2014年12月18日木曜日

他在する世界内自己・他者としての自己 岩本拓郎氏の絵から

三石博行

岩本拓郎作(2014年12月16日)

岩本拓郎氏のフェイスブック
https://www.facebook.com/takurou.iwamoto.73?pnref=story

岩本拓郎氏の絵から聴こえる世界。それは「私に対する対象世界」・色彩表現ではなく、「対象世界に存在する私の世界」・色彩表現でした。

つまり、中間色間の織りなす補色の網目から、「それは(その世界は)私としての他者」である世界なのか、それとも「それは他者としての私」という世界なのかという課題でした。

言い換えると、我々は自己をどのように認識しているのかという疑問を常に突き付けられ、その答えを求めて生きています。

そして、自己とは、世界に対して存在していのであると結論し、自我を世界に対自しながら形成しようと考えることもできます。

また、逆に、自我を他者の存在やそれとの関係の中で位置付けようとすることもできます。つまり、対自された世界を逆に自己の世界として位置付けようとする試みです。日本的な自我はこの考え方に基づく場合が多いですね。

拓郎さんのこの絵を観ていると、無数の中間色とその補色関係が織りなす色彩世界が、後者、つまり、外的世界として観えたものに内在している自己ではないかという世界内自己の直感的な理解を感じてしまいます。

そして、沖縄でどくいりおむすびを渡した日本兵の懺悔が、戦争の悲惨さの物語に加わることを要求していると感じるのです。殺した側と殺された側に共に存在している悲劇が戦争の悲劇だと、色彩世界は言っているようです。

それによって、キリストとピエロ、サーカスと人生、この一見して結びがたい二つの共通項を見出すことが出来るのかもしれません。


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