2020年5月4日月曜日

COVID-19感染防止に対して、日本政府は正常な科学的判断力を持っているだろか。(2)

2、日本政府(COVID-19感染拡大防止対策の司令塔)の判断は正しいのだろか。

日本政府の取ったCOVID-19感染拡大防止対策は、第一段階が2月初期からの中国武漢から入国者への対策・クラスター対策であった。この対策は一応評価できた。徹底したクラスターの調査と感染者可能者への調査による感染確認者のあぶり出しによって、感染拡大は食い止められた。

しかし、感染源が判明できない「市中感染」が広がった段階からは第一段階の感染対策(クラスター対策)では対応できない状態になっていた。

しかも、第一段階の感染可能者の判明基準が現実的ではなかった。それをいち早く指摘したのが病院でのCOVID-19感染が起こった和歌山県の対策であった。この教訓を厚労省・感染対策本部は学ぶことはなかった。何時までも、「37.5度以上の熱が4日以上続く場合」「中国からの帰国者」等々の条件に拘っていた。

ましてや、PCR検査を行うことを判断するのは保健所の職員であり、医療の現場で患者に接する医師ではなかった。数少ない保健所の職員が電話で相談してくる人々に対して、一人30分以上の時間を掛けて、きめ細かい行動・移動歴を調べ、また発熱等の症状を事こまめに聞き取り、基準に合う人々に対してのみ、PCR検査を行った。その数は相談者数のなかのほんのわずかな数に過ぎなかった。。

PCR検査の普及拡大が問題にあっても、あた総理大臣がお願いしても、国会で一日万件できますと答弁しても、検査件数は検査を希望する数に比例して増えなかった。

こうした現実に対して、PCR検査は技術的にも難しく、それが出来る専門家がいないとか、PCR検査をこなう装置や検査試薬がない とか、耳を疑うような話がまことしなやかに報道されている。もしそうなら、「医先進国」日本と言う形容詞をやめて「医療後進国」日本であると、まず厚生労働省の官僚、日本政府は自覚しなければならないだろう。

2020年2月初めから一貫してCOVID-19感染拡大に関する報道を行い続けてきた「報道1930 BS-TBS」で、PCR検査の必要性が常に課題になっていた。2月初旬から4月初旬の2か月間の時間が経っても、PCR検査は普及しないのである。この原因は何か。それは単に、PCR検査体制を阻止している人々(集団)がいるという問題と言うよりも、もっとその原因を生み出している問題の深さを感じるのである。

つまり、日本ではPCR検査によって陽性となった感染者を「COVID-19感染者」と呼んでいる。その数が世界の他の国々に比較して少ないことが「日本でのCOVID-19感染対策が成功している事実を示すデータ・現実」として評価されてきた。今でも、その評価は変わらない。

しかし、「慶応大学病院のHPには、4月6から12日では97人の検査では0%、4月13日から19日までは、67人中5人、7.46%、4月13日から19日までは67人中4人、5.97%、そして4月20日から26日までは60人中2人、3.33%、さらに4月27日から30日までは34人の検査で誰も陽性者はいなかったと報告されている。」(1) 同時に、「その後同じ病院で研修をしていた医師99人に対してPCR検査を行なったところ、18人が陽性となったことが明らかになっている」(2)と報道されていた。

この事実から、慶応大学病院では外来患者や医師のPCR検査を行うことで、院内での感染状況を調査し、その対策を取り、院内感染を防止する努力がなられた。しかし、他の多くの病院では、このような対策が取られているかが問われる。医療機関はCOVID-19パンデミック対策のための基幹機能である。その意味でも、院内感染をまず防止するための政府の一貫した対策が急がれる。

この現実は、言うまでもなく、病院の外(院外)に多くの感染者がいて、それらの未確認感染者が通院や入院をしていることによると理解しなければならない。そのことが、最も恐れる「医療崩壊」の原因となっているという今後の状況を予測させていることである。

この深刻な事態を理解できないほど、日本の厚労省官僚や政府、感染症対策本部の専門家たちは無知なのだろうか。無知という次元で語っていいのだろうか。私が恐ろしく思うのは、この国を滅ぼしかねない人々がCOVID-19感染拡大防止対策の司令塔にいるということなのだ。


2020年5月4日、フェイスブックに記載

2020年7月8日、修正
(1) 高鍬博医師からの情報で修正を行う。
(2)https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5ea0dbfcc5b699978a32fbbc
三石博行 ブログ文書集「パンデミック対策にむけて」

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