2011年3月20日日曜日

学生時代の読書会スタイルでの三つの研究活動

プログラム科学論研究会活動報告(1)


三石博行


プログラム科学論研究会は、現在、三つの研究活動を行っている。一つは槇和男氏と吉田民人著『自己組織性の情報科学』の読書会である。もう一つはEddy Van Dromさんとの研究会である。それぞれ1週間に1回の割合で行っている。もう一つは綿引宣道氏(長岡科学技術大学)との研究会である。この研究会は年に2回の計画であるが、今まで1回実施された。

吉田民人先生(以後 吉田と呼ぶ)の文章を一人で読むのは大変だ。多分、最後まで読み通せないかもしれない。それとも、読むには読んだが、殆ど一つ一つの文脈の流れを検証することなく、さらりと読んでしまう。

その理由は、抽象的で難解な文章と内容、しかも吉田用語による吉田分類学と吉田論理展開、つまり吉田理論社会学の独自の学問的領域への自己同化作業は超が付くほど困難であること、等々の理由が挙げられる。先生の下で研究していた人々も多分、私と同じ感想をもっていただろう。

そこで槇さんやEddyさんと一緒に文章の読み合わせ、解釈、批判を行うことで吉田理論社会学の勉強が可能になる。

随分昔、学生時代、化学研究会を創り大井英治君や木村隆良君ら数人と有機化学(英語の原本)、熱力学の勉強会をしたことがあった、また槇君達と一緒に量子化学研究室のゼミで量子力学(英語の原書)の読書会をやったことがあった。学生時代は、そんな風にして読書会をよくやっていた。しかも自然発生的に読書会があっちこっちで出来ていた。そんな風景は次第に歳を取るとなくなる。私は幸いいつまでも若い気持ちをもった友人に囲まれているので、吉田理論社会学の学習会を行えるのである。

吉田先生が私にしてくださった「ゼミ」も、今、私が槇さんやEddyさんとやっている読書会と殆ど同じスタイルであった。勿論、教科書はなかったが、課題別に徹底した討議を行った。私が質問する吉田先生の論文で述べている概念に関して、理解できるまでる説明された。

吉田先生も、最後の最後まで若い学生のようだった。読書会を続ける青年であった。難解で壮大な社会学理論に魅惑された私とその理論を構築し続ける吉田先生は、共に吉田理論社会学の読書会の一員であったように記憶している。

私たちのプログラム科学論研究会は吉田スタイル(学生のように読書会をする)を引き継いでいる。それは我々の青春時代にあった大学の風景であり文化であった。その文化の継承によって、難解な吉田理論社会学の解読、批判と展開作業が可能になっている。


修正(誤字) 2011年3月20日

にほんブログ村 哲学・思想ブログへ

0 件のコメント: