2012年3月21日水曜日

谷口修一医師講演「原発作業員に対する自己造血幹細胞事前採取の提言」をYouTubeで紹介

谷口修一医師講演YouTube動画目次


三石博行

谷口修一医師の講演会の意味

2011年12月3日、京都市山科区の医療法人クリニックサンルイで、自己造血幹細胞移植による白血病の治療で世界的にも有名な東京、虎ノ門病院の血液内科部長谷口修一医師を招待して、京都奈良EU協会の第五回京都講演会「医師・専門家からみた福島原発事故」を開催しました。

谷口修一先生は、お忙しい中を京都に駆けつけ、9月に予定していた講演「原発作業員に対する自己造血幹細胞事前採取の提言」を三時間も時間を割いてお話ししてくださいました。

谷口医師はこれまで開発してきた「自己造血幹細胞移植による白血病の治療法」を、原発作業員の職業病(白血病)予防に活用するために「谷口プロジェクト」を立ち上げてきました。この谷口プロジェクトの提案は残念ながら現在でも政府・厚生労働省でも評価されていません。

世界が評価する谷口プロジェクトを日本も認めるべきだと2011年5月14日に開催され「医師・専門家からみた福島原発事故」講演会シリーズの第一回目の講演会で平岡諦医師(大阪中央病院顧問)が述べ、その後平岡医師の計らいで谷口修一医師の講演が実現しました。

放射能汚染と住民の被曝の実態は時間が経つごとに深刻さを増しています。この現実は福島原発事故の当初からあったわけですが、被曝情報が公開されなかったために、さらに放射線被曝を深刻にさせてしまったと思われます。

と同時に原発事故の処理は困難を重ねながら行われています。この事故処理にかかわる多くの作業員の安全や健康問題は真剣に議論されているのだろうか。現在の政府や東電の対応が問われています。つまり、命をかけ原発事故処理に携わる多くの作業員の今後発症するかもしれない白血病等の職業病に対して真摯に対応しなければなりません。それは最低限の東電や国のやるべきことだと思えるのです。

誰がこの重大な原発事故から国土を守っているのかを考えれば、事故処理を行う作業員のこれからの健康や生活を守ることは当然の行為だと思うのです。

さらに、東日本の広範囲に拡散した放射能物質が引き起こす環境汚染や放射線被曝は日を増すごとに深刻な問題となるように思えます。1986年4月26日に世界を震撼させたチェルノブイリ原子力発電所事故による環境汚染や住民の健康障害の事実が示すように、地域経済の打撃のみでなく、福島県やその周辺の人々、特に幼児の放射線被曝による健康障害が問題となる可能性を否定できないと思います。

そのため、出来るだけ早く日本国民の放射線被曝による健康障害(白血病)対策を行うべきだと考えます。そして、国は谷口プロジェクトを拒否するのでなく積極的に谷口プロジェクトと今後の国民の健康障害対策を急ぐべきだと思います。



YouTube動画紹介

谷口修一医師講演「原発作業員に対する自己造血幹細胞事前採取の提言」1

平岡諦医師(大阪中央病院)からの講演の説明

第1回京都奈良EU協会京都講演会「医者・専門家から見た福島第一原発事故」の講演者平岡医師が放射能物質の汚染とそれによる被曝問題は人権問題となる。また、国際化する被曝問題、40年前の原発技術の検証、食品汚染(消費者庁の機能不全)、谷口プロジェクトの課題、被曝者救済の幹細胞移植課題、自己造血幹細胞移植の推進、そのための行政の課題、全員を対象とした人権問題の配慮、自己造血幹細胞事前採取を行った作業員への配慮等々が提案された。

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谷口修一医師講演「原発作業員に対する自己造血幹細胞事前採取の提言」2
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谷口修一医師講演「原発作業員に対する自己造血幹細胞事前採取の提言」3
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谷口修一医師講演「原発作業員に対する自己造血幹細胞事前採取の提言」4
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谷口修一医師講演「原発作業員に対する自己造血幹細胞事前採取の提言」5

