2019年3月5日火曜日

「多様な近代化過程、その資本主義・近代国家の様相とその構造」に関する研究課題

私に取って多様な近代国家の形態を理解する意味とは何か


何故、近代化過程を前提にしてアジアやアフリカ、ラテンアメリカの国々の多様な資本主義経済の在り方を観るのは、異なる文化・伝統、経済、社会制度、生態環境的、地理的条件の中にある国々で起こる近代化過程の進化、歴史的変化を入れて考察するためである。

後発型資本主義国家の近代化政策は日本明治政府取った国家・官僚指導型資本主義経済化政策であった。このモデルは戦前の日本の富国強兵政策、戦後の経済成長として評価された。しかも、このモデルを取り入れた韓国の高度成長、さらに中国の改革開放政策によって中国の国家指導型の資本主義経済の育成は、共に見事に成功した。すでに経済力では日本を抜た中国が国家指導型資本主義経済モデルの代表となっている。

20世紀、そして21世紀初頭、2010年までは、日本が国家指導型資本主義経済モデルを代表できた。しかし、2010年以後は中国がそのモデルとなっている。また、中国が高度経済成長以後の経済成熟期を迎えた後には他のアジアの国が国家指導型資本主義経済モデルを代表している可能性がある。

私の関心は、多様な資本主義経済の分類、アジア型資本主義の定義に関する学術的な研究ではない。多様な資本主義形態を近代化過程の中で理解することで、資本主義経済システムだけでなく、多様な民主主義政治システムや人権主義文化システムを同時に理解し、また、それらの三つの近代社会文化要因の多様な組み合わせいをもって成立している世界の国々の現状を大きく理解するためである。そのことによって、世界を資本主義と社会主義、民主主義と非民主主義、自由主義と反自由主義、人権主義と反人権主義等々、経済や政治文化価値観、つまりイデオロギーによって、単純に分類し、そしてその分類に基づく対立構造を潜入させる政治的意図に世界の平和的共存の可能性を絡め取られないようにするためである。

私が多様な近代化過程によって生じる多様な資本主義経済の在り方を語るのは、戦争で利益を得る軍事産業、それに依存する権力者たちに21世紀の未来が核戦争や世界レベルの環境汚染、異常気象そして終わることなく繰り返される国際地域紛争によって、資源枯渇、持続可能な社会への変革放棄が起こらないために、今ある多様な国家、経済、民主主義、人権主義の様相を理解するための理論を提案しているのである。

くり返すが、この論文で述べたい私の趣旨は、資本主義の分類作業ではない。上記した国際紛争、世界レベルの環境汚染、資源枯渇等々、危機的条件を抱えた21世紀の社会の在り方を考え、そして提案し、さらに議論を呼び起こすことである。

以下、「多様な近代化過程、その資本主義・近代国家の様相とその構造」に関する文章の展開を示す。現在、4節、「市民参画型民主主義社会形成のため」の文章を作成中である。



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