哲学に於いて生活とはそのすべての思索の根拠である。言い換えると哲学は、生きる行為、生活の場が前提になって成立する一つの思惟の形態であり、哲学は生きるための方法であり、道具であり、戦略であり、理念であると言える。また、哲学の入り口は生活点検作業である。何故なら、日常生活では無神経さや自己欺瞞は自然発生的に生まれるため、日常性と呼ばれる思惟の惰性形態に対して、反省と呼ばれる遡行作業を哲学は提供する。方法的懐疑や現象学的還元も、日常性へ埋没した惰性的自我を点検する方法である。生活の場から哲学を考え、哲学から生活の改善を求める運動を、ここでは生活運動と思想運動の相互関係と呼ぶ。そして、他者と共感しない哲学は意味を持たない。そこで、私の哲学を点検するためにこのブログを書くことにした。 2011年1月5日 三石博行 (MITSUISHI Hiroyuki)
2011年12月3日土曜日
新しい社会政策の模索の時代、問われている21世紀社会の姿と理念
三石博行
2011年3月11日、東日本大震災と東電福島第一原子力発電所事故(以後、福島原発事故と呼ぶ)が発生したその日から、日本の社会は大きな課題に直面した。大震災や大原発事故への対応に現れた政治、行政、経済、社会や文化のシステム上の問題としてその大きな課題は現象化した。しかし、それらの現象はすでにこれまで1990年代の日本経済を襲った経済問題(バブル経済の破綻)やその後の社会経済力の低迷、そして相次ぐ冤罪問題等々これまでの新聞紙面に大々的に報道された社会現象(事件)のかたちを取って現れ続けていた。
敏感な人々はこの問題の本質を見抜いていた。それは一言で言うなら、これらの問題は、日本が成熟した社会・民主主義文化を持つ社会への発展の過程で問われていた社会的構造・機能に関わる課題から生じていると言えた。この国のかたちと呼ばれた社会の基本的構造・機能に関して、これらの問題が示唆していることは、これまでの政治、社会経済文化等の政策が限界に来ているということであった。その解決策には多くの見解が存在している。
それらの見解はすべて国民は政党政治の埒内で検討吟味し続けてきた。例えば、反自民党政権で成立した1993年の細川連立政権(細川内閣の取り組んだ政治改革・公職選挙法改正や政党資金規正法と生徒助成法等)、自民党を打っ潰す(ぶっつぶす)と呼び掛けて圧倒的に選挙選で勝ち抜いて成立した2002年小泉政権(小泉内閣の市場原理主義の導入と小さな政府化・行政改革や規制緩和)、そして今年の橋下徹氏の大阪でのダブル選挙(知事選と市長選)もその流れの一端であると理解できる。
これまでの問題解決策として出された見解は、経済成長論、市場原理による競争原理の導入等々、今までの社会経済政策を成功に導いた実績の評価を前提にして提案されたものであった。それらの考え方で改革はある程度進んできたとも言える。しかし、それらの考え方の中で全く有効性を発揮できなかった政策(例えば公共投資による経済成長政策)がある。すでに、その問題点は指摘されているのであるが、政党の壁を越えて今、これまで1990年代から政府が行った政策を点検しなければならない。
具体的な政策課題の点検の前に、明確にしなければならないのはこの国の基本的なかたちに関する社会像であり、社会理念や社会思想である。そのことが明確でない以上、具体的な施策の提案を羅列したとしても、それらの提言の賞味期限は極めて短い。21世紀の日本社会の構想を出し、そのために問われる社会思想や社会理念について議論しなければならない。
引用、参考資料
1、国民の社会改革への参画こそ民主主義文化展開の唯一の方法である
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/12/blog-post.html
2、現在問われている社会改革の課題
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/12/blog-post_01.html
つづき
国民の社会改革への参画こそ民主主義文化展開の唯一の方法である
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/12/blog-post.html
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ブログ文書集「民主主義文化としての報道機能について」
三石博行
0、はじめに(何故、報道機能の改革が課題となるのか)
0-1、HKK・公共放送は誰のために「原発事故報道の検証」作業を行ったのか
0-2、ポスト311時代のメディアとしての市民メデァイの社会的機能
1.スコミの現実
1-1、マスコミの本音と報道の自由
http://mitsuishi.blogspot.jp/2011/09/blog-post.html
1-2、「私企業としての報道活動と電波伝達空間の所有権」
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/10/blog-post.html
1-3、「民間報道の報道の自由とその国民的監視機能の必要性」
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/12/blog-post_02.html
2、公共報道機関の必要性とその独自性を擁護するための改革
2-1、国家の利益を擁護する情報機能としての公共報道の宿命
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/12/blog-post_527.html
2-2、公共報道機能の独立権の成立条件とは
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/12/blog-post_5219.html
2-3、国民負担による公共放送の意味を理解するために
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/12/blog-post_6015.html
2-4、国民参画の公共放送を目指す課題
未完成
3、コミュニティメディアと市民参加の報道機能の確立
3-1、高度情報化社会での報道機能の革命
未完成
3-2、コミュニティメディアの役割
未完成
3-3、コミュニティメディアを支える土台、知識社会と民主主義文化
未完成
4、報道の自由とモラル
4-1、国民文化に根ざす報道の自由の意味と報道のモラル
http://mitsuishi.blogspot.jp/2012/03/blog-post_4500.html
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ブログ文書集
1、ブログ文書集「原発事故が日本社会に問いかけている課題」目次
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/06/blog-post_3562.html
2、ブログ文書集「東日本大震災の復旧・復興のために 震災に強い社会建設を目指して」の目次
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/03/blog-post_23.html
3、ブログ文書集「日本の政治改革への提言」の目次
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/06/blog-post_9428.html
4、ブログ文書集「21世紀日本社会のための大学教育改革の提案」
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/04/blog-post_6795.html
6、ブログ文書集「持続可能なエネルギー生産社会を目指すために」
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/11/blog-post_2842.html
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2011年12月2日金曜日
国民負担による公共放送の意味を理解するために
三石博行
国民主権による公共放送の社会情報機能を確立するためには、多くの課題を検討しなければならない。その一つが財政問題である。つまり、国民による国民のための報道機能であるなら、国民がその経営責任を持たなければならない。しかし、現実はどうなのだろうか。
NHKは国民からの放送料金を半強制的に受取り、その受信料金で運営されている。しかし、受信料金を回収できない状態である。その主な理由の一つとして、国民にとってNHKが自分たちの(国民の)ためにあり、国民によって運営されている報道機能(公共放送)であるという意識が希薄であることが挙げられる。また、NHKは国家からの補助金(交付金)を受けている。この交付金によって、公共放送が国、取り分け官僚からの縛りを受ける可能性を否定出来ないだろう。
日本国憲法が施行され、国民主権・民主主義制度が始まったとしても、NHKの官僚的体質はその歴史に付着している脱却困難なしみのようなものである。NHK,日本放送局が国家の報道機能として発足したのである限り、その歴史的な履歴をそう簡単に消し去ることはできないだろう。しかし、その官僚的な考え方を率直に述べることは出来なくなっている。それだけに受信料を支払う国民からの厳しい監視の視線が存在していることを自覚しているのである。
しかし、そのしみついた官僚的風土はそう簡単にはなくならないだろう。そして、その官僚的体質は、NHKが国民から当然のように受信料金を回収できること、国民は義務として受信料を支払うべきと考えるところに露出しているのである。つまり、この国民の義務としての受信料観は、受信料徴収と受信料によってNHKの運営が成立していることとが分離していることを意味していることに気づかないのである。そこには、過去の遺産、官僚的体質からにじみ出る論理、つまり国家(お上)対する国民の義務として受信料の支払いが疑問の入る余地のない強制的な事項となって成立しているのである。
受信料を受信者から回収して成立している民間放送局がある。それらの放送局にとって受信者はお客様である。そこで受信者のニーズを知らなければ、その放送局は成立しない。当然、顧客の需要を理解しない民間企業が経営難になるように、受信者のニーズを理解しない民間放送局は経営に苦しい状態になるだろう。しかし、NHKは国民から受信料を取りながら、国民のニーズを大切にする姿勢を持っているだろうかという厳しい意見が出されるだろう。
何故なら、民間では顧客はその放送を見るか見ないかの選択権がある。その意味で民間には市場原理が働く、しかし、NHKは強制的に受信料を取るために、言換えるとNHKにとって国民は顧客ではなく受信料を義務として支払う人々であるた、めに、NHKの番組を見たくない人々、まったく見ない人々も、受信料を払わなければならないことになる。その分、NHKへの意見も厳しくなるのである。離れるからだ。しかし、NHKは受信料を払っている
受信者のニーズに答えず受信料金を一方的に請求する公共放送への批判が、公共報道機能を民営化し他の報道機能と競合関係を作り、市場原理に基づく報道産業化によって民意を反映させようという意見が2005年に生まれた。この民営化の意見は当時の小泉内閣によって打ち出された「聖域なき構造改革」とNHKの不祥事の発覚による受信料不払い運動が背景にあった。国民から支持されない公共放送のあり方が続けば、公共放送を廃止する極端な意見へと発展する可能性を持っている。
社会的報道機能は公共放送に独占されている訳ではないが、国民が公共放送受信料の意味、つまり公共放送存在意義を理解しない限り、公共放送を民営化する動きは、行政改革や公共施設への競争原理の導入という資本主義社会の正論を盾に登場することは避けられないのある。
公共放送の運営のために国民から受信料を取るという作業の意味することを考えることによって、公共放送の存在意義が再検討される機会を得るのである。富国強兵制度を推し進めた日本の近代化政策の重要な一つの国民政策としての公共放送機能の形成、その結果としての統一国家としての近代日本の成立に大きな役割を果たした公共放送、日本放送局の歴史、そしてそれを牽引してきた国家官僚制度の一翼を担ったNHKの基盤体が、国民主権の理念によって変換される唯一の糸口がその受信料問題に端を発する国民的反発の感性の深層に存在しているからである。
参考資料
ブログ文書集「民主主義社会の発展のための報道機能のありかた」
1、民間報道機関の公共性と報道の自由の確立に必要な改革
1-1、「報道企業マスコミの本音と報道の自由」 2011年9月5日
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/09/blog-post.html
1-2、「私企業としての報道活動と電波伝達空間の所有権」
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/10/blog-post.html
1-3、「民間報道の報道の自由とその国民的監視機能の必要性」
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/12/blog-post_02.html
2、公共報道機関の必要性とその独自性を擁護するために必要な改革
2-1、国家の利益を擁護する情報機能としての公共報道の宿命
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/12/blog-post_527.html
2-2、公共報道機能の独立権の成立条件とは
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/12/blog-post_5219.html
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ブログ文書集
1、ブログ文書集「原発事故が日本社会に問いかけている課題」目次
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/06/blog-post_3562.html
2、ブログ文書集「東日本大震災の復旧・復興のために 震災に強い社会建設を目指して」の目次
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/03/blog-post_23.html
3、ブログ文書集「日本の政治改革への提言」の目次
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/06/blog-post_9428.html
4、ブログ文書集「21世紀日本社会のための大学教育改革の提案」
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/04/blog-post_6795.html
6、ブログ文書集「持続可能なエネルギー生産社会を目指すために」
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/11/blog-post_2842.html
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公共報道機能の独立権の成立条件とは
三石博行
言い換えると、逆説に聞こえるかもしれないが、日本放送協会が太平洋戦争で行った戦争協力行為を、むしろNHKで大いに取り上げ、NHKの在り方を国民に理解してもらう必要がある。その国民的な公共放送の理解を前提にして公共放送を擁護し、その必要性を求める国民的な支持が生まれるのだと思う。
しかし、この課題は民主主義社会を形成するために非常に重要な課題であることを理解しておく必要がある。報道の自由とは、何にたいして自由なのかと問いかけなければならない。明らかに真実を報道することが擁護される意味において、その権利を保障するために報道の自由が主張されているのである。
公共放送が国民主権の立場にたち公平、自由な報道を行うためには、公共報道に対して国家権力の監視や介入があってはならないということは理想論である。公共放送は国家の利益を守るための社会的機能(情報機能)である。しかし、その国家の理念が民主主義であり人権擁護であるなら、公共放送は大きくそれらの理念を擁護する立場での報道を確保することができるだろう。
そして、同時に、逆説的に、公共放送の政治的機能を理解しその影響力を歴史的事実から知ることによって、民主主義制度の原則として三権分離(司法、行政と立法機能の独立を保障すること)が社会常識であるように、報道権の独立を保障することが、さらに民主主義を豊かにすることだと国民は理解するだろう。国民の知る権利を保障するための公共放送が報道の独立機能を確立することで、国民による国民のための報道機能運営が保障されなけるだろうと考える。
参考資料
ブログ文書集「民主主義社会の発展のための報道機能のありかた」
1、民間報道機関の公共性と報道の自由の確立に必要な改革
1-1、「報道企業マスコミの本音と報道の自由」 2011年9月5日
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/09/blog-post.html
1-2、「私企業としての報道活動と電波伝達空間の所有権」
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/10/blog-post.html
1-3、「民間報道の報道の自由とその国民的監視機能の必要性」
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/12/blog-post_02.html
2、公共報道機関の必要性とその独自性を擁護するために必要な改革
2-1、国家の利益を擁護する情報機能としての公共報道の宿命
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/12/blog-post_527.html
