2011年3月17日木曜日

日本国民全ての力を集めて震災罹災者を救援しよう

東日本大震災への救援・二次防災活動を担う機動部隊の構築


三石博行


困難に立ち向かう勇気と対応課題

今、東日本大震災(東北関東大震災)の地震と津波による罹災者の救援活動は十分に展開していない。そして、同時に二次災害・東電福島原発事故によって被害はさらに深刻化しつつある。しかし、この事態に立ち向かい、何とか乗り越えなければならない。

この事態に対して政府の組織的、合理的、現実的な対応が求められる。そのためには

1、 対策課題を明確にする。

2、 対策行動の獲得目標を明確にする。

3、 対策部隊の構成、役割と機能を明確にする。

4、 すべての対策を指揮する司令部の責任と義務を明確にする。

そして、この政府の組織力や対応能力は、それを運営する人々の士気によって左右される。つまり、困難に立ち向かう勇気、豊かな想像力、企画力と実行力が必要とされ、その能力を発揮できる人材によって運営される必要がある。

その組織のリーダーである管直人首相は、指導力を発揮し、あらゆる地域や分野から人材を起用し、適材適所に配置し、現在日本の持つ最大限の実行力を発揮させ、この困難に対処して行くだろう。これまでの管総理大臣の対応の速さ、自衛隊導入、東電への対応等々はそれなりに評価されている。そして、国民は管首相がさらに強いリーダーシップを発揮することを期待している。


政府主導の組織的対応・司令部の役割

この事態への対応は、丁度、戦争(軍事的政策)と類似している。

まず、対応すべき震災政策を二次災害防止対策と罹災者救援対策に分ける。そして、それらの対策を実行する機能を構築する。その機能は、司令部とその指令によって行動する前線部隊と後方部隊の二つの機動部隊によって構成される。

司令部は政府の震災対策本部であり、最も重要な機能である。そこには、管直人首相を中心とする政府機能である。首相のリーダーシップを発揮できる体制を構築し、それぞれの課題別に対策委員会を構成する場合もある。そのメンバーは、政府閣僚、官僚、各省の専門家、超党派で構成する有能な政治家集団、専門家、地方自治体(知事、市町村長、役人)、企業関係者、NGOボランティア団体代表、市民代表、報道関係者等々である。

司令部の役割は大きく二つある。

1、対策全体像を理解し、各部隊への適切な指令を行い、その活動を監視、評価、検証し、より合理的・現実的行動を求める適切な指示を与える。

2、日本国民と海外の国々の支援と協力を求めるために、災害情報を的確に伝える。そのために報道、国会、海外への情報を公開する。


前線部隊の構成と役割

前線部隊は被災地現場で活動する部隊である。その部隊は最も危険で困難な災害救助活動を担う最前線部隊とそれを後方から支えながら災害救助活動を展開する前線部隊に分ける。さらに、それらの二つの部隊に現場で指令を与える前線司令部が必要となる。

最も厳しい災害救助活動の経験を持つ部隊で最前線部隊は構成される。例えば、多くの災害救援活動の経験をもつ警察機動部隊、消防や海外支援部隊の先鋭部隊、また厳しい軍事訓練を経た、空挺部隊や歩兵部隊、さらに倒壊物を撤去する重機部隊、危険物に対応できる化学・放射能物質処理部隊が最初に災害現場に入り、先頭に立って災害救助活動を行うことになる。

最前線部隊の後方で、前線部隊は活動する。前線部隊も危険な災害地での活動を担うため、上記した重機部隊や自衛隊、予備自衛隊、警察消防隊、海外支援部隊で構成される。前線部隊は被災地の生存者救済と運搬、犠牲者探索と運搬、火災や爆発の可能性のある危険物撤去、つまり二次災害誘発物の撤去、基幹道路(国道や高速道路)、港湾、空港等の運輸インフラ・補給路の確保、避難所の整備等の災害救助活動を担う。

前線司令部は、政府の司令本部と連携しながら最前線部隊と前線部隊を現場で指揮し、前線での救助活動を支える。


後方部隊の構成と役割

後方部隊は二つの役割がある。一つは前線部隊の補給、補助を担うことである。もう一つは、避難している罹災者の生存・生活環境を確保することである。

前線部隊への補給や補助を担う部隊は、自衛隊と警察が中心となり、運輸、医療、医薬、食料、建築関係等の民間企業を入れて構築する。この部隊は、前線部隊が必要とする物資の補給、例えば運輸や重機の燃料、前線部隊員の生活物質、生存者や犠牲者と運搬、撤去された二次災害誘発物質(危険物)の運搬と処理、戦線部隊員の交代要員の補助、前線部隊の重機、機械器具、道具、部品等の交換の任務を担う。 

また、同時に前線部隊によって撤去した震災残骸物を運搬処理し、災害地域の復旧活動を担う。例えば、生活道路、ライフラインの確保、避難所への生活物質の補給を担う。つまり、後方部隊は補給地との連絡を行い、被害地や罹災者が必要とする資材、生活物資を補給する。そのため、後方部隊の活動は、被災地への補給を手助けする運輸、医療、医薬、食料、建築関係等の民間企業の協力が必要となる。

より十分な後方部隊の活動を展開するためには、災害支援NGO,民間ボランティア団体、被災者組織、罹災地の自治体、企業、市民の参加が必要となる。つまり、前線部隊の補給、補助、危険作業に従事する後方部隊と罹災者の生活支援を行う後方部隊を分ける必要がある。

