2010年7月14日水曜日

現在の三つの大学教育課題

三石博行



現在、日本の大学は、知識の修得、技能のスキルアップと積極的な学習姿勢を身に付ける、という三つの教育課題に取り組んでいる。

一つ目の課題、知識の習得は、これまで大学教育の課題として取り上げられてきたものである。

二つ目の「技能の習得」については、これまで理工系、応用科学系で重視されていた演習科目課題で取り上げられてきた。しかし、我々の社会機能や生活様式が、科学技術技能の大衆化や情報化社会によって、大きく変化してきた。つまり、国民の大半が日常的に情報機器や先端技術機器を活用している。この時代や社会の要請を受けて、すでに1980年代から人文社会科学系の学部でも表計算ソフトや情報処理技能の演習科目やプログラム入門の科目が取り入れられ、伝統的な理工学部の技能教育が全学部共通教育の課題になっている。

三つ目の「学ぶ姿勢の習得」は、上記した二つ目の「大学の大衆化」によって生じてきた課題である。1989年の我が国の高等教育機関(大学24.7%、短大11.7%、高専0.5%、専修学校16.0%)への進学率は高校卒業者の約52.9%であった。2004年では高等教育機関(大学42.4%、短大7.5%、高専0.8%、専修学校23.8%)への進学率は高校卒業者の74.5%になった。(Wikipedia) つまり、学校基本調査の資料から、2004年には3分の2の若者が高等教育を受けているのである。

高等教育が社会のエリート育成を目的にしていた時代、まじめに大学で「学ぶ姿勢」に関して問題にすることは、大学入学資格を得る以前の問題であると考えられていた。つまり、この初歩的な姿勢を持たない人間が社会のリーダーとなるはずがないので、「学ぶ姿勢の習得」に関しては、大学教育の課題として考えるというのでなく、個人的な学習意欲の問題という学生個人の大学生活に対する責任問題して語られてきた。



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