2007年12月16日日曜日

日本とフランスの大学教育改革の課題

2007年10月定例会報告 日仏共同シンポジュームに参加して
高等教育研究会 2007年度11月ニュースレターから
 

河村能夫(龍谷大学教授 Ph.D)
三石博行(千里金蘭大学短期大学部准教授 Ph.D)


第四次産業の発展と大学改革の課題・大学改革の国際交流活動の共通視点

産業革命以来、経済システムを構築している三つの産業構造の埒外に、20世紀後半から 研究開発産業と呼ばれる新たな産業が萌芽してきた。その新興産業は第四次産業と呼ばれている。現代社会経済システムは、この第四次産業である研究開発産業の発展と、その第一次産業から第三次産業への融合的展開(脱工業化社会化を推進した産業構造の展開)によって特徴付けられている。この特徴付けを、科学技術文明社会、高度情報化社会、政治経済システムの国際化等々と呼んでいる。何れにしろ、21世紀の経済社会文化は、研究開発産業、研究開発労働、科学技術の大衆化によって進化していくことは疑えない。

第四次産業の形成と発展によって、産業革命以来、唯一の先端的知の生産を行う機能としての大学の立場が崩壊しようとしている。今日の大学は、新興勢力・研究開発産業(第四次産業)の知的生産の社会的機能の立場を認めなければならない。また、 研究開発を産業活動の重要な要素としている現代社会経済システムの中には、知的生産の技術だけでなく、その継承も職業的に調査開発されてきた。何故なら、産業活動を維持し発展するための専門的知識の教育は、現代の産業活動にとって、その死活問題を掛けた重要な課題となっている。

その意味で、知的生産の技術や方法に関する研究開発も企業活動として展開している。このことは、社会的生産活動に必要な専門教育を担う伝統的な大学教育の立場は、すでに喪失しかかっていることを理解しなければならない。つまり、今日、我々が取り組んでいる大学改革も、この歴史的な社会経済システムの変化・第四次産業の形成と発展の中で、問われている課題の一つにすぎない。

例えば、現実の大学改革の現場で登場する大学改革のための理論は、競争原理の導入という新古典派的経済イデオロギーを背景にして、聖域なき制度改革論のとして大学改革案が持ち出される。そして、仮にその改革が不調に終わるなら、教育は経済法則の外にあるという教育機能の反動的な聖域論が復活する。この改革論は市場競争という現状認識以外に、今日の大学が理解出来ていない。また同様に、教育は超社会的、超経済的な行為という観念論が支配する以上、変革は不要でしかない。つまり、その二つの極論の拮抗、「聖域なき競争論」か「美しい日本の教育論」かの議論ではなく、新しい産業社会の中で大学教育の社会的機能を理解し、その存在理由を問いかけることによって、大衆化した日本の高等教育産業の中で繰り広げられている改革に、長期的な方向が議論されるのである。

また、大学教育の改革や制度の改革の為に、第三者機関による大学評価や社会的評価が行われている。この社会的評価は、大学の社会的評価を理解するための大切な手段である。しかし、同様に、一時的な大学評価を絶対視することは、大学改革にとって危険であることも、他方で理解しておくべきである。つまり、社会的評価を目の前にしたとき、それを解釈、理解、受け止める評価された人々のあり方が問題になる。

その意味で、第三者評価や点検を、活用する主体が問われる。改革の主体である大学人の改革提案や活動の視点や理論的背景、確信を点検することが、そこで問題となり、求められていることになる。っている。ここでも、21世紀の社会におこる産業構造の変化や国際社会の変化を前提にした大学の社会的機能に関する課題を、産業界や社会と共有する作業が問われることになる。大学改革は大学内では不可能であるという当然の結論が、その共有作業の前提条件となるだろう。その意味で、第三者評価は、批判される大学と批判する社会の構図を脱却して、新しくコラボレーション作業という意味を持つのである。