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ブログ文書集
1、ブログ文書集「原発事故が日本社会に問いかけている課題」目次
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/06/blog-post_3562.html
2、ブログ文書集「東日本大震災の復旧・復興のために 震災に強い社会建設を目指して」の目次
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/03/blog-post_23.html
3、ブログ文書集「日本の政治改革への提言」の目次
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/06/blog-post_9428.html
4、ブログ文書集「21世紀日本社会のための大学教育改革の提案」
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/04/blog-post_6795.html
6、ブログ文書集「持続可能なエネルギー生産社会を目指すために」
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/11/blog-post_2842.html
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国益を擁護する情報機能としての公共報道の宿命
三石博行
ジャーナリズムの社会機能について分析する社会学的な立場から言えば、報道の社会的機能が問題となっており、それらの報道に社会的公正さが存在するのかということは問題にされないだろう。民間報道機関であればその経営体の意思が反映され、公共報道機関であればその所有者である国家の意思が反映されるだろう。
報道機能の運営母体の利益と報道機能が発信する(生産する)情報とは直接的な関係がないにしろ、究極的にはそれらの相関関係を打ち消すことは不可能であると結論付けられるだろう。その視点にたって、公共放送の在り方を考えることで、より正しい公共放送の改革が提案できるのではないだろうか。
公共放送が国家の利益を代表する社会的機能であることの理解が必要である。その意味で、戦中の公共放送(日本放送協会)が行った戦争協力は、公共放送の宿命であると言える。その政治体制がファシズムであろうと民主主義であろうろ、公共放送が国家の利益に反する報道をすることは考えられない。その宿命を理解するなら、国民主権国家での公共放送が国民主権(国家の理念)を前提にして運営されることも理解できるだろう。
つまり、戦中の日本、それ以外の米国にしても戦争協力者としての役割を果たした公共放送に、その戦争責任を問い掛けることは、責任の本当の所在を誤らせる結果となる。つまり、戦争犯罪行為を指令した上官の責任を問うことなく、命令に従った兵士を戦犯として裁くことに等しい行為であると理解すべきである。
最近の例ではアラブの春と呼ばれた北アフリカの市民革命運動の中で、市民は国家権力のプロパガンダの役を果たしてきた国営放送を批判した。比較的民主化されているエジプトでも、公営放送は国民に事実を何も伝えてこなかった。長い、支配の中で、国民は公共放送に絶望し何も期待していなかった。その公共放送に取って替わったのが社会メディアであった。市民から送られる情報が大きな市民の運動を作った。もし、北アフリカの国々でも民主的政権が確立し、国民主権の憲法、国家の理念が形成されるなら、これらの国々での公共放送は変わるだろう。
過去の公共放送が果たした役割を歴史的に伝えることは、そして国家の利益を擁護する情報機能としての公共報道の宿命を国民に理解されることは、今後、日本の公共放送が健全な形で存続するために必要な作業であると言える。
参考資料
ブログ文書集「民主主義と報道機能のありかたへの提言」
1、民間報道機関の公共性と報道の自由の確立に必要な改革
1-1、「報道企業マスコミの本音と報道の自由」 2011年9月5日
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/09/blog-post.html
1-2、「私企業としての報道活動と電波伝達空間の所有権」
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/10/blog-post.html
1-3、「民間報道の報道の自由とその国民的監視機能の必要性」
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/12/blog-post_02.html
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ブログ文書集
1、ブログ文書集「原発事故が日本社会に問いかけている課題」目次
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/06/blog-post_3562.html
2、ブログ文書集「東日本大震災の復旧・復興のために 震災に強い社会建設を目指して」の目次
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/03/blog-post_23.html
3、ブログ文書集「日本の政治改革への提言」の目次
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/06/blog-post_9428.html
4、ブログ文書集「21世紀日本社会のための大学教育改革の提案」
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/04/blog-post_6795.html
6、ブログ文書集「持続可能なエネルギー生産社会を目指すために」
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/11/blog-post_2842.html
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民間報道の報道の自由とその国民的監視機能の必要性
三石博行
報道の自由とその報道への市民監視機構の必要性
マスコミ産業の私企業としての宿命を前提にするなら、マスコミに報道の社会的公正さを要求することの限界を理解しておかなければならない。すると、社会的公正をマスコミに要求することが間違いなのかという疑問が生じる。
もしそうなら、報道会社の商品(社会情報)が公共空間を活用することに関する国民的な監視機能があっていいのではないだろうかと考えた。つまり、あまりにもひどい情報、たとえば人権侵害情報、デマや風評被害情報を出す報道会社に対して、監視機関はクレームを掛けることが出来る。この監視機能はオンブスマンと同様に情報会社の公共性を点検する社会的機能である。そのため、その機能を維持する機構の検討が必要となる。オンブスマンのように、公的機能を持つことによって、この機能がより有効に働くと思われる。しかし、報道の自由は保障されるべきであり、その機能が報道の自由を圧迫するようになってはならない。
勿論、クレームを受けた報道会社は、そのクレームへの即時的な対応が法的に強制されていないなら、報道した会社の立場(報道の自由の)を守ることが出来る。このように法的な縛りがないのであれば、そのクレームにたいして、報道会社が同意するとは限らない場合が生じる。それも一応認めるべきである。報道の自由の視点から、報道会社の立場は尊重されるべきだと思える。
しかし、同時にクレーム情報も尊重されるべきである。そこで、市民の社会情報への監視機関が発するクレーム情報の公開を法的に擁護しておく必要がある。つまり、クレームを受けた報道会社はそのクレーム情報を公開する義務を課すべきである。また同時にその会社の主張も付け加えることで、報道会社の公共空間を使った社会情報の暴走を監視することが出来る。民間報道機能の報道の自由とその報道への市民監視機構の必要性を満たす社会情報システムの制度改革を進めることで、民主主義社会での報道の自由と責任体制を確立し、より豊かな情報社会を形成することが可能になるだろう。
参考資料
ブログ文書集「民主主義と報道機能のありかたへの提言」
1、国民主権の公共放送のあり方
1-1、 「報道企業マスコミの本音と報道の自由」 2011年9月5日
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/09/blog-post.html
1-2、「私企業としての報道活動と電波伝達空間の所有権」
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/10/blog-post.html
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ブログ文書集
1、ブログ文書集「原発事故が日本社会に問いかけている課題」目次
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/06/blog-post_3562.html
2、ブログ文書集「東日本大震災の復旧・復興のために 震災に強い社会建設を目指して」の目次
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/03/blog-post_23.html
3、ブログ文書集「日本の政治改革への提言」の目次
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/06/blog-post_9428.html
4、ブログ文書集「21世紀日本社会のための大学教育改革の提案」
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/04/blog-post_6795.html
6、ブログ文書集「持続可能なエネルギー生産社会を目指すために」
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12月7日、誤字修正
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2011年12月1日木曜日
現在問われている社会改革の課題
三石博行
主な社会改革課題について
現在問われている課題を分類しておく必要がある。これらの課題とは、大きく分けると政治制度改革、司法制度改革、行政制度改革、産業経済構造改革、教育文化改革、社会保険と福祉制度改革の6つの課題が挙げられる。緊急を要する財政問題、長期的視点に立ったエネルギー資源問題、歴史的経過を尊重しつつも新しい東アジアを中心とする外交問題等はそれらの6つの課題の複合領域の課題であると言える。
政治改革の課題
政治権力を取ること、政局問題が東日本大震災や福島原発事故で苦しむ国民の救済よりも先行する現在の既成政党の政治行動は政治家の政治理念の喪失によるものであるが、その政治理念を持たなくても政治家として活動できる状況がそれを生み出しているのである。そのためには政治家の活動に対して厳しい社会点検の制度が必要である。そして何よりも国民が社会改革を国民が議員達に任せるのでは、この社会改革は成功しないことを自覚しなければならない。
例えば、簡単に以下の制度改革が提案できる。
1、 選挙制度を巡る問題で、議員のマニフェスト達成率に関する情報公開義務、立候補者の実績とマニフェストの公開義務制度を国民参加で創る。つまり、選挙公約点検オンブスマン制度を創り、参加したい市民によって議員の政治活動評価を行い、それを公開する。
2、 街宣車で白い手袋を振って「宜しくお願いします」としか言わない選挙、そのために巨額の選挙資金を必要とす選挙運動の在り方を考える。政治家の政治活動を日常的に公共放送を活用して公開する制度。これは上記の課題とリンクする。議員の政治活動評価機関による評価の公開を公共放送のデータ通信機能やインターネットで公開することで、選挙期間に限定された選挙活動でなく、恒常的な議員評価システムを使った制度を前提とした選挙制度に改革する。
3、 国会議員定数の削減、小選挙区制の見直し、選挙区の見直し(これは道州制導入を前提として行う)
4、 都道府県議会議員の給与体系の見直し、ボランティア市民による地方自治の意思決定機能を創り、家業化している議員職を出来るだけ無くするような制度を創る。
司法制度改革の課題
クローズアップ現代(No3127)「証拠は誰のものか」で最近また問題となった冤罪事件が取り上げられた。この番組では、1986年3月に福井市の市営住宅で起きた女子中学生殺害事件の容疑者として前川彰司さんが逮捕され懲役7年の実刑を受けた冤罪事件が発生した背景が報道された。警察や検察官は不利な証拠を裁判に提出しない。また、証人証言をでっち上げている。殆ど、犯罪に近い行為が検察官によって行われ、そのことへの罪悪感はまったくなく、「不利な証拠は出さないのは当然」という発言を検察官が行っていた。
こうした検察官の考え方は、足利事件や凛の会事件の冤罪が大きく社会問題になった昨年以来、警察や検察に対して厳しく問われたにも拘わらず、検察にはその反省が微塵もない。犯罪と呼ばれる人権侵害を厳しく裁く検察が逆に人権侵害を犯し、しかもその犯罪への自覚すら持ち合わせていない。このことは本来その役割である民主主義国家を守る機能を果してはいないのである。そして、こうした冤罪問題はなぜ発生し続けるのか。また、検察に不利な証拠を隠すことが正当化されるなら、国民参加の司法制度を構築するために行われている裁判員制度自体が崩壊する危険を孕んでいると言えるのではないだろうか。
国民主権による司法制度を確立するためには、裁判員制度や検察審査会の制度をさらに検討し改革しなければならない。そして、その制度のためにも、検察の取り調べ室の記録情報、調査資料(証拠資料)の裁判員と弁護士への公開が法的に義務化される必要がある。
多くの課題の中で代表的な司法制度改革課題を以下に示す。
1、 冤罪の防止のための制度(警察の取り調べのやり方を抜本的に検討すること、そして検察の全資料を公開すること等々)
2、 最高裁判官の業績公開と国民審査制度、
3、 裁判員制度の充実
4、 検察審査会の在り方の再検討(小沢裁判に見られるように政治権力の介入や政治的利用の可能性を防ぐための課題分析と制度点検)
行政改革
行政改革の目的は行政機能の効率向上にある。効率のよい制度運営を行うことによって公共サービス商品の生産力を向上させることが出来る。具体的には、規制緩和、競争原理を活用した民間への業務委託、市民参画型運営、NPOやボランティア活動の活用等々が挙げられる。国民の総生産力が向上することが行政改革の評価となる。今、最も必要とされている行政改革を以下に示す。
行政改革のために現在、国民的な点検活動、例えばオンブスマンの設置を法定化し、「行政機関を外部から監視し、行政機関による国民の権利・利益の侵害に対する調査及び救済の勧告を図る」社会的な機能を構築すべきである。このオンブスマン(法的に行政機関を監視する公的制度)を、例えば市民の参加した委員会を設け、委員会の活動や調査結果の情報を公開する必要がある。
1、 地方分権制度。
2、 行政官採用試験制度、現在の国家公務員試験制度の見直し
3、 民間人、地方公務員と国家公務員の人的交流制度
4、 市民参画型地方行政
産業経済構造改革
産業経済政策は国も重要な課題の一つである。例えば、未来、持続可能な社会を形成するために、解決しなければならない課題として資源やエネルギー問題がある。福島原発事故以来、原発依存のエネルギー基本計画が見直され、新しいエネルギーとして再生可能エネルギーが取り上げられているが、そのエネルギー資源で十分なのか等々の課題がすでに問われている。
また、発展途上国や新興先進国が経済力、生産力を持つことで、これまでの国際産業地図は変化し続けるだろう。国内の多くの産業が新たに参入してくる新興国の産業に敗北しつづけるのも、歴史の流れであると言える。先進国日本は新しい産業を創造し、これまでの産業構造を変革し続けなければならないのである。
産業経済構造改革のために、国や地方自治体で専門家を入れ、また市民の参加を得た「産業経済構造改革委員会」を設け、国であれば経済産業省の専門官、大学、シンクタンク、企業、民間人を入れて各分野で委員会を設定して課題の検討と提案を行う委員会が必要となる。地方自治体でも、独自に自治体職員(専門官)、その地域社会の大学やシンクタンク、そして企業、民間人が参加した委員会を各課題別に設定して検討会議を行う必要がある。
高度知識社会・日本では、どの地方自治体でもこうした専門的な委員会を地域の人的資源を活用して形成することが出来る。それらの人的資源の活用とその成果の情報公開が、さらに市民の参加の産業経済構造改革を進めることが可能になる。
以下、産業経済構造とその制度改革の課題を示す。
1、 省エネ産業の育成と発展
2、 再生可能エネルギー産業の育成と発展
3、 高生産効率の生産、流通、商品管理システム改革
4、 人的資源の育成(技術技能伝達、再教育制度)
5、 出産、育児支援による女子労働の保護と確保の制度改革
6、 高齢者熟練労働力の活用
引用・参考資料
Wikipedia 「オンブスマン」
つづき
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ブログ文書集
1、ブログ文書集「原発事故が日本社会に問いかけている課題」目次
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/06/blog-post_3562.html
2、ブログ文書集「東日本大震災の復旧・復興のために 震災に強い社会建設を目指して」の目次
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/03/blog-post_23.html
3、ブログ文書集「日本の政治改革への提言」の目次
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/06/blog-post_9428.html
