2015年1月3日土曜日

詩集序文 「詩たちの集まり 詩集をつくろう」

詩集 『心象色彩の館』を作ります


三石博行


私に書かれた詩たちが集まって
会議を開いたらしい。

彼らの主張は
「ほかの文章と一緒に並べないで下さい」
「特に論文なんの横に置かないで下さい」
という事だ。

私は、それらの詩の要求を聴きいれて、
他の文章たちと別にすることにした。

他でもない、ほかの文章たちも、
「否、詩などの横に置かないで下さい」
「彼らは、論理的思索過程を無視しています」
「彼らは、合理的説明義務を放棄しています」
と言い出した。

すると
詩達が集まって
「ボクらは直観と感性を表現できることばや文章を探し、
ことばは本来の意味から逸脱させられ、
新たに加わる通時性的風に吹かれて、
彼方に飛んでゆきたいのさ」
と合唱し出した。

私は、いそいで詩達の館を造らなければならなくなった。
私は、詩達が舞い上げることばの落ち葉を集めなければならなくなった。

そうして、詩集という詩達の館作りの計画が持ち上がった。
そうして、詩達も満足し、もっと天に舞い上ろうと言い出した。

「しかし、夜も遅いので、寝ましょうよ」と、一つの詩が言った。



三石博行 詩集 『心象色彩の館』



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