同時代の全ての大学は、好むと好まざるに関わらず、知的生産の社会機能(第四次産業)の一部、知の大衆化を推進する社会的機能、科学技術社会を担う研究開発産業の労働者育成機能等々、新たな社会的機能を、すでに担い、これからさらに担うことになる。その中で、大学の存在理由を問いかける過激な模索過程を前提とした大学改革論が提起されるのである。何故なら、現実的に検討される高等教育の制度、教授法やカリキュラム改革も、伝統的な高等教育のパラダイムとその新たなパラダイムとの葛藤の上に成立している。その意味で、高等教育変革と呼ばれる同時代的な社会実験のための仮説を明確にする必要があると考える。

社会文化の環境条件のもとで、同時代的社会実験としての大学改革は、多様な形態と進化過程を示している。それらの実験の仮説が共通しているなら、多様な大学改革の具体的な事例に基づく課題から、仮説の点検活動を共有することが可能になるだろう。

つまり、新たな産業構造の形成によって進行する大学の社会的機能に関する点検や評価活動は、その社会や歴史の流れに規定されたものであり、その具体的な形態は、その環境によって多様である。しかし、それらは、国内の異なる大学、世界の大学や教育行政においても、同時代の共通した視点をもって、それらの行動が選択されているので、改革課題の探求作業の行き先に共同の課題を見いだすことができるのである。

フランスでの社会的経験を大学の学位として認可する制度(2002年1月から開始)に関する調査活動や、アメリカのハーバード大学やカリフォルニア大学サンフランシスコ校やバークレイ校で取り組まれているジョウイントプログラム(グル−プ学習)に関する研究会(龍谷大学大学教育開発センター主催)を通じて、大学改革の課題を国際的的な視点からの学習を進めてきた。その中で、異なる大学改革の課題の背景に我々日本の研究者に共通する視点が存在することを理解した。

国際的な大学改革に関する研究調査活動は、すでに、比較教育学を専門にする研究者にとっては、珍しいことではない。それに関して、今まで、多くの研究成果が報告されてきた。

高等教育研究会では、昨年、2006年9月、フランスのストラスブールにあるフランス文部省仏日大学館で、ルイ・パストゥール大学と共催して「日仏共同シンポジューム –大学とその社会機能について- 」を開催した。また、2007年7月に大学改革に関する国際交流活動を推進するグループを立ち上げた。高等教育研究会での第一回目の大学改革に関する国際交流活動の報告を、2007年10月11日の10月定例学習会で行った。

この議論の中で、大学の大衆化を推進する第四次産業の勃興・第二次産業革命の時代的背景を前提にし、高等教育制度の変革課題を考察することが研究会の参加者の共通した認識となっていた。その上で、ヨーロッパにおける大学改革、大学コンソーシアム京都のインターンシップ制度、アメリカでの大学改革の具体的な実例が引き合いに出されながら、活発な議論がされた。


2006年9月7日日の仏共同シンポジュームと大学教育や制度の改革に関する共同研究機構の提案

2006年度9月7日、フランス文部省仏日学館、ルイ・パストゥールストラスブール第一大学が後援して、教育とコミュニケーションの科学に関する共同研究機関(フランス国内)、VAE(社会での経験を大学の学位として認定する制度)機構(ルイ・パストゥール、ストラスブール第一大学)、京都日仏協会日欧学術教育文化交流活動委員会、高等教育研究会の共催で、「大学とその社会的機能」で日仏共同シンポジュームが、ストラスブールにあるフランス文部省仏日学館で開催された。

このシンポジュームはルイ・パストゥール大学副学長の挨拶で始まり、開会記念講演を河村能夫龍谷大学教授が行った。研究会の発表者は10人で、日本からの発表者は3名、河村能夫、三石博行、津守浄子氏であった。特に、河村能夫氏の「大学コンソーシアム京都でのインターンシップ制度の取り組み」に関する報告は非常に評価が集まり、報告の後にフランス文部省仏日学館の館長から、発表の内容を当館のホームページへの記載をお願いされた。