4、ブログ文書集「21世紀日本社会のための大学教育改革の提案」
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/04/blog-post_6795.html
6、ブログ文書集「持続可能なエネルギー生産社会を目指すために」
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/11/blog-post_2842.html
12月7日、誤字修正
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国民の社会改革への参画こそ民主主義文化展開の唯一の方法である
三石博行
国の曲がり角・問われる国民主権の社会制度
この国は今、大きな曲がり角に来ている。今までの社会思想や社会経済システムが立ち行かなくなっている。基本的な変革を社会が求めている。しかし、それが何であるのか、そのために何をなすべきなのか、どの課題から着手すべきなのか、問題解決への具体的な対策は社会的に明らかにされていない。しかし、多くの人々が、それぞれの立場からこれらの問題を指摘し、またその解決のための提案を行っている。そして、連日、それらの問題から生じる事件や出来事と呼ばれる社会現象が報道されている。
これらの問題の基底には、「国民主権」、「人権尊重」と「生活重視」の社会思想に基づく社会経済システムの検討が課題になっている。言い換えると、この国の大きな曲がり角の根本課題とは成熟した社会・日本の国のかたちを巡る議論であると言える。ここで謂う成熟した社会とは国民主権で運営される社会・民主主義社会であり、生活経済を重視する社会であるのだが、この社会理念は、すでに1947年に日本国憲法が施行された時に成立していると考えるだろう。しかし、現実は、この素晴らしい憲法に謳われた国民主権や人権尊重も、戦後そして現代まで十分に社会に浸透していたとは言えないだろう。
その理由は、明治以来、欧米列強の植民地化から国を守るために、天皇を中心とした統一国家の形成、国家主導の近代化(工業化)を行ってきた我が国の民主主義過程の歴史によるものである。その結果発展した国家資本主義経済、軍事大国化によって、この国のありかたは日中戦争、太平洋戦争へ突き進み、結果的に敗戦という旧体制の崩壊によって終焉するのである。これを一次資本主義過程と考えるなら、戦後は国民主権による二次資本主義過程が始まったと言える。
その代表的な変革が1947年のGHQによる農地改革であった。この改革は江戸時代から続く地主制度、つまり小作人と地主の関係によって成立している農業社会(アジア的封建主義制度の温床である社会)に資本主義化をもたらした。この農地改革によって伝統的な封建的農業社会が解体され、戦後民主義社会が出発したと言える。
民主主義とは民主主義文化の上に成立する生活文化と生活主体によって成り立つ
しかし、国民主権を謳った日本国憲法の施行と封建的土地所有制度の改革・農地改革が行われたその時から、日本の社会文化は民主化された訳ではない。民主主義の制度は自由、平等と博愛の社会思想を前提とした社会制度を持つことは当然の条件となるが、その制度を運営する社会機能がなければならない。制度が成立する必要十分条件として、その制度を担う人々の社会的労働(活動)が必要である。
一般的に制度が成立し運営されるのは、その制度を担う人々の社会的活動が存在するからである。国民主権を前提にした社会活動を行う人々はその意味、意義や任務を理解していることが前提となる。つまり国民主権の社会思想を実現するための社会的役割を自覚した人々によって民主主義は成立するのである。
国民主権や人権尊重を実現するための社会政治制度(社会形態)はそれを支える人的資源によって運営されるのである。社会的役割とよばれる社会労働力によって国民主権(社会機能)が確立しつづけるのである。つまり、国民主権とは社会機能状態であり、それは国民主権を維持する社会的労働(役割)によって維持されている社会運営の姿であると言える。1947年に施行した国民主権の理念は、その社会思想を生活文化として営む国民によって実現されるのである。その意味で、日本国憲法はその憲法の基本理念を日常生活の常識とする人々、国民文化の形成によって尊守されると言える。
以上のことから、この国の曲がり角で問われている社会的課題の解決力を持つ人々とは、民主主義思想を持ち生活文化を運営している人々であることが理解できるだろう。それは、一般の市民であり、日常生活を大切にする人々の群れである。これらの人々が政治、司法、行政、経済、環境、教育、外交、安全、福祉等々のすべての国家的課題に参画する制度を見出すことによって、その糸口、その手段や在り方を見つけ出すだろうと楽観していいのだと思う。
参考資料
Peter Ludwig Berger,Thomas Luckmann The Social Construction of Reality: A Treatise in the Sociology of Knowledge,Doubleday, 1966
山口節郎訳『日常世界の構成――アイデンティティと社会の弁証法』(新曜社, 1977年) 改訳新版『現実の社会的構成――知識社会学論考』(新曜社, 2003年)
つづき
現在問われている社会改革の課題
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/12/blog-post_01.html
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ブログ文書集
1、ブログ文書集「原発事故が日本社会に問いかけている課題」目次
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2、ブログ文書集「東日本大震災の復旧・復興のために 震災に強い社会建設を目指して」の目次
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3、ブログ文書集「日本の政治改革への提言」の目次
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4、ブログ文書集「21世紀日本社会のための大学教育改革の提案」
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6、ブログ文書集「持続可能なエネルギー生産社会を目指すために」
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12月7日 誤字修正
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2011年11月27日日曜日
ブログ文書集「持続可能なエネルギー生産社会を目指すために」の目次
三石博行
1、再生可能エネルギー促進法とその問題点について
1-0、はじめに
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/11/blog-post_26.html
1-1、「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(平成14年法律第62号)(RPS法)について(2002年から2007年まで)
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/11/blog-post_9263.html
1-2、住宅用太陽光発電の固定価格買取制度の導入(2008年-2009年)
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/11/blog-post_4777.html
1-3、「再生可能エネルギーの全量買取に関するプロジェクトチーム」による再生可能エネルギーの全量買取制度の提案」と「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案」(2009年-2011年)
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/11/blog-post_5505.html
1-4、3.11(東電福島第一原発事故)以後、問われたエネルギー基本計画と「電気事業者による再生可能エネルギー等の利用に関する特別措置法」成立(2011年)
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/11/blog-post_5505.html
1-5、「電気事業者による再生可能エネルギー等の利用に関する特別措置法」の簡単な解説
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/11/blog-post_27.html
1-6、「電気事業者による再生可能エネルギー等の利用に関する特別措置法」の問題点
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/11/blog-post_3610.html
1-7、まとめ
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/11/blog-post_3610.html
論文「再生可能エネルギー促進法とその問題点について」のダウンロード
http://hiroyukimitsuishi.web.fc2.com/pdf/kenkyu_03_04/cMITShir11a.pdf
2.太陽光発電の将来性と問題点
2-0、はじめに
近日公開
2-1、エネルギー消費量からみた現代社会の課題
http://mitsuishi.blogspot.com/2012/02/blog-post.html
論文「エネルギー消費量からみた現代社会の課題 -太陽光発電の将来性と問題点- 」のダウンロード
http://hiroyukimitsuishi.web.fc2.com/pdf/kenkyu_03_04/cMITShir11b1.pdf
2-2、市場からみた太陽光発電システムの課題
http://mitsuishi.blogspot.com/2012/02/blog-post_20.html
論文「市場からみた太陽光発電システムの課題 -太陽光発電の将来性と問題点- 」のダウンロード
http://hiroyukimitsuishi.web.fc2.com/pdf/kenkyu_03_04/cMITShir11b2.pdf
2-3、社会経済システムからみた太陽光発電システムの課題
http://mitsuishi.blogspot.com/2012/02/blog-post_579.html
論文「社会経済システムからみた太陽光発電システムの課題 -太陽光発電の将来性と問題点- 」のダウンロード
http://hiroyukimitsuishi.web.fc2.com/pdf/kenkyu_03_04/cMITShir11b3.pdf
2-4、未来社会からみた太陽光発電システムの課題
近日公開
2-5、まとめ
近日公開
3.風力エネルギー・発電をめぐる課題
未完成
4.水力エネルギー・発電をめぐる課題
未完成
5.地熱エネルギー・発電をめぐる課題
未完成
6.バイオマスエネルギー・発電をめぐる課題
未完成
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ブログ文書集
1、ブログ文書集「原発事故が日本社会に問いかけている課題」目次
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2、ブログ文書集「東日本大震災の復旧・復興のために 震災に強い社会建設を目指して」の目次
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再生可能エネルギー促進法とその問題点について(6)
三石博行
1-6、「電気事業者による再生可能エネルギー等の利用に関する特別措置法」の問題点
住宅用太陽光発電の全面買取制度と余剰買取制度(設置者の多様なニーズを満たす仕組みの開発)
固定価格買取制度(FiT法)は、基本的には再生可能エネルギー電気の全量を固定価格で買い取る制度を指している。しかし、「電気事業者による再生可能エネルギー等の利用に関する特別措置法」(FiT法)では、住宅用太陽光発電に対して剰余買取制度を適用している。これは、2002年に公布された「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(RPS法)と2009年11月から実施された住宅用太陽光発電への買取固定価格制度の経過が関係していると言える。
RPS法は再生可能エネルギーの利用を促進するために利用割合を定めた法律である。しかし、TIF法は再生可能エネルギーの固定価格買取制度を定めた法律である。その意味で、厳密に言えば、RPS法制定下で存在した部分的な買取制度(余剰電気の買取制度)もTIF法では全面買取制度に変更すべきであると考えることが出来る。
しかし、オール電化による安い夜間電気を利用しながら太陽光発電を行う住宅用のシステムでは余剰固定価格買取制度を維持することで、家庭での省エネルギー対策が進むということから、住宅用太陽光発電に関しては余剰買取制度を維持するという意見もある。
しかし、オール電化制度では10時から17時までは高額電気料金が設定されているため 発電量の小さい、例えば4KWh以下の太陽光発電パネルを設定している住宅では、オール電化制度を活用しない場合がある。その場合、上記した省エネ対策促進の意味が失われることになる。剰余電気の固定価格買取制度を維持するのであれば、住宅用の太陽光発電に関しては、よく検討した上で、設置パネルの規模の下限を決め、そのための補助金制度を導入することも考えられる。つまり、余剰買取制度の意味を活かすための政策が必要であると言える。
しかし、オール電化制度では10時から17時までは高額電気料金が設定されているため 発電量の小さい、例えば4KWh以下の太陽光発電パネルを設定している住宅では、オール電化制度を活用しない場合がある。その場合、上記した省エネ対策促進の意味が失われることになる。剰余電気の固定価格買取制度を維持するのであれば、住宅用の太陽光発電に関しては、よく検討した上で、設置パネルの規模の下限を決め、そのための補助金制度を導入することも考えられる。つまり、余剰買取制度の意味を活かすための政策が必要であると言える。
曖昧な全再生エネルギー電気の買取義務規則と発送分離制度の導入
この法律の第二章で、電気業者は発電施設から再生可能エネルギー電気を供給する者からの接続請求及び電気の供給に対して契約(特定契約)の締結を原則として拒否することはできないとされているが、同じ第二章の第五条二項で「当該電気業者による電気の円滑な供給の確保に支障が生ずるおそれがあるとき」電力会社は再生可能エネルギー電気の供給者からの接続を拒否することが出来るとされている。
すでに、この点は上記の法律の簡単な説明でも述べたのだが、この第二項での「電気の円滑な供給の確保に支障が生ずるおそれ」という曖昧な条文の表現が、今後電力会社によって適当に解釈され、接続を拒否される理由になる可能性を秘めている。2011年11月21日、第二回自然エネルギー協議会(会長、石井正弘・岡山県知事)が開催され、この法律の第五条二項について同協議会事務局長の孫正義氏が厳しく批判をした。
孫氏は固定価格買取制度(FiT法)の導入によって自然エネルギーを活用する社会を実現するためには発電施設と送電施設を独占している現在の電力会社の制度では不可能であると述べた。自然エネルギー供給者が電力会社の独占している送電網に接続を要求した場合、これまで「電気の円滑な供給の確保に支障」があるという理由で特に風力発電所からの接続が拒否されてきたことを考えれば、発電と送電の所有を分離する必要がある。
再生可能エネルギー促進付加金(サーチャージ)制度と電力自由化(市場原理の導入)
2002年からRPS法によって太陽光発電を普及させていた日本に対して、ドイツは2001年からFIT法によって太陽光発電を急速に普及し、2004年まで世界一であった日本を抜き2005年には世界一の太陽光発電国となった。つまり、この事実は太陽光発電を普及するためには固定価格での買取り制度が有効であることを示している。そして、日本でも住宅用に関しては2009年から余剰電気の固定価格買取制度を導入した。
FiT法は再生可能エネルギーの普及を促進する非常に有効な制度であるが、もう一方で、高価格に設定された再生可能エネルギー電気の損失部分を誰が埋め合わせるかという疑問が生じる。独占企業である日本の電気業者にその埋め合わせを負担させることは困難である。そこで再生可能エネルギー促進付加金(サーチャージ)制度を導入し、その負担部分を国民全体で賄うことになった。太陽光発電施設を持たない住宅も、太陽光発電住宅の電気料金の一部を負担するのではないかとサーチャージ導入に対して批判が生じている。
再生可能エネルギーを普及させるためには、国策として補助金や買取価格固定制度の導入は避けられない。しかし、そのための負担を電力業界に押し付けるのは限界がある。日本の場合、電気事業者は独占企業である。その意味で、一定の負担を押し付ける権利を国も国民も持っているといえる。もし、電気事業者がそれを否定するなら、電気業界に自由競争原理を導入して再生可能エネルギーの普及を計る必要がある。
もし、電力業界に自由競争原理を持ち込み、自由に新規電力企業が市場参加できる環境があり消費者が自由に電気業者を選ぶことが出来るなら、また消費者が電気商品を選ぶことができるなら(フィンランド等の北欧での買い取り制度の仕組みであるが、発電システムの違いを商品化した電気商品を電気業者は売ることができる、例えば風力電気1kWhの価格、原子力電気1kwhの価格を表示して売るなら)、明らかに消費者が再生可能エネルギー電気利用による価格上昇分の負担を負うことになる。つまり、電力消費者の需要によって再生可能エネルギー電気の普及が行われることになる。その意味で再生可能エネルギー促進付加金(サーチャージ)制度は基本的に不要となる可能性を持つ。