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谷口修一医師講演「原発作業員に対する自己造血幹細胞事前採取の提言」6
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谷口修一医師講演「原発作業員に対する自己造血幹細胞事前採取の提言」7
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谷口修一医師講演「原発作業員に対する自己造血幹細胞事前採取の提言」8
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谷口修一医師講演「原発作業員に対する自己造血幹細胞事前採取の提言」9
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谷口修一医師講演「原発作業員に対する自己造血幹細胞事前採取の提言」10
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谷口修一医師講演「原発作業員に対する自己造血幹細胞事前採取の提言」11
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谷口修一医師講演「原発作業員に対する自己造血幹細胞事前採取の提言」12
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谷口修一医師講演「原発作業員に対する自己造血幹細胞事前採取の提言」13
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谷口修一医師講演「原発作業員に対する自己造血幹細胞事前採取の提言」14
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MRIC by医療ガバナンス学会Vol.85 「なんとしても原発作業員は守らねばならない」

http://blogs.yahoo.co.jp/tankou_2008/34413464.html
「青山繁晴氏のファンサイト・淡交プログ」より

MRIC by 医療ガバナンス学会
http://medg.jp/mt/
のVol.85 「なんとしても原発作業員は守らねばならない」
http://medg.jp/mt/2011/03/vol85.html#more
に記載された谷口先生の文章を紹介します。


医療ガバナンス学会 (2011年3月25日 14:00)  虎の門病院血液科 谷口修一
2011年3月25日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

以下引用文

「福島原発の放水作業に従事された東京消防庁職員の記者会見に胸を打たれた方が多いのではないかと思う。指揮をとられた隊長さんが男泣きをこらえ、時に嗚咽しながら、出動した隊員や送り出されたご家族に対して感謝と謝罪の言葉を述べておられた。出動された隊員およびご家族も、想像を超える世界ではあるが、我が身顧みずとも、なんとしても地域住民ひいては日本国民を守りたいという強烈な使命感で業務に従事されたものと考える。しかし、それではいけない。彼らにそんな思いをさせてはならない。技術者は現代の先駆技術を駆使して彼らを守り、我々医療者は有効な予防法を考え実行し、万が一の不測の事態でも、絶対に救命するという覚悟で、たった今準備、実行せねばならない。

その準備とは、私の携わっている領域で言えば、作業に当たる方々の自己幹細胞を事前に採取し凍結保存しておくことであり、場合によってはそのために未承認薬を用いることである。

急性の放射線障害は、嘔気、嘔吐、疲労感などの全身症状から個々の臓器障害に伴うものまで、さまざまな症状が発現しうる。造血幹細胞移植領域では、白血病などの悪性細胞を死滅させる目的で広く全身放射線照射が行われている。通常の移植医療では全身に12Gyの照射が行われる。放射線障害は細胞回転(分裂) が速い細胞が障害を受けやすい。よってこの線量を照射すると、まず生殖機能と骨髄(造血)機能が確実に破壊される。ほかの臓器は比較的維持されるため造血組織が障害されている白血病などの血液疾患には適切な治療法とされる。この場合、精密に計測された情報から全身に一様に放射線が照射されるが、放射線事故ではまだら状に照射を受け、局所の被曝量も大きく異なるため、全く同じようには考えられないが、参考にはなる。さまざまな悪性腫瘍の治療(脳、肺、食道、乳がんなど)で局所の放射線治療が行われるが、その線量は照射野を限定しながらではあるが、通常30-50Gyの照射が行われる。いかに生殖機能と造血機能が放射線に感受性が高いかがご理解いただけると思う。これを逆に考えると、急性放射線障害の中には、造血障害だけが致命的であるという状況も起こりうるわけである。

造血幹細胞移植医療ではこの12Gyの全身照射の後、血液を作りだしていく造血幹細胞を血管から点滴で輸注する。一時的な効果の輸血と異なり、この造血幹細胞は骨髄組織にたどり着き、そこで細胞分裂が始まり(生着)、新たなる血球を作り始め、その造血機能は一生涯維持される。白血病細胞は全身放射線照射で死滅し、あらたなる正常な造血が始めることにより、白血病が治癒するわけである。この場合、造血幹細胞はHLA(組織適合性抗原;兄弟で1/4の確率で一致)が適合したドナーから、もしくは患者さん自身から採取される。通常、全身麻酔下で骨に針を刺して骨髄液を採取する方法とG-CSF(顆粒球コロニー形成刺激因子:本来体内に存在する白血球を増やすサイトカイン)を投与した上で血管から特殊な採血で採取する(3時間ほどかかる)。いずれの方法もその高い安全性が日本造血細胞移植学会の長期間にわたるドナー調査で証明されている。

