持続可能な経済システムとは何か
多様な資本主義の形態に関する研究を基にしながら、現在のアメリカを中心とする国際金融資本主義、さらには中国に代表される国家資本主義の在り方を理解し、21世紀の持続可能な経済システムとしての資本主義の在り方を摸索する国際シンポジュームをHyun-Chin Limソウル国立大学名誉教授を招待し、また公益資本主義研究会の丹治幹雄氏を招き、昨年、2018年12月18日に開催した。すでに終わったこのシンポジュームの意味を再度確認するために、ブログで紹介する。
政治社会学会(関東政治社会学会)と公益資本主義研究会
主催:関東政治社会学会
後援:合衆国公益法人 アライアンス・フォーラム財団
日 時:平成30年12月18日(火)13時30分~16時30分
会 場:専修大学神田校舎7号館8階782教室 https://www.senshu-u.ac.jp/ access.html
参加費:2000円(資料代を含む)
【趣旨】歴史的にみると、最初の5世紀(1,000-1,500 A.D.)は、アジアがヨーロッパに優っていたが、 それに続く最近の5世紀(1,500-2,000 A.D.)は、 北米とリンクしながらヨーロッパがアジアを凌駕してきた。 しかし、2000年代に入り、中国の急速な台頭で、 欧米優位の考え方に、 疑問を挟む議論がにわかに浸透してきている。 とくに欧米型の資本主義モデルに追随してきたアジア諸国にとって 、 みずからの経済発展を独自の視点から改めて評価することが求めら れようとしている。言うまでもなく、 アジアで最初に経済成長を成し遂げた国は日本であるが、その後、 五龍(韓国、台湾、香港、シンガポール)が、さらには五虎( タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ヴェトナム) が経済発展を成し得たことは周知の事実である。 これに中国とインドのグローバルな台頭を考えれば、「 アジアの世紀」 が再び台頭してきたと考えてもおかしくない状況下にある。 しかしながら、このようなアジアの資本主義と言っても、 その中身は多種多様であり、Hyun-Chin Lim教授が指摘するように、 比較パースペクティヴなアプローチから、その共通性と多様性、 つまりアジアで何が起こっているかをまずは理解する必要があろう 。
さらに、このようなアジア資本主義という視座に立てば、当然、 わが国や中国で注目を浴びてきている、原丈人氏が唱道する、「 公益資本主義」に言及せざるを得ない。アメリカ型「 株主資本主義」を批判し、株式会社は、 決して株主だけのものではなく、従業員や顧客、仕入先、 地域社会、さらには地球全体などを含めた、 マルチステークホルダーのためのものであると説き、「 公益資本主義」とは、松下幸之助の言う「企業は社会の公器」 であるという概念に集約できるものであるという。その言葉に、 現在の日本経済に漂う経済的閉塞感を断ち切ってくれるものとして の国民の期待感も強い。経済成長との関連性など、日本発の「 公益資本主義」の特色は一体どこにあるのか、 幅広い立場から改めて「公益資本主義」を考察してみたい。
(文責・荒木義修)
【プログラム】(使用言語 英語)
開会挨拶 原田博夫(関東政治社会学会会長、専修大学経済学部教授)
司 会 三石博行(前政治社会学会理事長、NPO太陽光発電所ネットワー ク副代表)
講 演 Hyun-Chin Lim 先生(ソウル国立大学アジアセンター創設所長、名誉教授)
「アジアの資本主義をいかに研究するか」
通訳 三石博行
講 演 丹治幹雄(アライアンス・フォーラム財団理事、 公益資本主義研究部門長)
「公益資本主義と経済成長」
<休憩>
討 論 井出亜夫(JCMS㈱ アジア交流塾塾長、元経済企画審議官
討 論 原田博夫(関東政治社会学会会長、専修大学経済学部教授)
<質疑応答.>
閉会挨拶 荒木義修(法学博士、政治社会学会・公益資本主義専門部会長、A・ アソシエイツ研究所)
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