調達価格等算定委員会機能と意思決定のあり方
固定価格買取制度は再生可能エネルギー電気普及の黎明期に必要な制度であることはすでに述べた。すべての商品に共通することであるが、商品生産量が多くなることによって商品価格は廉価になる。これは自由経済の原理である。固定価格買取制度とは、この自由経済の理念に反する行為、つまり国家が商品の価格を決定する行為を行うことになる。その目的は再生可能エネルギー電気を普及することであるが、具体的には太陽光発電システムが普及する、つまり廉価な太陽光電池の生産が可能になり、廉価な太陽光電気が生産できることを意味する。そのため、太陽光発電システムを普及するための初期起動を国が後押ししている制度が固定価格買取制度であると理解すべきでる。つまり、この制度は、廉価な再生可能エネルギー生産を目的としているのである。
その意味で、固定された価格に関する検証が必要となる。つまり、再生可能エネルギー電気はその普及と同時にその価格は廉価となってゆく。その場合、国は普及速度を低下させないように、固定価格買取制度によって国民全体が負担している生可能エネルギー促進付加金(サーチャージ)を軽減しなければならない。そこで買取価格の調整が必要となる。今回の法律では3年間を期限として買い取り価格の見直しを行うことが決まっている。
買取価格の見直しを行うために設けられた検討委員会が調達価格等算定委員会である。この委員会に価格提言は大きな影響力を持つといえる。上記したように、再生可能エネルギー社会化の黎明期、発展期、展開期と成熟期によって買取価格を調整しなければならないだろう。その調整が一つでも誤るなら、2005年の補助金打ち切りによって生じた国内太陽光発電産業への影響と同じ歴史が繰りかえされることになるだろう。
この委員会が5名によって成り立っていることに疑問を持つ。もし、慎重な検討が必要であるなら各界の専門家を集め、恒常的に調査や検討を繰り返し、その上で固定価格設定の見直しと決定を行うべきである。
費用負担調整機関(高度な専門家集団による)運営は可能か
今回のFiT法 第四章「費用負担調整機関」第17条(費用負担調整機関の指定等)で、経済産業大臣が費用負担調整機関を指定することが出来る。今までの慣例から考えると、費用負担調整機関の指定は経済産業省の特権となるだろう。つまり、一般社団法人や一般財団法人として費用負担調整機関が天下りの受け入れ組織となる可能性は十分にある。
勿論、官製シンクタンクである各省の機関で働く専門家(官庁役人)は国の重要な人的資源であり、その十分な活用によって国が機能することは言うまでもない。それらの人材とともに民間や大学等の専門家も一般社団法人や一般財団法人として費用負担調整機関に参加でき、またその費用負担調整機関を立ち上げる機会を与えるべきである。
つまり、問題となるのは、2030年度の再生可能エネルギーで国内のエネルギーの殆どを自給できる社会の構築のために現在のすべての人的資源(有能な人々)を活用できる費用負担調整機関の構築が求められている。専門性の高い業務を担う人々を社会(他の専門機関)が評価し、その機関が有効に機能するように検討する必要がある。
再生可能エネルギーの定義(一般廃棄物焼却炉発電を除外)
2011年3月11日(3.11)以後、日本のFiT法は福島原発事故と切り離して議論することは出来ない。つまり、再生可能エネルギー特別措置法の基本に化石エネルギー電気及び原発依存型のエネルギー電気政策を推進する政策がある。それが新しく始まったエネルギー基本計画の指針である。その意味で、再生可能エネルギーの固定価格買取制度を確立した「電気事業者による再生可能エネルギー等の利用に関する特別措置法」(TIF法)の制定の意義が大きい。
この法律の不備を訴える意見の中に、今回の「FiT法は現時点で最も発電単価の高い太陽光発電が優遇される一方で、最も安価な廃棄物発電はFiTの対象から除外」したという意見(2011年9月30日の日経ビジネス)がある。この記事によると「現在、廃棄物発電の能力は一般廃棄物焼却炉167万キロワット、産業廃棄物焼却炉64万キロワット、合計231万キロワットである。これは原発約2基半に相当し、太陽光発電(263万キロワット)や風力発電(219万キロワット)に匹敵する実力である。」そして補助金をえるために、自治体の廃棄物焼却炉の発電能力が向上してきた。自治体の清掃工場の発電施設の平均熱回収率は11%、民間企業の産業廃棄物焼却炉では熱回収率23%以上(施設規模により15.5%以上~25%以上)補助金の対象となるため、非常に高い発電効率の高い炉が開発されている。しかし、民間企業の炉での発電は電力会社から剰余電力の買取が拒否されているため、自家発電用の小型発電施設になっている。
「電気事業者による再生可能エネルギー等の利用に関する特別措置法」(TIF法)第2条4項(再生可能エネルギー源の定義)によると、産業廃棄物を原料とする電気は、バイオマスの規定から外れることになる。同法第2条4項第五番目に「バイオマス」が記載されているが、化石燃料から製造された製品を除くと記載されている。つまり、ゴミの中には、化学合成製品が含まれているので、この法律で定める再生可能エネルギー源の定義から除外される。そのために廃棄物焼却炉から生まれる発電能力231万キロワット(原発2基分)のエネルギーが使われていないのである。
上記したように化石燃料や原発による電気利用から再生可能なエネルギー電気を生産し消費する新しいエネルギー基本計画を実現するためには、廃棄物焼却炉による発電もバイオマスと同列に置き、価格固定買取制度の中に組み入れるべきである。
さらに、廃棄物焼却による方法だけでなく、廃棄物を活用したバイオチップの燃料開発によるエネルギー電気もFiTの対象とすることで、現代の社会問題の一つであるごみ処理問題への解決を与えると思われる。
1-7、まとめ
この論旨は、今年度公布された「電気事業者による再生可能エネルギー等の利用に関する特別措置法」(FiT法)の成立までの歴史を振り返りながら、この法律の簡単な解説とその問題点を指摘した。来年7月にこの法律が施行されるまで、これまでのエネルギー政策を検討し新しいエネルギー基本計画の検討も今年10月から始まっている。
しかし、その検討会は、再び原子力依存型社会を目指す議論を始める可能性もある。この法律はそのとき意味を失うかもしれない。特に注意しなければならないことは、調達価格等算定委員会による価格決定と費用負担調整機関の認定である。そして、再生可能エネルギー電気供給者の電力会社が送電線接続拒否を行う権利を持つことである。今後も、この法律が骨抜きにされ今までのように原発依存社会が続行する可能性も大きく、まったく予断は許されないと思う。
そのためには、今後の日本社会の基盤であるエネルギー政策を決定するエネルギー基本計画の中で脱原発と再生可能エネルギー社会をまず明確に打ちたてるべきである。そのことによって、今回の再生エネルギー促進法がその基本計画に即して運用されるのである。
引用、参考資料
1. 「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案要綱」
2. 電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(平成十四年法律第六十二号)
3. 「電気業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(平成23年法律第108号) 第五章 調達価格等算定委員会
4. 調達価格等算定委員会令
5. 経済産業省 「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案」の概要、発表資http://www.meti.go.jp/press/20110311003/20110311003.html
6. 神田慶司、溝端幹雄、鈴木準 経済社会研究班レポートNo4「再生可能エネルギー法と電気料金への影響」大和総研、2011年9月2日、15p http://www.dir.co.jp/souken/research/report/japan/mlothers/11090201mlothers.pdf
7. EICネット「ドイツ、太陽光発電に対する電力買い取り補償価格を15%引き下げる提案を公表」http://www.eic.or.jp/news/?act=view&serial=24613&oversea=1 2011.01.20
8. bloomberg.co.jp(News)「太陽光エネルギー業界で大規模再編が加速-価格下落で提携か廃業へ」http://www.bloomberg.co.jp/ 2011/08/31
9. 新華社通信 「独、太陽光発電産業が窮地に陥る 中国産業への影響も」2011年09月15日、http://www.xinhuajapan.com/open/2011/09/post-85.html
10. 日経ビジネス 「原発5基分の電力が燃料費タダで手に入る 廃棄物発電の潜在力と再生可能エネルギー全量買取法の弱点」2011.09.30 http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20110930/222923/
11. 経済産業省「平成23年度の太陽光発電促進付加金(太陽光サーチャージ)の単位の確定に伴う電気料金の認可について」 News Release経済産業省平成23年1月26日
12. 「自然エネルギーの買い取り、ルール確立をソフトバンク・自治体連合が提言」産経ニュース (2011.11.21 )http://sankei.jp.msn.com/life/news/111121/trd11112119070015-n1.htm
論文「再生可能エネルギー促進法とその問題点について」のダウンロード
http://hiroyukimitsuishi.web.fc2.com/pdf/kenkyu_03_04/cMITShir11a.pdf
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ブログ文書集
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4、ブログ文書集「21世紀日本社会のための大学教育改革の提案」
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12月8日、誤字修正
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再生可能エネルギー促進法とその問題点について(5)
三石博行
1-5、「電気事業者による再生可能エネルギー等の利用に関する特別措置法」の簡単な解説
目的
「電気事業者による再生可能エネルギー等の利用に関する特別措置法」の第一章総則では、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス(再生可能エネルギー)源の利用を促進し、それによって国民経済が健全に発達することを目的することが謳われている。この同法第一章総則の第一条(目的)と第二条(定義)は「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(平成14年法律第62号)の第一条(目的)と第二条(定義)と殆ど変りない。
固定価格の決定
同法第二章「電気業者による再生可能エネルギー電気の調達等」第三条では 調達価格(再生エネルギー電気1KWhの価格)の決定は経済産業省設置法第18条によって資源エネルギー庁総合政策課が管轄する資源エネルギー調査会の意見を聴き経済産業大臣が行うことになっている。修正案によって資源エネルギー庁に国会の承認を得て経済産業大臣の任命した5人の委員による調達価格等算定委員会を設置し調達価格に関する意見を纏め経済産業大臣に提出することになった。
全再生エネルギー電気の買取義務
また、同法第二章では、電気業者は発電施設から再生可能エネルギー電気を供給する者からの接続請求及び電気の供給に対して契約(特定契約)の締結を原則として拒否することはできないとされている。これによって、今まで電力会社は風力発電所等からの電気購入を拒否してきた。しかし、今後はそれが出来なくなるのである。つまり、経済産業大臣が定める一定の期間・価格で電気業者は再生可能エネルギー電気を買い取る義務が生じた。固定価格買取制度によって社会が再生可能エネルギー発電設備へ投資を行うことを促進するのである。
しかし、同法第二章第五条二項で「当該電気業者による電気の円滑な供給の確保に支障が生ずるおそれがあるとき」電力会社は再生可能エネルギー電気の供給者からの接続を拒否することが出来るとされている。この第二項での「電気の円滑な供給の確保に支障が生ずるおそれ」という曖昧な条文の表現が、今後電力会社によって適当に解釈され、接続を拒否される理由になる可能性を秘めている。
図表6 再生可能エネルギー電気の固定価格買取制度
10kW未満 | 10~500kW | 500kW以上 | |
住宅用 | 余剰買取 | 全量買取 | 全量買取 |
非住宅用 | 全量買取 | 全量買取 | 全量買取 |
発電用 | 全量買取 | 全量買取 | 全量買取 |
図表7 太陽光発電以外の買取価格想定
太陽光発電以外 | 太陽光発電 | ||
住宅用 | 左記以外の事業所用、発電事業用等 | ||
買取価格 | 15~20円/kWhの範囲内 | 当初は高い買取価格を設定。 | |
買取期間 | 15~20年の範囲内 | 10年 | 15~20年の範囲内 |
引用 経済産業省「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案」の概要
国民負担金(サーチャージ)の地域格差の是正
同法第三章「電気業者間の費用負担の調整」では、地域間でサーチャージの負担に不均衡が生じないよう前年度電気事業者が再生可能エネルギーの発電者から買い取った資金を一括でまとめ、その一括分を賦課金(サーチャージ)として電気の需要家から一律価格で回収する費用負担調整機関の「再生可能エネルギー促進付加金(サーチャージ)」回収(電気業者からの納付金)とその分配等を規定している。
費用負担調整機関の役割
同法第四章「費用負担調整機関」では、費用負担調整機関の組織、業務内容、義務と権限等に関する規則が述べられている。
同法の国民への周知と効率的運営
同法第五章「雑則」では、第29条でこの法律の広報活動による国民への周知、第30条では再生可能エネルギー電気の安定的で効率的な供給の確保のための研究開発の推進、第32条では再生可能エネルギー源の利用に伴う環境保全について環境大臣との緊密な連絡と協力を定めている。
費用負担調整機関の違反行為に関する罰則
同法第五章「罰則」では、費用負担調整機の業務違反に関する罰則が規定されている。
「電気事業者による再生可能エネルギー等の利用に関する特別措置法」の特徴を以下に簡単に次の5点に纏めてみた
1、 再生可能エネルギー電気の固定価格買取制度(FIT法)
2、 全再生可能エネルギー電気の買取義務(電気業者の買取義務)
3、 調達価格等算定委員会による買取価格調達作業の導入(買取価格見直し制度)
4、 再生可能エネルギー促進付加金(太陽光サーチャージ)の導入(国民負担)
5、 費用負担調整機関によるサーチャージの地域格差の是正
解説
1、太陽光発電促進付加金(太陽光サーチャージ)による太陽光発電の剰余電力買取制度によって、月々の電気料金の一部として,買取に要した費用を「太陽光発電促進付加金」とし,電気のご使用量に応じて国民が負担することになる。
引用 中国電気ホームページ http://www.energia.co.jp/taiyo_fukakin/
2、太陽光発電促進付加金単価の算定方法は、太陽光発電促進付加金単価は,買取に要した実績費用に基づき,以下の算定式により年度ごとに算定する。
引用 中国電気ホームページ http://www.energia.co.jp/taiyo_fukakin/
太陽光発電の買取から「太陽光発電促進付加金」によるご負担までの流れを説明すると、まず、1年間の買取に要した実績費用を翌年度の1年間に「太陽光発電促進付加金」とする。(太陽光発電促進付加金単価は年度を通して均一である。)
引用 中国電気ホームページ http://www.energia.co.jp/taiyo_fukakin/
3、費用負担調節機関はサーチャージ(国民の負担金額)の地域間格差をなくするために設けられたものである。固定価格買取制度によって電気業者の経営的負担が生じることを防ぐために設けられたのが「再生可能エネルギー促進付加金(サーチャージ)」である。再生可能エネルギーを導入する設置者の負担を国民が担う「再生可能エネルギー促進付加金(サーチャージ)」を導入した。電気料金にサーチャージを科すことで、再生可能エネルギーを買い取ることによって生じた負担金を消費者(国民)が支払うことになる。そのことによって、再生可能エネルギー電気を国が定め固定価格で買い取る電気事業者は経営的負担を被らないことになる。全量買い取り制度では「特定電気事業者」や「特定規模電気事業者」が再生可能エネルギー電気の供給が出来るようになった。再生可能エネルギーの発電所が、一般家庭以外にPPSや特定電気事業者が加わり、地域によって異なる再生可能エネルギー供給が生じ、全国に10ある電力会社ではサーチャージが異なる事態が発生する。例えば、実際2011年4月に徴収される額を例にとると、最も少ない北海道電力と北陸電力の1銭(0.01円)/KWh(キロワットアワー)と、最も多い九州電力の7銭(0.07円)/KWhでは7倍の開きが生じている。関西電力と東京電力は3銭(0.03円)/KWhのサーチャージ料金が発生する。例えば、サーチャージ料金が0.01円(北陸電力)と0.07円(九州電力)の場合、1ヵ月の電気使用量が300KWhの標準的な住宅の消費電力の場合にひと月約3円から約21円程度の負担となる。それらの地域間の不公平を解決するために「費用負担調整機関」が設立された。この機関の役割は、電気事業者が再生可能エネルギーの発電者から買い取った資金を一括でまとめ、その一括分をサーチャージとして電気の需要家から一律価格で回収した後、全国一律価格にして各電力会社に再配分するというものだ。それによってサーチャージ(負担請求金額)の地域間格差は実質なくなるのである。 (News Release経済産業省平成23年1月26日)
