellschaft的コミュニティと把握している。重要なのは、そのそれぞれに於いて、社会発展のメカニズムと合理性が異なることを認識しながら、環境変化に対応した政策を構築することである。
質問 (10分)
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グループデスカッション (50分)
デスカッション (40分)
グループ報告 (10分)
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休憩16時20分-16時35分 (15分)
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2部 自由セッション 16時35分-18時15分 (100分)
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報告者1、山口薫氏 (日本未来研究センター代表)
タイトル 「Head and Tail of Money Creation and its System Design Failures -Toward the Alternative System Design -」 16時20分-17時00分 (40分)
本研究報告は、第34回国際システムダイナミックス学会(7月18日、デルフト、オランダ)で報告予定の共著論文の内容を2日早く国内で紹介するものです。
部分準備制度のもとで貨幣が創造される現行の「債務貨幣システム」下での銀行の役割について、過去1世紀以上にわたって2つの理論が共存してきました。一つは、銀行は預金の単なる仲介者に過ぎない(貨幣は外生的に与えれる)というもので、もう一つは、銀行は無からお金を創造している(貨幣は内生的に創造される)というものです。共存とはいうものの歴史的には前者が支配的で、後者は1929年の大恐慌の直後からつい最近まで「タブーサブジェクト」とされてきました。システムダイナミックス(SD)のモデリング手法を用いて、本研究では、前者を「フローアプローチ」、後者を「ストックアプローチ」と呼びます。
本研究の目的は3つ。第1に、フローアプローチとストックアプローチはお互いに排他的な理論ではなく、コインの表と裏のように同じものであるということを示し、1世紀以上にわたる銀行論争に終止符を打ちます。第2に、ストックアプローチ(フローアプローチでも可)のSDモデルを用いて、現行の債務貨幣システムは、好況と不況、インフレとデフレを繰り返しもたらす不安定なもので、日銀の量的緩和(QE、アベノミックスの第1の矢)を失敗させたように、デザイン欠陥であることを示します。
質問 (10分)
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グループデスカッション (50分)
デスカッション (40分)
グループ報告 (10分)
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閉会の挨拶 18時15分-18時25分 (10分)
新川達郎氏(政治社会学会理事長、同志社大学教授)
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懇親会 18時30分-20時30分
場所 芙蓉園(既に予約済)
http://www.fuyouen.net/参加費2000円、学生1000円
関西政治社会学会事務局 連絡
Hiro.mitsuishi@gmail.com
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