このシンポジュームの後に、ルイ・パストゥール大学教育学科長や教育とコミュニケーションの科学に関する共同研究機関、ルイ・パストゥール大学VAE機構のメンバーと今後、大学改革に関する共同研究活動を提案された。ルイ・パストゥール大学教育学科としては、龍谷大学や高等教育研究会と共同の大学教育と大学制度の改革に関する共同研究機能を検討したいとの提案がなされた。
2007年3月22日、24日、26日と河村能夫教授と三石博行准教授はTriby教授(ルイ・パストゥール大学教育学科長)とNikeng博士(ルイ・パストゥール大学VAE機構部長)と会議を開いた。以前提案された共同研究機構に関する意見交換を行った。その意見交換を基にして、今年5月にTriby教授とNikeng部長から、「大学と研修」と題する共同研究プロジェクトの提案がなされた。

共同研究プロジェクトでは、大学教育での教授法に関する共同研究、特に職業教育に関する課題が具体的に挙げられていた。これらの課題については、今年7月に河村能夫教授から高等教育研究会理事会に提案がなされ、高等教育研究会では、大学改革に関する国際交流活動の専門部会が検討されてきた。

2007年9月5日から20日に掛けて、Triby教授、Nikeng博士と三石博行准教授で4回に渉って会議が開かれ、5月に提案された共同研究プロジェクト案の検討がなされた。日本側からは学術振興会の日仏共同研究基金申請を進める提案を行った。フランス側からは、その内容の具体的な提案課題を今後展開するためには、フランス側から5月に提案された共同研究プロジェクト案を相互に検討する時間が必要であると提案された。
今後、高等教育研究会の部会(大学改革に関する国際交流活動部会)として、フランス側の提案を研究会のメンバーに提案する作業を行い、フランスの研究者との共同研究課題を高等教育研究会会員の報告しながら、会員の参加を募り、進めて行きたいと考えている。


ヨーロッパでの大学教育と制度の改革 Erasmus制度を推進するヨーロッパ大学センターの役割

大学教育の国際化はすでに始まり、アメリカの大学を始め世界から学生を獲得するための大学制度の改革が進んでいる。ヨーロッパでは1989年にEU国内での教育改革としてErasmus制度が確立した。同時にフランスは、この制度に順じた大学制度が始まった。つまりイギリスやドイツなど他の国々との同じように2年の修士課程を設けた学制制度に改革したBologne制度が導入された。

まず、ヨーロッパの大学改革の流れを作っているErasmus制度について語る。この制度は、主に学部の学生を対象にした共同教育制度である。EU国内の学生は、学部や学科の教育課題を前提にして、EU国内のどの大学でも履修が可能となる。EUが一つの国として成立する条件に統一した教育制度の確立が課題になる。その課題がこのErasmus制度の成立である。

この制度を作ることによって、EU国内の大学間の競争が生まれた。そのため、フランスでは1970年に行った大学改革に相当する大きな大学制度の見直しが進み、これまでの一つの都市にある幾つかの大学を一つの大きな大学に統合する計画が進んでいる。例えば、ストラスブールでは、1970年以前は一つの大学であったが、それ以後、三つの大学に分離した。

この分離によって、学部の意思決定がスムースになった。しかし、それぞれの大学の改革で、共通する学科や研究機関が発生し、資源の集中化を考えると無駄が多くなっている。そのため、2008年から今までの三つの大学を一つにまとめ、学部学科の再編、教育研究機関の整備を行う計画が進んでいる。これらの流れは、フランスの大学が国内の競争でなく、EU国内の競争が課題になっているためである。

Erasmus制度の中で、まず問題になるのは、学生の移動を可能にするための制度の確立である。そのためにはEU参加のすべての大学での大きな制度改革やそれぞれの国の文部省レベルでの具体的な対応が必要となった。また、その移動によってEU国内のそれぞれの大学教育への混乱を防ぐための制度や規則が必要となった。EU国内の高等教育の共通した基準を作り、その中で、ヨーロッパ大学コンソーシアムを可能にするための制度が問われた。