引用、参考資料
1、 経済産業省 資源エネルギー庁「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案について」 NewsRelease平成23年3月11日 資源エネルギー庁
2、 「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案要綱」
3、 電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(平成十四年法律第六十二号)
4、 「電気業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(平成23年法律第108号) 第五章 調達価格等算定委員会
5、 調達価格等算定委員会令
6、 経済産業省 「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案」の概要、発表資http://www.meti.go.jp/press/20110311003/20110311003.html
つづき
1-6、「電気事業者による再生可能エネルギー等の利用に関する特別措置法」の問題点
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/11/blog-post_3610.html
論文「再生可能エネルギー促進法とその問題点について」のダウンロード
http://hiroyukimitsuishi.web.fc2.com/pdf/kenkyu_03_04/cMITShir11a.pdf
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ブログ文書集
1、ブログ文書集「原発事故が日本社会に問いかけている課題」目次
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2、ブログ文書集「東日本大震災の復旧・復興のために 震災に強い社会建設を目指して」の目次
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3、ブログ文書集「日本の政治改革への提言」の目次
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4、ブログ文書集「21世紀日本社会のための大学教育改革の提案」
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12月8日、誤字修正
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2011年11月26日土曜日
再生可能エネルギー促進法とその問題点について(4)
三石博行
1-3、「再生可能エネルギーの全量買取に関するプロジェクトチーム」による再生可能エネルギーの全量買取制度の提案」と「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案」(2009年-2011年)
2009年9月に政権を取った民主党のマニフェスト42項で地球温暖化対策を強力に推進すること、同マニフェスト43項で再生可能エネルギーによる電力の全量買い取り方式の固定価格買取制度を導入すること、44項で環境に優しく、質の高い住宅の普及を促進すること、そして、45項で環境分野などの技術革新で世界をリードすることが述べられていたつまり、これまでの自民党政権の原発推進を基調とするエネルギー政策に対して民主党は選挙前では再生可能エネルギーを重視する政治的視点を持っていたと言える。
2009年9月に成立した民主党政権下では、それまでの原発政策への基本的な方針転換は打ち出されなかった。それでも一応、政治公約に挙げた再生可能エネルギーによる電力の固定価格買取制度を検討するグループ「再生可能エネルギーの全量買取に関するプロジェクトチーム」が2009年11月に組織された。このプロジェクトチームは政治指導体制で行われ、経済産業省の政務三役と柏木孝夫東京工業大学教授を委員長する有識者5名によって構成された。「再生可能エネルギーの全量買取に関するプロジェクトチーム」の会合は2009年11月6日の第1回目から2010年7月23日の5回目まで続き、平成22年8月4日に経済産業省(資源エネルギー庁)からプロジェクトチームの再生可能エネルギーの全量買取制度の基本的な取り決めが報告された。
プロジェクトチームは「再生可能エネルギーの全量買取制度の導入に当たって」の意見の中で三つの基本的な考え方を示した。 一つ目は、「再生可能エネルギーの導入拡大は、「地球温暖化対策」のみならず、「エネルギーセキュリティの向上」、「環境関連産業育成」の観点から、低炭素社会と新たな成長の実現に大きく貢献する」ものであり、二つ目は、「再生可能エネルギーの導入拡大」、「国民負担」、「系統安定化対策」、の3つのバランスを取りながら現実的な全量買取制度の設計に即して、最大限の国民負担の抑制と同時に最大限に導入効果を追求することであり、そして三つ目は、再生可能エネルギーの全量買取制度の大枠について国民に発表し、詳細な制度設計、地球温暖化対策のための税や国内排出量取引制度の議論を行い、その動向を見極めつつ、検討を進めることが大切であるという考え方である。そして、この導入によって、2020 年までに再生可能エネルギー関連市場が10 兆円規模となることを目指すと述べられている。
プロジェクトチームの「再生可能エネルギーの全量買取制度の導入」の提案に即して、政府・経済産業省はあの東日本大震災の日、平成23年3月11日に「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案」を第177回通常国会に提出すること報告したのである。
この法案には再生可能エネルギーの固定価格買取制度と太陽光発電買取費用を国民が負担するサーチャージ(太陽光発電促進付加金)が導入された。
1-4、3.11(東電福島第一原発事故)以後、問われたエネルギー基本計画と「電気事業者による再生可能エネルギー等の利用に関する特別措置法」成立(2011年)
平成23年3月11日東日本を巨大地震と未曾有の大津波が襲い、東日本大震災によって甚大な被害が発生した。東京電力福島第一原子力発電所(以後東電福島第一原発と呼ぶ)も地震と津波の被害に晒された。そして、原子力発電所が全電源喪失を起こし、冷却機能を失った原子炉でメルトダウンが進行し、水素爆発を起こし、広島に投下された原子爆弾100個分の放射能物資が大気中に放出されたとも言われている。
東電福島第一原発事故(以後福島原発事故と呼ぶ)は深刻で広範囲の放射能物質による汚染を引き起こしている。そして、未だに原子炉の冷却作業が続いている。原発事故のもたらした被害総額は莫大なものと予測されている。公益社団法人日本経済センターは、「今後10年間で20兆円の処理費用がかかるとの試算結果を7月19日公表した。一方、政府は事故処理には数十年必要との見通しを発表している。」(Wikipedia)さらに、植草一秀は、今後の事故処理や損賠賠償に関して、1999年に発生した茨城県東海村のJOC原発臨界事故と比較し、JOC原発臨界事故での避難エリア(350m)で150億円の賠償責任が生じたので、今回の原発事故での避難エリアは約半径20kmとして、その面積の倍数に賠償金を単純に乗じて得られる約50兆円の数値を示す報告をしている。
こうした広範で長期化を避けられない福島原発事故への賠償問題(東電の賠償金支払い能力を越えた課題)に対して、国は「原子力損害の賠償に関する法律」の3条1項と16条1項に基づき、自然災害によって生じた甚大な事故として福島原発事故への損害賠償への補助を決定した。それに対して、日本弁護士連合は2011年6月20日、「福島第一原子力発電所事故による損害賠償の枠組みについての意見書」を内閣総理大臣及び経済産業大臣に対し提出し、少なくとも東電は5億近い賠償資金を資産売買によって得られることを説明し、東電が事故賠償責任の回避をしないように働き掛けている。
広範な地域の放射線汚染物質の除去、汚染地域での生活や経済活動への被害、健康被害等々、そして風評被害まで含め福島原発事故が与えた経済的打撃は計り知れない莫大な金額であることは疑えない。この事態を重くみた政府はこれまで続いてきた原子力政策とエネルギー基本計画を見直す作業に取り掛かった。
2011年5月10日管直人首相は今後のエネルギー政策について従来の計画を白紙に戻して議論する」と述べ、原発への依存を減らす方針を表明した。管総理はエネルギー基本計画に示された2030年の総発電量のうち50%を原子力と想定したエネルギー基本計画を見直し、太陽光、風力発電などの再生可能エネルギーと省エネ社会実現を2本柱とする意向を示した。新たなエネルギー基本計画では2030年に向けた目標ではエネルギー自給率の向上とゼロ・エミション電源比率の引き上げが掲げられた。
日本のエネルギー政策を決定していた「エネルギー基本計画」の抜本的見直しを検討するために、経済産業省・総合資源エネルギー調査会基本問題委員会の第1回会合が2011年10月3日、第2回目が10月26日に開催された。
脱原発への社会世論が起り各地で脱原発を訴える市民運動が盛んに行われるようになった。管首相の浜岡原発の稼働の中止要請を受け中部電力は5月9日に原子炉を止めた。また、2009年11月から始まった「再生可能エネルギーの全量買取に関するプロジェクトチーム」の提案を実現する「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案」作りが始まった。この法案が2002年の「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」のように骨抜きにならないために、活発な提案が社会から行われた。
政府もその動きに反応した。例えば、2011年6月12日 太陽光や風力など自然エネルギーの普及について菅直人首相と孫正義氏を含む民間有識者が意見交換する懇談会を首相官邸で開催した。孫正義氏が主導し、全国の35道府県が協力して太陽光や風力などの発電を普及させる「自然エネルギー協議会」(石井正弘・岡山県知事会長)が6月13日に秋田市内で第1回総会を開き、電力の全量買い取りの制度の早期制定など6項目を柱にする政策提言「秋田宣言」をまとめた。
3月11日に閣議決定した「電気事業者による再生可能エネルギー等の利用に関する特別措置法案」は与野党協議を経たその修正案(第177回国会閣第51号に対する修正案)が8月23日に衆議院経済産業委員会で可決され、8月26日に成立した。この法律は2012年7月1日から施行される。
参考資料
1、 日本弁護士連合会「福島第一原子力発電所事故による損害賠償の枠組みについての意見書」2011年6月20日 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2011/110617_2.html
2、 原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年六月十七日法律第百四十七号)http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36HO147.html
3、 Wikipedia 「福島第一原子力発電所事故」
4、 植草一秀 「原発事故加害者が被害額大幅圧縮に突き進む暴挙」http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/post-ea3c.html
5、 YOMIURI ONLINE 「菅首相、原発依存見直しを表明」2011年5月11日 読売新聞 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110510-OYT1T00978.htm
6、 WWFジャパン公式サイト「エネルギー基本計画」を審議する第1回会合が開催されました」http://www.wwf.or.jp/activities/2011/10/1018105.html
7、 寺島実郎「エネルギー基本計画の見直しで問われるもの」日経BP社 BPnet http://eco.nikkeibp.co.jp/article/column/20111028/109141/
8、 産経ニュース msn 「自然エネルギー普及で意見交換 12日に首相と孫正義氏ら」2011.6.10、http://sankei.jp.msn.com/
9、 産経ニュース 「「自然エネルギー協議会」が初総会 「秋田宣言」まとめる ソフトバンク孫社長が主導」2011.7.13、http://sankei.jp.msn.com/
10、 経済産業省 資源エネルギー庁「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案について」 NewsRelease平成23年3月11日 資源エネルギー庁
11、 「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案要綱」
12、 電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(平成十四年法律第六十二号)
つづき
1-5、「電気事業者による再生可能エネルギー等の利用に関する特別措置法」の簡単な解説
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論文「再生可能エネルギー促進法とその問題点について」のダウンロード
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4、ブログ文書集「21世紀日本社会のための大学教育改革の提案」
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12月8日、誤字修正
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再生可能エネルギー促進法とその問題点について(3)
三石博行
1-2、住宅用太陽光発電の固定価格買取制度の導入(2008年-2009年)
日本では再生可能エネルギーに対する普及促進策としては電力会社による自主的な買い取り、RPS法や各自治体による助成などが用いられてきた。 これにより太陽光発電パネルをいち早く売り出した日本の電気メーカの供給も重なり、太陽光発電では2004年度まで世界一の生産量や市場を有していた。(Wikipedia)
図表2、2001年から2010年までの世界の太陽光電池生産量(Wikipedia)
しかし、2005年に政府の太陽光発電パネル設置への補助金が打ち切られると、国内の需要が減った。2005年度に約300MWあった生産量が2006年度に減少に転じ、2007年度は約200MWまで減少した。それまで世界一の生産量を誇っていた日本はドイツ、中国、そしてアメリカにまで抜かれてしまった。(Wikipedia)
図表3、日本における太陽光発電池出荷量(国内用と海外用)(Wikipedia)
2005年に補助金がなくなり、しかも、当時、家庭で発電する太陽光電気の買取価格は一般電気事業者10社で少しの格差はあったが1KWh当たり約22円-23円であったため、太陽光電池国内需要は急速に衰えた。何故なら、この売電価格では、太陽光発電施設の設置費用に投資した資金の回収は不可能であるからだ。これまで政府の補助金で僅かではあったが太陽光パネルを設置しようとしていた国民の自然エネルギー活用の意欲は失われたと言えるだろう。
図表4、2001年度から2007年度までの太陽光発電の国内出荷量(MW)
出典:JPEA(太陽光発電協会)ウェブサイト、「統計・資料」)
2005年に新エネルギー財団(NEF)による助成が終了して以降、2007年まで国内市場は縮小し、日本の太陽光発電の国内出荷量は減少し、総出荷量も伸びず、結果的に太陽光電池生産量世界一の座をドイツに奪われた。明らかにこれは日本のエネルギー政策の不備によって生じたといえる(それについては日本の太陽光電池産業の問題を指摘する考えもあるが)。世界一の太陽光電池の生産国となったドイツでは固定価格買い取り制度を導入した。ドイツは1990年のStromeinspeisungsgesetz (StrEG電力供給法)、そして2001年のErneuerbare-Energien- Gesetz(EEG、再生可能エネルギー法)、および2004年のEEG法改正と3段階の固定価格買い取り制度を導入することで太陽光発電の普及を促したと言われている。
日本の太陽光発電の国内出荷量の減少に危機感を募らせた政府(経済産業省)は、2008年に福田ビジョン(2008年6月9日、第91代内閣総理大臣福田康夫により発表された日本の地球温暖化への対策としてポスト京都議定書の枠組み作り、国際環境協力と技術革新の三つの提案・クールアース推進構想の温暖化ガス排出量削減構想)による太陽光電池の大幅な増産を目標に掲げた。そのビジョンにそって2009年1月に経産省が緊急提言に沿って補助金を復活させた。また、また2009年2月には環境省も再生可能エネルギーの導入に伴う費用や経済効果の試算を発表し、太陽光発電の普及政策として固定価格買い取り制度の採用を提案した。(Wikipedia)
2009年2月の環境省による太陽光発電を含む再生可能エネルギーの普及による費用や経済効果の試算によると、2020年までに太陽光発電37GWp、2030年までに79GWpの導入を仮定すると、再生可能エネルギー全体の導入の費用は2030年までに25兆円にのぼり、その経済効果はその2倍以上になる。そして、数十万人の雇用を生み出すだろうと述べられた。環境省の発表と同じ時期に、経済産業省も太陽光発電設備の初期投資を10年程度で回収できる助成策を導入することを発表した。環境省と経済産業省が共に太陽光発電の推進を行うことで一気に普及政策として固定価格買い取り制度の土台が整った。
