2016年8月5日金曜日

第1回KMCイノベーション研究会・関西政治社会学会 共催講演会(8月27日)

文系と理系の研究者技術者の共同講演会の企画 共催講演会企画の意味

関西政治社会学会は京都大学工学部機械系同窓会(京機会・KMC)イノベーション研究会と共同で講演会『産業ツーリズムと地域再生』を開催することになりました。この企画は、政治社会学会(関西政治社会学会)に取って、新たな試みとなります。と言うのも、政治社会学会は、その成立の当初より文理融合を課題にし、俯瞰的(総合的)政策学の理論と実践の学を形成しようと志した人々の集まりでした。俯瞰的文理融合型政策研究と実践の展開や形成は、文系と理系のあらゆる分野の人々の相互交流と協働を可能にする制度や活動の形成は勿論のこと、その融合型協働が可能になる科学基礎論(科学哲学)やそこから生み出される新しい科学技術、政策、社会理念等の評価点検を行う活動が必要なのです。
この文系と理系の二つの組織の共同講演会は、上から日本の学術文化の変革・2000年日本学術会議が日本の大学教育研究の変革として掲げて俯瞰型研究の提唱(吉川弘之氏と吉田民人氏による)を、ある意味で社会の現場から起こそうとしているとも言えます。つまり、企業や社会の現場では至極当然の俯瞰型文理融合政策・技術開発が、学問の府と呼ばれる大学の研究教育の場では、最も遅れているのが現実なのです。従って、この文理融合型政策提案は、総合的に課題を解決しなければならない社会の問題解決の場で展開されるのだと言えます。
また、この文系と理系の共同の講演会は、今までの講演会、演者と聴衆に二元分離したイベントから、参画型で交流型の討論様式を取り入れながら、新しい研究会と呼ばれる活動を展開しようとしています。それは、問題解決のための議論と交流の場から始まる活動を目指しているのです。言い換えると、この研究会活動自体が、総合的政策提案やや技術開発の企画のための実験だとも言えるのです。問題を解決しようという意志がない限り、新しい方法や技術、知識も生まれ得ないのだと思います。それがこの協働の研究会活動と呼ばれる実験装置の作成に問われているのです。いまだ十分に形成展開されていない俯瞰的(総合的)政策学の理論と技術を提案・検証するための装置として、この研究会活動を位置付けたいと思います。
関西政治社会学会会長 三石博行
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◎第1回KMCイノベーション研究会・関西政治社会学会 共催講演会
『産業ツーリズムと地域再生』
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日時 2016年8月27日(土)14時00分-18時00分 (240分)
場所 同志社大学烏丸キャンパス志高館 
https://www.doshisha.ac.jp/inform…/…/imadegawa/karasuma.html
参加自由、参加費無料
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共催講演会開催の経過と趣旨