例えば、学力や学識の共同の評価基準であるが、当然、移動する学生は、それぞれの出身国の大学で行った最初の大学入学登録の条件を前提にして、EU国内の移動の条件が決定されることになる。他の大学への移動を契機に、他の専門分野に勝手に登録することは出来ない。入学資格に関係なく勝手に学部の変更は認められない。

さらに、EU国内の全ての大学での専攻分野教育での共通した履修限定条件が、当然であるが、コンソーシアム内部の学生移動の前提となる。そして、学部教育は、EU国内の全ての大学に於いて、一年間に60単位の修得が義務づけられている。つまり、フランスの学部3年間では、180単位が卒業要件となる。

例えば、スペインの学生がスペインの大学で2年間学習し、120単位を修得してフランスの大学に来たとする。学部卒業に必要な単位は60単位残っている事になる。その残りの単位をフランスの大学で取らなければ、フランスの大学を卒業する(EU国内の大学卒業資格を得る)ことは出来ない。日本の大学との違いは、一科目の単位数が異なる。例えば、EU国内では、語学は3単位が認められている。外にも日欧間では細かい制度上の違いはある。

EU教育部門が参加国の文部省と精力的に開発してきた課題は、移動する大学生の生活条件を確保することであった。何故なら、EU国内の経済格差は歴然として存在し、旧東欧圏の学生が英仏ドイツのEU中心国で勉学するためには、経済的な支援が必要となるからである。例えば、ストラスブールの三つの大学では、Erasmus制度を推進するために、Pôle universitaire européen de Strasbourg ( ストラスブール ヨーロッパ大学センター)を創っている。この機関は、三つの大学が共同で、EU国内から来る学生の教育支援のみでなく、経済支援、生活支援を行うものである。奨学金、学生寮、下宿、町の施設、市電や市バス交通機関、町の地図、学生サービス制度等々の紹介を行っている。

例えば、ヨーロッパ大学センターの資料(Bilan Agora de rentrée 2006)によると、2006年度にストラスブールの三つの大学に転学のために相談のあった件数は、約4万6千件で、52%がフランス国内の学生から、41%がEU国内の学生からの相談であった。人文社会系の大学であるストラスブール第二大学に関する相談は全体の44%を占めている。法学部が中心のストラスブール第三大学に関する相談は25%を占めている。理科系に第一大学への相談は22%である。

また、2005年の10月に比べて2006年は59%も相談件数が多くなっている。ヨーロッパ大学センターへの相談で最も多いのは生活相談であり、例えば住民票の移動や大学サービス施設(食堂や大学寮)等の相談が多い。このセンターのサービスに対して、59%が非常に有用であると答え、37%が十分有用と答えた。つまり、このサービスに十分満足した人や満足した人は96%に及んでいる。

これらの資料から、ストラスブールの三つの大学(学生数約4万人)の例をとっても、年々、EU国内やフランス国内からの移動相談が増えている。つまり、Erasmus制度がEU国内で着実に定着しつつあることが理解できる。


ライン河上流地域での地域別大学教育研究と制度の改革運動 EUCOR制度

大学の教育研究の改革をEU加盟国内でより地域的な繋がりのある7つの大学間で推進してきたのがEUCOR制度である。ライン河上流盆地では、1970年代からライン河の汚染を巡る共同研究が、ドイツ、フランス、スイスの大学間で進み、共同の研究活動が展開していた。1989年のErasmus制度の成立を機会に、ドイツのFribourg大学、Karlsruhe大学、スイスのBale大学、フランスのルイ・パストゥール大学、Marc Bloch大学、 Robert Schuman大学、 Haut Alsace Mulhouse-Colmar大学の7つの大学で、学部と修士課程の教育交流を主題としたErasmus制度に対して、大学間の共同研究と大学改革の共同機構を目指す制度が、1990年から始まった。

7つの大学間で、教育と研究、さらには大学改革を課題にして展開されてきた三つの国のある限定された地域での大学間協定である。現在、これらの7つの大学の学生数は約10万人と言われている。また教員研究者数は5千人と言われている。