2009年9月16日、民主、社民、国民新の3党連立政権が発足した。民主党は同年の衆議院選挙公約(マニフェスト)43項「全量買い取り方式の固定価格買取制度を導入する」の中で、再生可能エネルギー固定価格全量買取制度の早期導入、効率的電力網(スマートグリッド)技術開発・普及促進を公約した。民主党政権の成立によって更に2008年の福田ビジョンにそって2009年2月の環境省と経済産業省が具体化しようとした太陽光発電の推進構想が展開したといえるだろう。
2009年11月から固定価格による余剰電力買取制度が始まった。買取期間を10年とした日本の固定価格全量買取制度が出発したのである。この制度では、10KW未満の住宅用の太陽光発電は1KWHあたり48円(2011年申込みでは42円)で、非住宅用では24円(2011年申込みで40円)で、10KW以上で500KW以下では住宅用でも日住宅用でも1KWHあたり24円である。しかし、大型の発電施設、500KW以上では一般電気業者の買取は行われない。
図表5 買取期間10年の太陽光発電余剰分買取価格(Wikipedia)
10kW未満 | 10~500kW | 500kW以上 | |
住宅用 | 48円/kWh | 24円/kWh | 買取なし |
非住宅用 | 24円/kWh | 24円/kWh | 買取なし |
発電用 | 買取なし | 買取なし | 買取なし |
( )は2011年度契約申込みの場合
不十分とは言え、「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(平成14年法律第62号)施行から7年後の2009年に太陽光発電施設による新エネルギー等電気のうち、太陽光発電の剰余電力買取制度」が始まった。つまり、2009年11月から太陽光発電の剰余電力を電気事業者は買取る義務を負う制度(特定太陽光電気買取制度)が出発した。それは、RPS法第3条により政府が定める新エネルギー電気利用目標に対して同法第4条及び第5条により電気事業者は基準利用量の使用が義務とされたことを意味する。これが2002年に小泉政権によって成立し福田ビジョンで展開した自民党発のRPS法の功績であったと言える。
言い方を変えるなら、2009年11月から始まった固定価格による余剰電力買取制度は、2005年に政府の太陽光発電パネル設置への補助金が打ち切られたため太陽光電池の国内需要が減少、その結果としての国際競争力の減退が生じたことへの対策として始まったと言える。日本の先端産業部門である太陽電池産業の危機を救うためにRPS法を活用した政策、2008年6月の福田ビジョンが示された。そして、政府(環境省と経済産業省)は太陽光発電の普及政策として固定価格買い取り制度の採用を提案したのである。つまり、住宅用太陽光発電の固定価格買取制度(RPS法の実施)は日本の先端産業部門の危機を救うために導入されたと言ってよい。そのため風力等の他の新エネルギーに関する固定価格買取制度は作られなかったのである。
住宅用太陽光発電の固定価格買取制度(FiT)が2009年11月から始まったにしろ、原子力を中心したエネルギー基本計画がある限り再生可能エネルギーの活用の普及は基本的に進展することがなかったと言える。この流れは2009年9月に民主党政権が発足した後も変わらず2011年3月11日の東電福島第一原発事故まで続くことになる。
解説
FIT(FiT)法とは、1978年アメリカ合衆国カルフォルニア州での風力発電の普及のために、固定価格買取制度が始まった。その制度を定めた法律をFIT(Feed-in Tariff)法と呼んでいる。(Wikipedia)
参考資料
1、 Wikipedia「太陽光発電」http://ja.wikipedia.org/wiki/
2、 太陽光発電協会 HP http://www.jpea.gr.jp/
3、 Wikipedia「固定買取制度」http://ja.wikipedia.org/wiki/
4、 Wikipedia「福田ビジョン」http://ja.wikipedia.org/wiki/
5、 Wikipedia「クールアース推進構想」http://ja.wikipedia.org/wiki/
6、 経済産業省HP 「再生可能エネルギーの全量買取に関するプロジェクトチームの動き」 http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004629/index
7、 経済産業省HP「再生可能エネルギーの全量買取制度の大枠について」2010年8月4日資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部 電力・ガス事業部http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004629/framework.html
8、 再生可能エネルギーの全量買取に関するプロジェクトチーム「再生可能エネルギーの全量買取制度の導入に当たって」 平成22年7月23日 3p
9、 再生可能エネルギーの全量買取に関するプロジェクトチーム「再生可能エネルギーの全量買取制度の導入に当たって」参考資料 15p
10、 資源エネルギー庁 「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案について」 News Release経済産業省平成23年3月11日
11、 経済産業省「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案の概要」平成23年3月 経済産業省
12、 資源エネルギー庁 「新たなエネルギー基本計画の策定について」News Release経済産業省平成23年6月18日
13、 Wikipedia「固定価格買取制度」
つづき
1-3、「再生可能エネルギーの全量買取に関するプロジェクトチーム」による再生可能エネルギーの全量買取制度の提案」と「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案」(2009年-2011年)
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/11/blog-post_5505.html
論文「再生可能エネルギー促進法とその問題点について」のダウンロード
http://hiroyukimitsuishi.web.fc2.com/pdf/kenkyu_03_04/cMITShir11a.pdf
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1、ブログ文書集「原発事故が日本社会に問いかけている課題」目次
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2、ブログ文書集「東日本大震災の復旧・復興のために 震災に強い社会建設を目指して」の目次
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3、ブログ文書集「日本の政治改革への提言」の目次
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4、ブログ文書集「21世紀日本社会のための大学教育改革の提案」
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12月8日、誤字訂正
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再生可能エネルギー促進法とその問題点について(2)
三石博行
1-1、「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(平成14年法律第62号)(RPS法)について(2002年から2007年まで)
日本社会の「聖域なき構造改革」を訴えて成立した小泉政権下、2002年6月7日に「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(平成14年法律第62号)が成立し、同年12月6日から施行された。この法律は、「経済的社会的環境に応じたエネルギーの安定的かつ適切な確保に資するために、電気業者による新エネルギー等の利用に関する必要な措置を講ずること」を義務化し「環境の保全」と「国民経済の健全な発展」を目的として公布された。この法律で定める新エネルギーとは、風力、太陽光、地熱、水力とバイオマス等とされていた。
2007年3月30日に「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法施行令」(平成19年3月30日政令第97号)が出され、RRP法が施行された。この法律によって平成19年度(2007年)以降8年間、2014年度までの新エネルギー等電気の利用目標量が示された。2007年度は86.7億KW、2008年度は92.7億KWであった。2009年度に出された新エネルギー等電気の利用目標量では同年度(2009年度)の新エネルギー等電気の利用目標量は103.8億KWであった。
2011年度の電気事業者53社(一般電気事業者10社、特定電気事業者5社、特定規模電気事業者38社)に、総量約110.1億KWの新エネルギー等電気の利用の義務が課せられた。2007年度の日本の年間総発電量が約12000億KWである。2011年度の新エネルギー等電気の利用目標量を2007年度年間総発電量に比較したとしても、その総発電量の1%弱しか新エネルギーの占める電力は生産されていない。
図表1 日本の一次エネルギー供給量
使用データ:EDMC/エネルギー・経済統計要覧(2010年版)
また、IEA 統計における再生可能エネルギー導入量と対一次エネルギー総供給シェアの1990年と2006年の比較から、日本はその16年間(1990年1.7%と2006年1.8%)で0.01パーセントしか増加していない。デンマークは(1990年6.1%と2006年14.5%)で8.3%、 スウェーデンは(1990年11.1%と2006年18.2%)で7.1%、ドイツは(1990年1.1%と2006年5.3%)で4.2%増加している。
中でも平成22年度(2010年度)の新エネルギー等電気の総量は102.5億KWであり、その中で太陽光発電は13.4億KWを占めている。つまり、日本の年間総発電量が約12000億KW(2007年度)であるとしてもその総量の0.1%しか新エネルギー電気量は占めていないのである。このことから2002年6月7日に「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(平成14年法律第62号)は、その法律の目的であった電気事業者による新エネルギー等の利用を促進することは出来なかったと理解すべきである。
言い換えると、2002年の「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」の目的である「環境の保全」と「国民経済の健全な発展」のために、自然エネルギー(風力、太陽光、地熱、水力とバイオマス等)の生産とその利用を促進し「経済的社会的環境に応じたエネルギーの安定的かつ適切な確保に資する」と謳ったが、現実には、電気業者による新エネルギーの利用量は僅かなものであり、経済システムを改革する力にはなりえなかった。
21世紀になり国のエネルギー政策は大きな課題を抱えていた。一つは地球温暖化防止を進めようとする国内外の政治や社会の傾向である。非化石エネルギー利用の開発が急がれていた。もう一つは中国を始め急速に経済成長し始めた国々によるエネルギー需要の増加とそれに伴うエネルギー価格の上昇である。こうした課題に素早く対応するために、政府、経済産業省の総合資源エネルギー調査会需給部会は2002年3月に「2030 年のエネルギー需給展望」を示した。そして、自由民主党の議員立法により2002年6月7日にエネルギー政策基本法(平成14年法律第71号成立、同月14日公布)が施行された。このエネルギー政策基本法の第12条第4項の規定に基づき総合資源エネルギー調査会総合部会基本計画委員会が発足し、2003年10月に「エネルギー基本計画」が作成された。
「エネルギー基本計画」はその後、2007年、2010年と出された。2003年の「エネルギー基本計画」と2007年のそれを比較するなら、国のエネルギー政策が原子力発電に大きくシフトしていることが理解できる。言い換えると、原子力エネルギーの利用によって、2 030年に向けた国のエネルギー基本計画の基調である非化石エネルギーの利用拡大政策を推し進めた。このエネルギー基本計画(エネルギー政策基本法)と新エネルギーの利用拡大を目的にしたRPS法「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(平成14年法律第62号)は基本的にその方向性を異にすることになる。当然、原子力発電を基本とする電気エネルギー生産を中心におくエネルギー基本計画が再生可能エネルギーを利用するRPS法よりも優位に立っていたために、地球温暖化対策として二酸化炭素を排出しない原子力発電によって電力は十分に補給でききると考えていたために、地球温暖化対策や脱化石燃料エネルギー利用の切り札としてコスト高の再生可能なエネルギー(風力、太陽光、地熱、水力とバイオマス)の開発に敢えて投資する必要を感じていなかったのである。
2007年6月と2010年6月のエネルギー基本計画によると、政府は原子力を非化石エネルギーの代表とし、2020年までに9基(ゼロ・エミッション電源比率50%)、2030年までに14基(ゼロ・エミッション電源比率70%)の原子力発電所を新増設する計画を出していた。政府が非化石エネルギーである原子力も新エネルギーの中に入れ、原子力エネルギーを中心とするエネルギー基本計画を立てるなら、他の再生可能エネルギーを活用する必要はないのである。つまり、このエネルギー基本計画によって再生可能エネルギーを生産する社会経済システムは進行しないことになる。RPS法によって電気事業者が風力、太陽光、地熱、水力、バイオマス等の新エネルギー等を利用することを促進しようとしても、エネルギー基本によって、このRPS法は形骸化されてしまったと言えるだろう。
解説
1. 電気の単位
1Wは 約0.860cal (1ccの水を約0.86度C上げるエネルギー)
1000Wが1KW(キロワット)
1000KWが1MW(メガワット)つまり100万W(0.1万KW)
1000MWが1GW(ギガワット)つまり10億W(100万KW)
1000GWが1TW(テラワット)つまり1兆W(10億KW)
例えば
3KWが平均的な家庭用エアコンの能力、40KW- 200KWが一般的な自動車の出力、6MWがドイツの電気機関車の定格出力、18.2MWが新幹線500系電車の編成出力、2.074GWがフーバーダムの最大発電電力、3GWが世界最大の原子炉の最大発電電力、1.7TWが世界の平均消費電力(2001年)、3.327TWがアメリカ合衆国の平均消費仕事量(ガス・電力など全ての合計)、(2001年)13.5TWが世界の平均消費仕事量(2001年)(Wikipedia)
2. 一般電気事業者10社とは現在は、「北海道電力㈱、東北電力㈱、東京電力㈱、中部電力㈱、北陸電力㈱、関西電力㈱、中国電力㈱、四国電力㈱、九州電力㈱、沖縄電力㈱」である。特定電気事業者5社とは「限定された区域に対し、自らの発電設備や電線路を用いて、電力供給を行う事業者(六本木エネルギーサービス㈱、諏訪エネルギーサービス㈱が該当)」である。特定規模電気事業者38社とは「契約電力が50kW以上の需要家に対して、一般電気事業者が有する電線路を通じて電力供給を行う事業者(いわゆる小売自由化部門への新規参入者(PPS))」である。
参考 経済産業省 資源エネルギー庁 「我が国の電気事業制度について」
電気事業の概要 (1)電気事業者の種類 (図:電気事業者の概要)
http://www.enecho.meti.go.jp/denkihp/genjo/genjo/index.html
Wikipedia 「電気事業法」
3. 特定太陽光電気とは、「太陽光発電施設による新エネルギー等電気のうち、太陽光発電の剰余電力買取制度により電気事業者に買取義務のある電気であり、RPS法の義務履行に充当できないもの」を言う。
参考 経済産業省資源エネルギー庁 「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法の平成22年度の施行状況について」 News Relesse、平成23年7月15日
4. RPSとは「Renewables Portfolio Standard」の略語で、日本語に訳すと「再生可能エネルギー利用割合基準」となる。
参考資料
1、 「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(平成14年法律第62号)平成14年6月7日公布
2、 「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法施行令」(平成14年法律第62号)改正 平成19年3月30日政令97号
3、 「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法施行規則第二十条各号に規定する手続を行う者に係る計算機に係る基準」平成14年経済産業省告示第410号 平成14年12月6日公布(平成15年2月3日一部改正、平成15年2月13日最終改正、平成15年4月1日施行)
4、 「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法施行規則」(平成14年12月6日 経済産業省令第109号)改正 平成15年2月3日、法律第62号)改正 平成19年3月30日政令97号
5、 経済産業省「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)と下位法令との対比表
