被曝危機や安全の極論に対して健康障害の実態を正しく理解する必要性
三石博行
生活者原発作業員の放射能被曝の実態を語る長尾医師
2011年8月16日に開催された京都奈良EU協会の京都講演会「医師・専門家からみた福島原発事故」第四回講演会に長尾和宏医師(長尾クリニック院長)をお呼びして、「原発作業員の労働衛生―放射線障害の不確実性と多様性―」に関してテーマで話をして頂いた。
兵庫県尼崎市で地域医療を展開する長尾和宏医師は、これまでアスベスト問題、市民の健康管理や医療相談を積極的に行ってこられた。医師の枠を超え、これまでの病院やクリニックの枠に囚われた医療活動の限界を超え、地域社会独自の健康問題、環境問題、社会問題を取り上げてきた、正しく尼崎の「赤ひげ」である。
原発作業員の健康問題も長尾医師には非常に身近な課題であった。何故なら、尼崎には原発に関連する工場があり、それらの工場から多くの作業員が原発で仕事をしているからである。その意味で、長尾医師はこれまで、原発作業員の健康管理を行ってきた専門家である。
今回の東電福島第一原発の事故は、長尾医師にとって、遠い世界の話でははく、これまで医師として原発作業員の健康管理や検診をしてきた立場から、避けて通れない、寧ろ、積極的に調査し、実態を理解することによって、今後の関西地域の原発作業員の健康管理にとって大切な経験となる事例であったと言える。
医師の立場から、被曝をどう理解しべきか。長尾医師は講演の最中にも、まるで自問するように語ってくれた。この貴重な映像を公開したいと思う。被曝のマイナス面をのみ強調し、危機感を煽りたてくことも、長尾医師は警戒すべきやり方だと述べた。生活のために作業現場に行かなければならない人々へのこころある人間医師、赤ひげ長尾先生のことばであった。
長尾和宏医師の講演YouTube公開
長尾和宏医師の講演をYouTubeで公開
長尾和宏医師講演「原発作業員の労働衛生―放射線障害の不確実性と多様性―」1/9
長尾和宏医師講演「原発作業員の労働衛生―放射線障害の不確実性と多様性―」2/9
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長尾和宏医師講演「原発作業員の労働衛生―放射線障害の不確実性と多様性―」4/9
長尾和宏医師講演「原発作業員の労働衛生―放射線障害の不確実性と多様性―」5/9
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長尾和宏医師講演「原発作業員の労働衛生―放射線障害の不確実性と多様性―」7/9
長尾和宏医師講演「原発作業員の労働衛生―放射線障害の不確実性と多様性―」8/9
長尾和宏医師講演「原発作業員の労働衛生―放射線障害の不確実性と多様性―」9/9
参考資料
「福島原発事故から立ちあがる市民」
「原発作業員の労働衛生―放射線障害の不確実性と多様性―」長尾和宏医師の講演
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