そして、この制度は、Erasmus制度と違いEU国内全体が取り組んでいる大学間の協定ではないので、それだけに予算の規模の小さい。しかし、この制度は、教育、つまりErasmus制度が学部の教育に関する制度であるのにたいして、大学院の博士課程の教育や共同研究をも課題にしている。それは、Erasmus制度のように広範な国内全体を対象にしていないだけ、研究者の移動がライン河上流地域に限定しているために、簡単であるために可能になっている利点である。
 
EUCOR制度ストラスブール本部のJacque Sparfel 部長に話によると、EUCOR制度内部での大学改革の例として、これらの大学で、文学部考古学科の学生数が減少したとき、EUCOR参加の7つの大学で話し合いが持たれ、考古学科の資源を拡散させないため、大学間での学部学科の統廃合を行ったとのことである。

EUCOR制度は、Erasmus制度に吸収されつつあるという印象であったが、大学改革は地域との関係が緊密に関係するものである。その点では、ヨーロッパで唯一国を越えて大学間の地域協定として展開しているEUCOR制度の存在も注目に値する。

VAE制度(社会での経験を大学の学位として認定する制度)のヨーロッパ化とその課題

2007年8月28日から31日まで、ルイ・パストゥール大学でフランス全土の大学教育に関する研究会がルイ・パストゥール大学で開かれた。50近くの研究発表の中で、VAE制度と教育に関する討論も活発に行われた。2002年1月から始まったVAE制度は、すでに今年の9月で5年と8ヶ月を迎え、多くの経験を持ち、また課題を抱えている。そこで、9月5日から20日に掛けて、Triby教授、Nikeng博士と三石博行准教授との研究会の中で、現在のVAEに関する課題を議論した。

Triby教授が強調していた課題は、VAEは社会で働く人々の教育を課題にしているため、その学位のあり方が、大学内の研究者育成の学位や高等教育の内容と違うのは必然で在り、そのことを前提にした制度としてのVAEのあり方を見直す必要があると言う意見であった。つまり、専門職教育と大学の大学院教育のあり方を検討する必要があるということである。すでに、学部では職業学部課程と一般学部課程が存在している。そして修士課程でも職業修士課程と一般修士課程が存在している。博士課程を今後、改革し、職業博士課程と一般博士課程を検討すべきという提案であった。

Nikeng博士は、VAEの学位認定の在り方を課題にしていた。つまり、社会の専門機関での知的生産レベルは高い。その中で経験を踏まえてきた社会人を、大学の研究期間を標準にして学位の認定の判断を行うことが出来るかという課題であった。科学技術社会では、はるかに社会の専門機関の知的レベルは高いし、知的生産能力は優れている。そのことを大学研究者が理解し、その中で、どのようにして社会人のそれらの能力を認定する公の機関を作ることが出来るかという課題である。

日本では、博士課程にはVAE制度はないが、社会人が博士号を取得する制度はすでに存在している。その過程では、社会人の博士号審査が行われるのであるが、審査を受ける請求人は審査を行う教員と偶然に一緒になることはない。つまり、指導教員と博士号申請者の間で、過去に師弟関係や共同研究の関係があることが一般的である。

その意味で、日本の制度は、博士号申請者の博士論文の内容に、すでに指導し審査する教員が関係しているという条件が成立しているため、フランスのVAEで生じている課題は生まれない。しかし、それだけに、日本の制度では、学位授与の制度は大学の研究室の人間関係に限定される事になる。

今度、フランスで6年近く実験されてきたVAE制度を見直す作業が進むと思われる。この制度が、科学技術文明社会での大学の社会的機能を問いかけ、その時代にあった大学のあり方を模索するための制度であるとすれば、同じ文明社会にあるわが国の高等教育の改革課題として、フランスの経験は有用な資料となる。今後、高等教育研究会の大学改革の国際交流活動グループとして、フランスの研究者の提案を検討し、研究会のメンバーに、Triby教授(ルイ・パストゥール大学教育学科長)が具体的に提案した共同プロジェクト案を検討して貰いたいと考えている。


三石博行 河村能夫

2007年11月13日

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