6、 「平成19年度以降8年間について電気事業者による新エネルギー等電気の利用目標」 経済産業省告示第279号 平成21年8月31日公布
7、 IEA, Renewables Information, Energy Balances of OECD Countries
8、 総合資源エネルギー調査会需給部会 『2030年のエネルギー需給展望』平成17年3月 http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g50328b01j.pdf
9、 経済産業省 「エネルギー政策基本法」平成十四年六月十四日法律第七十一号)http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H14/H14HO071.html
10、 Wikipedia 「エネルギー政策基本法」
11、 経済産業省 資源エネルギー庁『エネルギー白書2009年』p148
12、 経済産業省資源エネルギー庁 「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法の平成22年度の施行状況について」 News Relesse、平成23年7月15日
13、 経済産業省 (2003)『エネルギー基本計画』平成15年10月、37p
14、 経済産業省 (2007)『エネルギー基本計画』平成19年3月、69p
15、 経済産業省 (2010)『エネルギー基本計画』平成22年6月、65p
つづき
1-2、住宅用太陽光発電の固定価格買取制度の導入(2008年-2009年)
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/11/blog-post_4777.html
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ブログ文書集
1、ブログ文書集「原発事故が日本社会に問いかけている課題」目次
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/06/blog-post_3562.html
2、ブログ文書集「東日本大震災の復旧・復興のために 震災に強い社会建設を目指して」の目次
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/03/blog-post_23.html
3、ブログ文書集「日本の政治改革への提言」の目次
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/06/blog-post_9428.html
4、ブログ文書集「21世紀日本社会のための大学教育改革の提案」
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/04/blog-post_6795.html
12月2日 誤字修正
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Tweet
再生可能エネルギー促進法とその問題点について (1)
三石博行
目次
持続可能なエネルギー生産社会を目指すために
1、再生可能エネルギー促進法とその問題点について
1-0、はじめに
1-1、「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(平成14年法律第62号)(RPS法)について(2002年から2007年まで)
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/11/blog-post_9263.html
1-2、住宅用太陽光発電の固定価格買取制度の導入(2008年-2009年)
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/11/blog-post_4777.html
1-3、「再生可能エネルギーの全量買取に関するプロジェクトチーム」による再生可能エネルギーの全量買取制度の提案」と「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案」(2009年-2011年)
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/11/blog-post_5505.html
1-4、3.11(東電福島第一原発事故)以後、問われたエネルギー基本計画と「電気事業者による再生可能エネルギー等の利用に関する特別措置法」成立(2011年)
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/11/blog-post_5505.html
1-5、「電気事業者による再生可能エネルギー等の利用に関する特別措置法」の簡単な解説
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/11/blog-post_27.html
1-6、「電気事業者による再生可能エネルギー等の利用に関する特別措置法」の問題点
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/11/blog-post_3610.html
1-7、まとめ
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/11/blog-post_3610.html
論文「再生可能エネルギー促進法とその問題点について」のダウンロード
http://hiroyukimitsuishi.web.fc2.com/pdf/kenkyu_03_04/cMITShir11a.pdf
はじめに
今年「電気事業者による再生可能エネルギー等の利用に関する特別措置法」(FiT法)が成立し、来年7月に施行される。この法律の成立過程を2002年に公布された「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(RPS法)から振り返ってみる。
法律は政策の道具である。政策は政治的方針を実現する手段である。政治的方針とは政治理念を具体化するための方法である。こう考えると、再生可能エネルギー電気の利用普及や、その固定価格買取制度も、この国の将来計画、将来ビジョンに基本的な課題があることを理解できる。我々はどのような社会を実現しようとしているのか。そのためには、どういう政策をどの時代にどのように適用するかということが政治家や政策立案者たちの作業となるだろう。
今回、「電気事業者による再生可能エネルギー等の利用に関する特別措置法」の簡単な解説とその問題点について語るのであるが、その前に、それらの問題がどこから来ているかを説明するために、上記したようにRPS法からFiT法への成立過程を分析した。
この議論は、当然、これからの再生可能エネルギー社会を実現するための議論の一端であり、その長い困難な政治的(政策的)、経済的、技術的、生活文化的課題に対する議題の提供を行うためのものである。この法律に関する評価と課題分析を行うことは、明日の再生可能エネルギー社会の実現に役立つものと信じるのである。
この文書は2011年11月19日おおつ市民環境塾講座で行った講演の資料を基にして作成したものである。
つづき
1-1、「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(平成14年法律第62号)(RPS法)について(2002年から2007年まで)
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/11/blog-post_9263.html
見引用・参考資料
1. 「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(平成14年法律第62号)平成14年6月7日公布
2. 「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法施行令」(平成14年法律第62号)改正 平成19年3月30日政令97号
3. 「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法施行規則第二十条各号に規定する手続を行う者に係る計算機に係る基準」平成14年経済産業省告示第410号 平成14年12月6日公布(平成15年2月3日一部改正、平成15年2月13日最終改正、平成15年4月1日施行)
4. 「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法施行規則」(平成14年12月6日 経済産業省令第109号)改正 平成15年2月3日、法律第62号)改正 平成19年3月30日政令97号
5. 経済産業省「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)と下位法令との対比表
6. 「平成19年度以降8年間について電気事業者による新エネルギー等電気の利用目標」 経済産業省告示第279号 平成21年8月31日公布
7. IEA, Renewables Information, Energy Balances of OECD Countries
8. 総合資源エネルギー調査会需給部会 『2030年のエネルギー需給展望』平成17年3月 http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g50328b01j.pdf
9. 経済産業省 「エネルギー政策基本法」平成十四年六月十四日法律第七十一号)http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H14/H14HO071.html
10. Wikipedia 「エネルギー政策基本法」
11. 経済産業省 資源エネルギー庁『エネルギー白書2009年』p148
12. 経済産業省資源エネルギー庁 「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法の平成22年度の施行状況について」 News Relesse、平成23年7月15日
13. 経済産業省 (2003)『エネルギー基本計画』平成15年10月、37p
14. 経済産業省 (2007)『エネルギー基本計画』平成19年3月、69p
15. 経済産業省 (2010)『エネルギー基本計画』平成22年6月、65p
16. Wikipedia「太陽光発電」http://ja.wikipedia.org/wiki/
17. 太陽光発電協会 HP http://www.jpea.gr.jp/
18. Wikipedia「固定買取制度」http://ja.wikipedia.org/wiki/
19. Wikipedia「福田ビジョン」http://ja.wikipedia.org/wiki/
20. Wikipedia「クールアース推進構想」http://ja.wikipedia.org/wiki/
21. 経済産業省HP 「再生可能エネルギーの全量買取に関するプロジェクトチームの動き」 http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004629/index
22. 経済産業省HP「再生可能エネルギーの全量買取制度の大枠について」2010年8月4日資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部 電力・ガス事業部http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004629/framework.html
23. 再生可能エネルギーの全量買取に関するプロジェクトチーム「再生可能エネルギーの全量買取制度の導入に当たって」 平成22年7月23日 3p
24. 再生可能エネルギーの全量買取に関するプロジェクトチーム「再生可能エネルギーの全量買取制度の導入に当たって」参考資料 15p
25. 資源エネルギー庁 「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案について」 News Release経済産業省平成23年3月11日
26. 経済産業省「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案の概要」平成23年3月 経済産業省
27. 資源エネルギー庁 「新たなエネルギー基本計画の策定について」News Release経済産業省平成23年6月18日
28. Wikipedia「固定価格買取制度」
29. 日本弁護士連合会「福島第一原子力発電所事故による損害賠償の枠組みについての意見書」2011年6月20日 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2011/110617_2.html
30. 原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年六月十七日法律第百四十七号)http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36HO147.html
31. Wikipedia 「福島第一原子力発電所事故」
32. 植草一秀 「原発事故加害者が被害額大幅圧縮に突き進む暴挙」http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/post-ea3c.html
33. YOMIURI ONLINE 「菅首相、原発依存見直しを表明」2011年5月11日 読売新聞 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110510-OYT1T00978.htm
34. WWFジャパン公式サイト「エネルギー基本計画」を審議する第1回会合が開催されました」http://www.wwf.or.jp/activities/2011/10/1018105.html
35. 寺島実郎「エネルギー基本計画の見直しで問われるもの」日経BP社 BPnet http://eco.nikkeibp.co.jp/article/column/20111028/109141/
36. 産経ニュース msn 「自然エネルギー普及で意見交換 12日に首相と孫正義氏ら」2011.6.10、http://sankei.jp.msn.com/
37. 産経ニュース 「「自然エネルギー協議会」が初総会 「秋田宣言」まとめる ソフトバンク孫社長が主導」2011.7.13、、http://sankei.jp.msn.com/
38. 経済産業省 資源エネルギー庁「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案について」 NewsRelease平成23年3月11日 資源エネルギー庁
39. 「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案要綱」
40. 電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(平成十四年法律第六十二号)
41. 「電気業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(平成23年法律第108号) 第五章 調達価格等算定委員会
42. 調達価格等算定委員会令
43. 経済産業省 「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案」の概要、発表資http://www.meti.go.jp/press/20110311003/20110311003.html
44. 神田慶司、溝端幹雄、鈴木準 経済社会研究班レポートNo4「再生可能エネルギー法と電気料金への影響」大和総研、2011年9月2日、15p http://www.dir.co.jp/souken/research/report/japan/mlothers/11090201mlothers.pdf
45. EICネット「ドイツ、太陽光発電に対する電力買い取り補償価格を15%引き下げる提案を公表」http://www.eic.or.jp/news/?act=view&serial=24613&oversea=1 2011.01.20
46. bloomberg.co.jp(News)「太陽光エネルギー業界で大規模再編が加速-価格下落で提携か廃業へ」http://www.bloomberg.co.jp/ 2011/08/31
47. 新華社通信 「独、太陽光発電産業が窮地に陥る 中国産業への影響も」2011年09月15日、http://www.xinhuajapan.com/open/2011/09/post-85.html
48. 日経ビジネス 「原発5基分の電力が燃料費タダで手に入る 廃棄物発電の潜在力と再生可能エネルギー全量買取法の弱点」2011.09.30 http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20110930/222923/
49. 経済産業省「平成23年度の太陽光発電促進付加金(太陽光サーチャージ)の単位の確定に伴う電気料金の認可について」 News Release経済産業省平成23年1月26日
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ブログ文書集
1、ブログ文書集「原発事故が日本社会に問いかけている課題」目次
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/06/blog-post_3562.html
2、ブログ文書集「東日本大震災の復旧・復興のために 震災に強い社会建設を目指して」の目次