京都大学工学部機械系同窓会・京機会(KMC)イノベーション研究会は、本年、「地域再生」(公共圏におけるイノベーション)をテーマとして、科学技術だけでなく、公共政策やイノベーションを支える理論、思想、哲学までを含む俯瞰的な研究ネットワークをイメージし、企業人だけでなく、大学、官庁、諸学会など幅広い活動経験をもつ人々と組織との連携を目指してまいりました。このたび、大阪大学、リヨン第三大学(AM・リュー名誉教授、科学哲学)、ストラスブール大学(PhD三石博行氏)とご縁がつながり、成立の当初より文理融合を課題とし、俯瞰的(総合的)政策学の理論と実践の学を形成しようと志された人々の集まりである関西政治社会学会(三石博行会長)と首記のテーマで合同講演会を開催することとなりました。
京都大学工学部機械系同窓会 KMCイノベーション研究会座長 林 完爾
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開催 挨拶 
林完爾 氏  京機会 KMCイノベーション研究会座長 (10分)
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第1講演 高木英彦氏 NEDO関西支部支部長 NPO法人ツーリズム研究機構コーディネータ
題名「産業ツーリズムを通した地域イノベーション」 (70分)
インバウンドという言葉が、図らずも身近なものになってしまった昨今。インバウンド=爆買いの考えを排し人的交流の一面として捉えて、その経済的、社会的効果を整理・理解し、我が国および海外諸国がともに発展する方策を考えることが重要だ。
人的交流は、ビジネス面での交流が大きな経済効果をもつにもかかわらず、わが国では観光(Sightseeing)という面でのみとらえられている。未だに役所は観光庁となっている。一方、海外ではツーリズム(Tourism)という大きな概念でとらえており、ビジネス出張と物見遊山の観光旅行をトータルに考えている国がほとんどである。
産業ツーリズム(Industrial Tourism)は、海外で通じる立派な英語であり、わが国では、ツーリズム研究会の代表であった故住野昭氏によって広められた概念である。今では耳慣れたものになった「産業観光」もその一部をなすものである。
今回は、これまでさまざまな機関で取り組まれてきた産業ツーリズムを紹介するとともに、その本質を議論し、特に地域経済にとってどのような意味を持つのかを、質疑応答により発見される新たな知見も含めて考えていきたい。地域(企業)には、自らイノベーションを起こすきっかけを提示できれば幸いである。
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ディスカッション  (30分)
問題設定、視点・仮説提供
ファシリテーター 林 完爾氏
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休憩 20分
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第2講演 新川達郎氏  同志社大学教授 政治社会学会理事長
題名「これからの自立的地域再生と政策実現のための環境づくり」(70分)
要旨
人口減少や縮小社会にどう対処するのか。日本は超高齢社会、縮退社会、あるいは縮小社会の時代に入っており、その当面する衰退問題への対応が大きな課題となっている。将来予想では、2060年人口は今の2/3、そのうち40%が65歳以上になるという。人口政策あるいは将来の国民生活のビジョンが試されることになる。残念ながら、これまで高齢者対策はあったが若年層や将来の持続可能な人口への議論はあまりにも少なかった。
この問題は、地域社会においては、より尖鋭に表れる。人口減少や少子高齢化の影響が地域によって大きく異なるからでもある。地域の課題として、それぞれの地域の将来像をどのように描くことができるか。一般には、消滅可能性都市あるいは消滅自治体問題として議論されるようになっているが、市町村レベルの地方自治体の半数が持続不可能かともいわれている。
確かに、従来からの過疎高齢化と大都市圏に見られる限界ニュータウンや限界マンション問題、また都市内限界町内会問題など、持続可能性が課題となっていることは確かである。市街地中心部も郊外住宅地も、そして中山間部も直面する人口減少と少子高齢化に対して、どのように取り組んでいったらよいのか。
こうした現状にあって、地域の活力を維持するとはどのような基準で考えればよいのか、そしてどのような条件を整えれば、そうした地域の活力を維持できるといえるのであろうか。地域の持続可能性こそが問題になるのであるが、それには、経済的にも社会的にもそして環境的にも将来展望の可能性がなければならない。それを端的に表す指標として、基本的に人々が特に若者が集まる地域であり、その若者の集まる数が増える地域、そうした地域にこそ地域住民が集まり力を発揮することができるといえるのではないだろうか。
そうした地域の基本的な条件の一つは前述のように社会経済の機能維持と発展である。産業経済や生業が現実に活性化する地域こそが望まれているし、実際、地域ごとの様々な努力が伝えられている。とはいえ現状のままでこれらを維持することは難しい、地域が持つ資源を総動員して、地域の活力を維持することに努めなければならない。とはいえ、それは、地域資源を使いつくすことを意味しているのではなく、「保続」概念に見られるように、資源を維持し、繁栄を続けることこそが肝要となる。そのためには、同時に日常的な社会経済のイノベーションが必要となる。地域において人々の活力を引き出すことができるイノベーションを社会や経済の諸活動において起こしていくことが肝要となる。
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ディスカッション  (30分)
問題設定、視点・仮説提供
ファシリテーター 三石博行
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閉会の挨拶
三石博行氏  関西政治社会学会会長 (10分)
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懇親会 18時10分-21時00分
場所  芙蓉園
http://www.fuyouen.net/
参加費2000円、学生1000円
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関西政治社会学会事務局 連絡
同志社大学烏丸キャンパス志高館新川研究室
 hiro.mitsuishi@gmail.com
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