2012年8月20日月曜日

OurPlanet-TV(市民メディア)がJCJ賞を受賞する

『民主主義文化としての報道機能について』
3章、コミュニティメディアと市民参加の報道機能の確立


三石博行


放送ウーマン賞とJCJ賞に輝くOurPlanet-TV (白石草氏)

  昨年12月に、OurPlanet-TVの代表 白石草(はじめ)さんが放送ウーマン賞を受賞した。そして、今年8月に、OurPlanet-TVは8月11日に再び、優れたジャーナリズム活動贈られる「JCJ賞」を受賞した。

日本ジャーナリスト会議(JCJ)は、1958年以来、年間の優れたジャーナリズム活動・作品を選定して、「JCJ賞」を贈り、顕彰してきました。今年は55回である。

JCJ受賞の対象となったOurPlanet-TV番組は今年6月4日に報道された「徹底検証!テレビは原発事故をどう伝えたか?」である。その受賞理由は、「非営利のインターネット放送局OurPlanet-TVは、「3.11」以後、原発災害問題の取材を強化し、子どもの被曝問題などで積極的な取材と情報発信を展開している。4月には「徹底検証!テレビは原発事故をどう伝えたか」を放送し、大手テレビの原発報道を市民目線で初めて検証した。こうした一連の活動は、大手メディアによる独占的な情報発信だけでなく、市民の立場からの新たな情報回路を創出しようとする画期的な取り組みであり、高く評価したい。」(1) と日本ジャーナリスト会議は発表している。

以下、2012年8月17日 OurPlanet-TV事務局発信メールの引用を記載する。

「福島原発事故から1年が経った。政府の事故調査委員会や民間事故調、国会事故調と、3つの調査委員会によって、事故直後の東電や政府の対応が徐々に明らかになってきている。では、その当時、果たしてテレビはどのような役割を果たしていたのか?311直後のテレビを見続け、分析してきた研究者やジャーナリストらが徹底検証する。

ゲスト:伊藤守(早稲田大学メディアシティズンシップ研究所所長)
    小田桐誠(放送批評懇談会/ジャーナリスト)
     広河隆一(フォトジャーナリスト/DAYS JAPAN編集長)
司 会:白石草(OurPlanetTV)」(2012年8月17日 OurPlanet-TV事務局発信メールの引用)

視聴URL
 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1341 」

徹底検証!テレビは原発事故をどう伝えたか?

Part1 緊急事態をどう伝えたか?
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1343

Part2 避難指示をどう伝えたか?
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1344

Part3 1号機爆発をどう伝えたか?
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1345

Part4 被曝リスクをどう伝えたか?(前編) 
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1347

Part5 被曝リスクをどう伝えたか?(後編)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1346

(2012年8月17日 OurPlanet-TV事務局発信メールの引用)


福島原発事故の正しい情報を伝えられなかった公共放送とマスコミ

この二回の受賞は、日本の市民メディアにとって大きな意味を持っている。これまで、報道は公共放送やマスコミによって独占されてきた。昨年の3.11東日本大震災・福島原発事故以後、市民はNHKの報道に絶望した。3.11以後の報道を観ると、当時のNHKは政府の原発推進のエネルギー政策を国民の安全に関する情報提供よりも優先させたと言える。

またそれまで原発問題を語ることを「政治的議論」としてタブー視してきたマスコミにたいする国民的批判もあった。何故なら、マスコミは大口のスポンサーである電力会社から年間巨額の広告宣伝費を受け取っていた。そのために原発に関する報道を抑制してきたのである。マスコミが企業経営上の利益を公正な社会報道に優先させてきた。

3.11以後、公共放送やマスコミへの市民の信頼性は大きく失墜した。そして市民に正確な情報を伝えた報道のあり方が、国家の安全対策の課題となった。


東日本大震災・福島原発事故はインターネット市民メディアの存在を国民が知る機会を与えた


原発事故は、ジャーナリズムにとっても、日本の報道機関の社会的機能と民主主義の課題を真剣に問い掛けることになった。市民メディアによる原発事故、放射能汚染、被曝者の現実に関する報道がインターネット上から報道される。

また、東日本大震災の救援活動、支援物資情報や必要なボランティア情報はインターネットと通じて伝わってくる。情報発信のためのソフト開発ボランティア、情報入力ボランティア情報もインターネット上で行なわれた。東日本大震災はインターネットが今まで以上に救援活動の情報機能として活躍した。

さらに、インターネット上では原子力発電所構造からその問題点や危険性、さらには供給電力を失った後の問題、問題を正しく指摘できる専門家(原子力ムラに属する自称専門家でない人々)の解説が流された。これらの情報へのアクセス回数は一日で十数万件を超えたと言われている。

また、テレビや他の報道と異なり市民が見たいとき知りたいときに情報にアクセスできるインターネット上での情報発信方法は報道番組の時間帯という縛りを情報発信は受けない。そのため、ブログやソーシャルメディアで伝わった情報によって、市民メディアが発信した情報へのアクセスはその影響力が大きくなるほど増える傾向にあった。

東日本大震災・福島原発事故はインターネットによる市民メデァイの役割の社会的評価を高める結果と導いた。それは、公共放送やマスコミの報道機能が国家の危機管理や安全管理に対して対応仕切れていなかった現実によって生じた社会現象であった。この災害によってわが国の報道のあり方が根本から問い直われることになったと理解できるだろう。


引用、参考資料

(1) 日本ジャーナリスト会議(JCJ)「2012年度JCJ賞発表について」
http://jcj-daily.sakura.ne.jp/jcjsho12.htm

三石博行 ブログ文書集『民主主義文化としての報道機能について』

「民主主義文化としての報道機能について」の目次 http://mitsuishi.blogspot.jp/2011/12/blog-post_03.html
はじめに(何故、報道機能の改革が課題となるのか)
1.スコミの現実
2、公共報道機関の必要性とその独自性を擁護するための改革
3、コミュニティメディアと市民参加の報道機能の確立
4、報道の自由とモラル


2012年8月22日 誤字修正
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