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/03/blog-post_23.html
3、ブログ文書集「日本の政治改革への提言」の目次
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/06/blog-post_9428.html
4、ブログ文書集「21世紀日本社会のための大学教育改革の提案」
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/04/blog-post_6795.html
12月2日 誤字修正
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2011年11月2日水曜日
PBL教育を日本の大学に普及させよう(「PBL教育フォーラム2011」に参加して2 )
三石博行
社会の教育力を活用して成立するPBL教育
同志社大学PBL推進支援センターが主催して2011年10月22日に同志社大学新町キャンパスで開かれた「PBL教育フォーラム2011」で配布されたフォーラムのプログラム(予定項目)の副題に「学生のヤル気を引き出すPBL ‐実践的な学習をサポートする支援としかけ‐」と記されているようにPBLの教育目的は学生の学習意欲を引き出すことである。
学習意欲とは学習課題への関心であり、その課題を探究したいという要求である。まず、この課題への関心は、無理に作ることは出来ない。学びを強制されて、また卒業要件を満たすための手段として受講している科目に対して、始めから積極的な学習意欲を感じる訳がないのは当然である。PBL教育は学生が企画し運営する授業である。そのため、学習意欲を持つことが、この教育の成立条件の必要十分条件となっている。
しかし、PBL教育の第一の難関は、まさにこの課題となる。積極的な学習姿勢を予め学生に要求することは困難である。その姿勢が無ければしかし、PBL教育は成立しない。PBL教育が成立しなければ「主体性をもって学ぶ」姿勢を教育することは出来ない。学ぶ姿勢はPBL教育の目標であり、その成立条件である。つまり、どのようにしてPBL教育を成立させるのかが、実は、多くの大学がPBL教育を導入するにあたって抱え込んでいる問題の一つであると言える。
今回の「PBL教育フォーラム2011」に参加した大半の大学のPBL教育に共通している点は企業活動、大学教育改善活動、国際支援活動を課題にし、そこで問題となっている課題の解決をプロジェクト科目のテーマにしていたことであった。学生は、直接、現実の問題を触れ、そこで問われている課題を受け止め、その解決を巡ってプロジェクト科目の授業が始まる。つまり、問題提起者としてこれらのPBL教育が活用したのは社会の教育力であった。社会には解決しなければならない問題は山のようにある。その現実を知らせる。そしてその現実を受け止めることからプロジェクト科目が始まるのである。
アメリカの医学教育に導入されているPBL教育でも、まず学生は大学付属病院の臨床の現場で患者さんの治療を考えることから始まる。そして日本では看護学部に導入されているPBL教育も看護現場の問題を受け取る形で学習プロジェクトが始まる。つまり、PBL教育で必要な問題提起者はつねに現実の社会であると言える。換言すると、社会の教育力を大学教育のシステムに導入することが出来ない限りPBL教育は困難であるとも言える。
悩みぬく力を身に付けた
「PBL教育フォーラム2011」の第2部「学生による取組発表」で、早稲田大学プロフェッショナル・ワークショップのグループは「2011年KUMON×早稲田プロフェッショナル・ワークショップ」のについて発表した。明治大学商学部特別テーマ実践授業のグループは「グッド・イノベーション講座 ~新聞のプロモーション~」の成果について報告した。広島経済大学興動館教育プログラムのグループは「インドネシア国際貢献プロジェクト ~インドネシアの復興を目指して~」について国際支援活動の経験を報告した。甲南大学 CUBEプロジェクト科目のグループは「‐MyKONAN改善プロジェクト 学生が欲しい学内ポータルサイトの企画」について発表した。そして最後に同志社大学プロジェクト科目のグループは「京都の織物文化活性化計画!~織物の伝統技術について考えよう~」を発表した。
そのすべてのPBL教育プログラムが企業、自治体、NGO、地域社会、大学で働く人々の参加によって運営され、それらの現場や職場の課題解決をテーマにしていた。学生は協力してくれた会社、学校法人やNGOに解決策を提案し、それらの提案が受け入れられ、実際に活用されているケースもあった。つまり、学生は学ぶ立場でなく、問題解決に参画する立場を自覚していた。そこで与えられた責任を全うするために努力していた。
第3部のパネルディスカッション「学生と共に考える学習環境」の中で、学生の発言したことは、多くの参加者にとって貴重な意見であり、そこから多くのことを学ぶことができたと思えた。PBL教育プログラム(プロジェクト科目)に協力した企業の人々から学んだことや実際の社会統計作業に必要な社会統計の学習を専門の教員から受講したこと等々の経験、成果や反省点を述べた。そのすべてをここで紹介することはできないがどの発言や提案も素晴らしいものであった。発言の中には、大学へのPBL教育のための体制や施設充実の要求、PBL教育を担う教員への要求、その一つひとつが教える側には身にしみる内容であった。真剣に学習に取り組できた学生の意見だけにそれらの発言には迫力があった。そして、何よりもそれれの提案には説得力があった。
ディスカッションの中で、パネラーの甲南大学マネジメント創造学部3年生の川井健太さんの「このPBLを通じて、悩みぬく力を身に付けることができた」という発言は、このPBL教育の成果の大きな一つであると感激した。学ぶ姿勢、いやもっと問題を解決するために、それと格闘し続けるために、問題を持続して受け止め続ける力、悩みぬく力が必要であと知った。そしてその力を付けることを課題にした。これがPBL教育の成果なのだ。これ以上の教育は日本の大学学部教育にはないだろうと思う。
問われた大学と教員(私)
このフォーラムに参加して、素晴らしい教育成果(学生)に出会い、そして、彼ら彼女らの姿勢や発言から真剣に問われていることは、学生の学ぶ姿勢を問いかけたPBL教育の成果として、教える側、大学、教育環境と教職員の教育力の質を問いかけており、現在の高等教育の在り方や教育者としての大学教員の問題の解決なくしてはPBL教育を普及することは出来ないことに気付かされるのである。
今後、同志社大学で開催された「PBL教育フォーラム2011」のように、PBL教育を参画した学生が主役となるフォーラムを続ける必要がある。各大学で、各大学コンソーシアムで、各地域、関西で、そして全国で、多くの大学にPBL教育を普及する活動を行い続けなければならないと思う。
PBL教育の普及によって、学ぶ姿勢を身に付けた学生から教員や大学に対して、真剣に、そして切実に大学教育改革の具体的な問題が提起され、我々(大学教職員)は、正に彼らと(学生たちとともに)その問題解決のための研究をしなければならいだろう。つまり、我々は学生と同じ立場でPBL教育に関わり、我々、大学の教職員がこのPBLの参加者となり、教える側でなく、共に学習する仲間の一人として、そのプロジェクト科目を参画する(PBL教育活動を行う)中で、我々(教職員)自体が成長する機会を得ることができると確信できた。その確信こそ、PBL教育を普及する力になるだろう。そのためにはまず、始めなければならない。そして、PBL教育を模索検討している仲間(学生、社会の協力者、大学教職員)と協働して、相互の経験を語り合わなければならない。
参考資料
1、2011年10月22日に同志社大学新町キャンパスで開かれた「PBL教育フォーラム2011」2009年度の文部科学省大学教育・学生支援推進事業「プロジェクト・リテラシーと新しい教養教育 -課題要求能力を育成するPBL教育の方法論的整備‐」の研究成果の発表の場として提供された。
2、三石博行 同志社大学「PBL教育フォーラム2011」参加して
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/11/pbl2011.html
同志社大学PBL推進支援センター
http://www.doshisha.ac.jp/academics/institute/ppsc/suishin.php
三石博行 河村能夫
「最先端医学教育 UCSFのJMB(Joint Medical Program)・複数専門知識修得の意味 」
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/03/ucsfjmbjoint-medical-program.html
A
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2011年11月4日 誤字と文書表現の修正
同志社大学「PBL教育フォーラム2011」参加して
三石博行
PBL(Problem Based Learning )教育の必要性
2011年10月22日、同志社大学の新町キャンパスで同志社大学PBL推進支援センター(山田和人センター長)の主催、株式会社SIGELの共催で、「PBL教育フォーラム2011」が開催された。このフォーラムの参加定員は300名であった。私はこのフォーラムに関する情報を河村能夫龍谷大学経済学部教授や高等教育研究会事務局の佐々江さんから教えてもらって、開催日前の19日になって慌てて参加登録をお願いし、何とか参加することが出来た。
PBL教育に関しては、以前から非常に興味を持ち、河村能夫龍谷大学教授とUCSF(カルフォルニア大学サンフランシスコ校)のM.Kevin教授(不幸にして8月に交通事故で他界された)を龍谷大学の教育開発研究センターの協力を得て、2回龍谷大学に招待し講演会を開催したことがあった。
PBL教育は世界中の大学で課題となっている。何故なら、大学は高度に発達してゆく知識社会を担う人々を育てなければならない。自ら学ぶ力、つまり学ぶ姿勢を持つ人材教育が大学教育の重要な柱となっている。そして、参画型授業の一つとしてPBLが開発されてきた。しかし、PBL教育は日本の大学教育では十分に普及している訳ではない。
早稲田大学や同志社大学のようにいち早くPBL教育を大学教育制度改革に取り入れようとしている大学がある。そして、今回、同志社大学で開かれた「PBL教育フォーラム2011」はこれまでのPBL教育成果を報告した始めての試みであったと言える。
同志社大学PBL教育、社会連携型PBL教育方法によるプロジェクト科目
同志社大学ではPBL教育の土台となるプロジェクト科目を2006年に全学共通教養教育科目に設置した。このプロジェクト科目はPBL教育をベースにした学生主体の社会連携型のチームで行われた。このPBL教育方法でのプロジェクト科目は2006年度の現代GP(文部科学省による大学教育支援プログラムの一つで「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」)にも採択され、2008度末までPBLをめぐるシンポジウムや報告書、調査訪問、PBL研究会の活動等を同志社大学は行ってきた。
2006年からのPBL教育方法でのプロジェクト科目の試みは、2009年度「プロジェクト・リテラシーと新しい教養教育~課題探求能力を育成するPBL教育の方法論的整備~」として展開され、その斬新的教育プログラムは評価されGPに採択されました。2006年度のGP採択は学生主体の社会連携型のチームを課題にしたプロジェクト科目による地域連携教育であったのに対して、2009年度GP採択は、教養教育PBL(プロジェクト科目)が目指すプロジェクト・リテラシーの育成が評価の対象となった。
こうした社会連携型、つまり社会の教育力を大学に取り入れるPBL教育でのプロジェクト科目や、全学部対象の教養教育PBL 推進を進める中で同志社大学では共通教育センターに所属したPBL推進支援センターが2008年11月に発足したのである。
同志社大学PBL教育推進支援センターの活動と教育思想
同志社大学のPBL教育推進支援センターが主催した2011年10月22日の「PBL教育フォーラム2011」で、同センター長の山田和人教授が挨拶を行った。山田教授は「PBL教育フォーラム2011」の主人公は学生であると述べた。この「PBL教育フォーラム2011」はPBL教育を実現した学生たちが中心となって、PBL教育をサポートした企業関係者、大学職員や教員と共に、その経験を交流する会であること、また、フォーラムでの発表を通じて、学生が自らの成果を確認し、さらには、他の大学でのPBL教育を実践した学生たちの発表を聴き、その成果や反省と自らのそれとを比較検討しながら、今後の学習に活かして欲しいと山田和人教授は話した。
そして「PBL教育フォーラム2011」で発表し討論する学生の姿(姿勢)を通じて、PBL教育の成果を理解することが出来ると、山田教授は参加者(企業関係者、大学職員、教員)に述べた。このPBL教育を実現するために、協力した企業の関係者、大学職員も今回のフォーラムに多数参加していた。このフォーラムがPBL教育プログラム(プロジェクト科目)に参画した学生たちが参加していることと同様に、PBL教育を支援した企業関係者や大学職員が多数参加している点も、これまでの大学でのフォーラムとは異なっていた。
山田和人教授の挨拶(YouTubeで公開)
http://youtu.be/8av13DzsUTA
PBL教育には、明らかにこれまでの教師の立場から観た教育スキル論である大学教授法と異なる視点や思想が求められていた。そのことを山田和人教授は「このフォーラムは学生さんが主役です」と述べた。つまり、学ぶ姿勢を身に付けるためには、学生が自ら、学ぶ場の主体となり(学生による授業企画や運営)、学生のための授業内容が検討され(学生が授業進行段階で授業評価を行う)、学生によってその成果が評価される(参画した学生の主観的な満足度や充実観が評価の大切な基準となる)。
つまり、PBL教育を推進するためには、大学が、教員や職員が自らを変えなければならないことが問われているようだ。
PBL教育の成果としての学生の姿
フォーラムは3つの課題(三部)に分けられて構成されていた。第一部では、アップル・ジャパン株式会社の益田玲子さんの「社会で求められている実力とは Why PBL?」と題する基調報告が行われた。 益田玲子さんはアップル社がその創設期から教育という課題を常に追求してきたことや、現在でも教育へ貢献する企業戦略を持ち続けていることを述べた。
第二部はPBL教育を経験した学生たちの発表で、早稲田大学、明治大学、甲南大学、広島経済大学と同志社大学のPBL教育を担当した教員とそれを企画した学生たちが発表した。殆どの大学の発表者は一回生から4回生までの学生たちで、学年を越え学部を越えてプロジェクト科目に参加しPBL授業を運営していた。それらのすべての発表はどれも素晴らしいものであった。ここまで、学生が成長するのだと、参加した我々は痛感したと思う。
しかし、これらの学生の成長を痛感させてくれたのは第三部のパネルディスカッキョンの時だった。全く、予行練習もなく、発表した5つの大学から一人づつパネラーが壇上に上がり、ディスカッションの司会役の山田教授が「このパネルディスカッションは学生によって運営されるため、私(山田教授)は司会といっても、ディスカッションの中には入らない」と最初に述べた。一体、このパネルディスカッションのどうなるのだろうかと参加した多くの人々は思っただろう。しかし、パネラーの中から早稲田大学教育学部3回生の池ヶ谷英里さんが自然と司会者役を担い、他の4つの大学のパネラー達の発言を誘導し、ディスカションの進行を務めた。
この彼女のみごとな司会ぶり(みごとなパネルディスカッションのリード)に、参加した我々から一種の驚きや最高の評価としての「笑い」が生じた。そして、会場は活気づいていった。参加したパネラーは堂々と自分たちのグループで議題になったことや、自分の意見を述べた。
まさに、この学生たちこそがPBL教育の成果である(フォーラムの挨拶で山田和人教授が冒頭に述べとことば)のだと深く感じ入ったのであった。
参考資料
GP(大学教育の充実 –Good Practice)
文部科学省ホームページ(http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/kaikaku/gp.htm)
「文部科学省では、国公私立大学を通じて、教育の質向上に向けた大学教育改革の取組を選定し、財政的なサポートや幅広い情報提供を行い、各大学などでの教育改革の取組を促進するため、「特色ある大学教育支援プログラム(特色GP)」、「現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)」及び「質の高い大学教育推進プログラム(教育GP)」を実施しています。
平成21年度からは「大学教育・学生支援事業」のテーマA「大学教育推進プログラム」において大学教育改革の取組を推進しています。」
文部科学省大学教育・学生支援推進事業【テーマA】大学教育推進プログラムシンポジウム
2009年度「未来を切り拓くPBL-「教育」の壁を越えて-」
同志社大学PBL推進支援センターホームページ
http://www.doshisha.ac.jp/academics/activity/sympo100220.php
同志社大学PBL推進支援センター
http://www.doshisha.ac.jp/academics/institute/ppsc/suishin.php
三石博行 河村能夫
「最先端医学教育 UCSFのJMB(Joint Medical Program)・複数専門知識修得の意味 」
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/03/ucsfjmbjoint-medical-program.html
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