罹災者の生活支援を行う後方部隊は、民間ボランティア組織や市民が中心となり、全国から集まる災害支援金や支援物資を避難所へ届け、避難所の生活環境の改善を行う活動に従事することになる。この活動は、16年前の阪神淡路大震災で、ピースボート等の市民ボランティア団体が担い、また、その後の震災でも多くの市民ボランティア組織が支援活動を行ってきた。その経験を活かし、彼らの協力を得ながら、罹災者生活支援の後方部隊を組織する必要がある。


罹災者救援政策と二次災害防止政策の課題

この後の罹災者救済と東電福島原発事故により生じている二次災害を最小限に食い止めるために、以下の課題を述べる。

1、 罹災者救援政策と二次災害防止政策の二つの政策を別々の専門チームを作って対応する。

2、 二つの政策を実行する前線部隊と後方部隊を構築し、その役割・機能を明確にし、最も効率のよい機動体制を作る。


3、 罹災者救援・二次災害防止活動と東電福島原発事故対策活動での安全管理対策と危機管理対策を明確に分析し、それぞれの対策企画を創り、実行に移す。

4、 安全管理対策は、現状のシステムを補強し、被害を最小限に食い止めるための活動に集中する。

5、 危機管理対策は、最悪の事態を予測し、住民の避難、核汚染への対応、近隣諸国との交渉、核事故への救援体制等々情報を発信する。

6、 罹災者救援・二次災害防止活動での安全管理対策では、生活資源の重要度を判別判断し、最重要生活環境の復旧、生活物質の補給を優先的に行う。まず、社会インフラ、特に道路、鉄道、電気、水道、情報(通信、公共放送、新聞等)の復旧作業、生存者救済、犠牲者運搬、避難所確保、一次生活資源と呼ばれる生活必需品(食料、衣料、燃料)や医療、公衆衛生環境、トイレや風呂等)の補給を急ぐ。

7、 罹災者救援・二次災害防止活動での危機管理対策では、二次災害の発生、例えば漏電による火災、雨による土砂災害、疫病の発生、盗難、デマや流言による混乱に備える。

8、 東電福島原発事故での安全管理対策では、致命的な原発事故を炉心融合として位置付け、それまでに取ることができる対策を段階的安全管理とし、段階ごとの適切な処置を出来るだけ早く行うことが求められている。住民の避難、段階ごとの放射能汚染への対応と原子炉事故対策、国際的な支援要請、情報公開等と積極的に行う。

9、 東電福島原発事故での危機管理対策では、最終的な事故、つまり炉心融合によって原子炉が破壊され、大量の放射能物質が外部に漏れる事故を仮定して、その事故後の対策を準備して置く必要がある。例えば、住民の避難、放射能汚染への対応、近隣諸国への情報公開と交渉、放射能汚染によって生じる二次災害(環境汚染、食料汚染、立ち入り禁止地帯発生、産業界へ影響等々)への対応を急ぐ。


国民は力を合わせて困難を克服しよう

前線部隊と後方部隊の協同作業展開、職業的災害救助組織(自衛隊、警察消防、レスキュー隊)、企業、民間ボランティア(NGO)、自治体、市民団体(自治会や市民グループ)のすべての国の災害救助を行うことの出来る人材と組織、情熱を持った人々、さらに義援金や支援物資を提供する国民の力を集めることによって、この困難な状況を克服できるのである。

我々は、阪神淡路大震災とその後の震災から、災害に対する国民運動を展開し、多くの教訓を蓄積してきた。その教訓は、東日本大震災(東北関東大震災)で活かすことが出来る。

また、重大な二次災害・東電福島原発事故への対応が問われている。一刻の猶予も許されない重大事故防止への対応を急がなければならない。

そして、この問題は、これまでの原子力行政のあり方や旧国営企業から引き継がれた官僚的経営体質に関する検証が必要になるだろう。それは、今回の東電・電力会社に限らず、福知山線で重大人災事故を起したJR西日本、さらには赤字を繰り返してきたJALなども、基本的には共通する問題を持っている。つまり、この問題は、官僚的経営体質、原子力行政、日本社会の安全管理や危機管理問題等々に展開することは避けられないだろう。

つまり、21世紀の日本社会にとって重大な問題を提起しているといえるのである。その意味で、この問題に真摯に取り組むことによってしか、我々の将来はないのである。


参考資料

(1)三石博行 「東電原発事故 国は徹底した情報開示と対策を取るべきである ‐畑村洋太郎 失敗学の基礎知識に学ぶ-」2011年3月16日
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/03/blog-post_16.html


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ブログ文書集 タイトル「東日本大震災に立ち向かおう」の目次
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/03/blog-post_23.html

1、今、何が問われているか

1-1、日本国民全ての力を集めて震災罹災者を救援しよう ‐東日本大震災への救援・二次防災活動を担う機動部隊の構築‐
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/03/blog-post_17.html

1-2、東電原発事故 国は徹底した情報開示と対策を取るべきである ‐畑村洋太郎 失敗学の基礎知識に学ぶ- 
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/03/blog-post_16.html

1-3、災害に強い社会を作るための主な三つの課題‐今までの震災への対応を検証し、即、それを活かそう‐
http://mitsuishi.blogspot.com/2011/03/blog-post_8089.html



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修正(誤字) 2011年3月17日





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