これらの知見から考えるに、高度な危険状態に置かれる可能性のある原発作業員から事前に幹細胞を採取・保存しておくと、仮に不測の事態となり、造血機能が危機に陥っても、この幹細胞を点滴で輸注するだけで回復する。ドナーさんから移植する方法もあるが、この場合GVHD(移植片宿主病)と呼ばれる免疫反応 (副作用)が生じ、時に危機的となる可能性があるが、自己幹細胞であればその心配もない。もちろん他の臓器の障害もある場合は同時にその治療も行われるが、過去の事例が示しているがGVHD予防・治療を行いながらの診療はかなり複雑なものになる。この方法の有用性は、未だ実施はされていないものの(実際にこれらの技術が可能となってから放射線事故が起こっていない)、世界中の専門家諸氏からその有用性が積極的に指摘されている。具体的には、私信ではあるが、Powles R博士(ヨーロッパ骨髄移植学会原子力事故委員会委員長)、Gale RP博士(元国際骨髄移植登録機関代表、チェルノブイリ・ブラジルの放射線事故時も率先して治療に参加した放射線障害医療の第一人者)、Champlin R博士(米国MDアンダーソンがんセンター)らも高く推奨しており、この福島原発事故を受けてLancet誌でも取り上げられる予定である。これらは必要ならば許可を得た上で開示する。Gale博士は既に来日しており、記者会見で「移植は他人からでもできるが、遺伝子の違いによるGVHDと呼ばれる合併症の危険などがあり、場合によっては命にかかわることもある。この危険は、自分のものを使えば避けられる。なので、作業にあたる人は、前もって自分の末梢血幹細胞を採取、保存しておき骨髄移植に備えておくべきだ」と述べている。
(https://aspara.asahi.com/blog/kochiraapital/entry/sWh2otqZz6 参照)

実際にG-CSFを使用して幹細胞を採取するには4-5日かかる。1-3日目はG-CSFを筋肉注射するだけではあるが、やはり重要な任務を前に時間がかかりすぎると思われる。虎の門病院では海外で使用されているが国内未承認のモゾビルという薬剤の使用を考え、既に当座の50人分の輸入の手続きをとり成田空港までは届いている。この薬剤とG-CSFを使用して、1泊2日(もしくは2泊3日)の入院で採取・保存する計画である。初日は午後入院で、事前の検査を行い、夜12時頃このモゾビルを皮下注射で投与し、翌朝G-CSFを皮下注射し、9時頃から採取を開始、12時頃に終了し、夕方には安全性を確認して退院という方法で、既に当院では準備が整っている。これで6-7割の方は目標量が採取できるが、達しない場合はもう一泊していただく。もちろん未承認薬を使用するため、関係諸氏にその効果と安全性については十分な説明を行い、一定のコンセンサスが得られる必要があるが、既に海外での広い使用実績があり、また民族的に近いとされるアジア地域でも使用されている薬剤であるので、この緊急時に使用するのが妥当である。ここで考えているのは、保険診療ではない。作業にあたる人を医学的に保護しようという『事業』である。是非、政治判断で迅速な判断をお願いしたい。

本日になって飛び込んできた情報であるが、米国国防省が放射線被爆時救命目的で開発した5-androstenediol(NEUMUNE) なる薬剤も既に動物実験での有用性とヒトでの安全性が確認されており、その使用を打診されている。実際の使用に関しては国防省がらみで米国が動いてくれるとのことである。得体の知れぬ物質の投与は躊躇されるが、事態は急を要する。現場の治療者・医学研究者の知識としてはモゾビルが精一杯であるが、使用するなら政治判断であろう。

この文章はいたずらに国民の不安をかき立てる目的ではなく、不測の事態を危惧しながらも決死の覚悟で原発最前線の業務に従事される方々を守らねばならないという一心で記載した。関係者の英断を期待する。」


引用、参考資料

1、MRIC by 医療ガバナンス学会 Vol.85 「なんとしても原発作業員は守らねばならない」
http://medg.jp/mt/2011/03/vol85.html#more

2、「青山繁晴氏のファンサイト・淡交プログ」
http://blogs.yahoo.co.jp/tankou_2008


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関連ブログ文書集

ブログ文書集「東日本大震災からの復旧・復興のために 震災に強い社会建設を目指して」の目次
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ブログ文書集「原発事故が日本社会に問いかけている課題」の目次
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