2014年12月18日木曜日

中間補色の織りなす表現戦略 岩本拓郎氏の絵

三石博行

岩本拓郎作(2014年12月16日)


岩本拓郎氏のフェイスブック
https://www.facebook.com/takurou.iwamoto.73?pnref=story

「中間補色の織りなす表現戦略」

*** 1 ***

岩本拓郎氏の絵を観ていると、中間色の語る物語が聴こえまるようです。中間色で彩られた色彩物語を想像してしまうのです。

日本人は多彩な中間色の文化の中で生活し、会話をしているように思います。

もし、私の記憶に間違いがなければ、以前、拓郎さんは、私に「西洋風の油絵技術は日本人には使いこなせない。色を重ねる技術が油絵と日本画では異なる。」とお話していたと、記憶しています。

拓郎さんの絵は、「極端な色彩」を避けているように感じるのです。多分、その意味は、強烈な補色を用いることで、失うものを感じているのかも知らません。強烈な色彩を避けることで、多様で豊かな補色表現を引き出しているのだはないでしょか。

極端な主張を好まない日本人は、色彩も原色を使うのを避けるかも知れませんね。そこには、日本的な風土の在り方の形が存在しているのかも知れませんね。


*** 2 ***

岩本拓郎さんの芸術には、「これは私独自の創作活動なのです」というメッセージが添付されていない。

「今日は、こういう気分でした」という軽やかな挨拶めいた語りが伝わってくるようだ。

だが多分、それは私の勝手な解釈で。彼は、寝る間もなく、色彩たちの議論を聴き入っているのだと思う。

そして、色彩たちの会話に付き合いながら、夜がが明け、そして筆を取り、その断片をスケッチしてみた。

スケッチした彼らのお話を、「お早うございます」と我々友人に言うように、送っている。

「今日は、こんな面白い話をきいたのですよ」と色彩たちの会話を、 白い寒気に包まれた森のアトリエから 、私たちに紹介しているようだ。


*** 3 ***

岩本拓郎さんの描く色彩空間から飛び出してくる
造形の光に、私は常に魅せられる。

そこで、
私は、「描かれた線は偶然なのですか。それとも、何かの形として表されたものなのですか。」
と彼に聞いてみた。

形象化しようとする表現戦略に隠された文脈
中間補色の織りなす表現戦略に隠されたメッセージ

それは夢の中の表象のように、
観る者が視られる世界に登場しているのだと、
言っているようだ。

彼から電話が掛かってきた。

多分、文字にできない多くのことばを抱え
忙しいアトリエの作業を中断し

私に迸るように話したことは

私が彼の絵から受け取る
色彩空間のリズムに関する説明であった




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