三石博行
雲は湧き、雲は流れ、雲は消えて行く
病室から静かに去る人
青い空は
いたずらな雲たちに落書きされ
病室で静かに消えていく命
雲は湧き、雲は流れ、雲は消えて行く
白い窓から
せっかちな雲たちが奏でる
光と影のリズム
病室の沈黙、消えていた命
雲は湧き、雲は流れ、雲は消えてゆく
灰色の病棟の壁
わた雲の会話が描かれたスクーリン
病室で私を待つ「現実」
雲は湧き、雲は流れ、雲は消えて行く
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この日、入院していたK病院の病棟で、前の病室に入院していた人がベッドに横たわり、顔を覆われ、多くの病院のスタッフや家族に付き添われ、病棟から去って行く光景を見てしまった。不治の病白血病で亡くる運命にある人々の集う病棟の風景である。その人の名前は知らない。その人に対する鎮魂歌はそのまま私への鎮魂歌(詩)でもあった。
2020年9月23日作
2020年11月11日修正
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